logo ロンドン(その2)




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再び地下鉄に乗りコベント・ガーデン(Covent Garden)へ。この駅にはエスカレーターがない。ロンドンの地下鉄は一般に深いところを走っているので(テムズ川をくぐる必要上)、駅にはだいたい長いエスカレーターがついているのだが、ここはどういう訳かエレベーターである。駅で火災が起こったら大惨事は必至だ。エレベーターを待つのが面倒だったので、脇にあった階段を昇り始めたのだが、これがとんでもなく長い螺旋階段で、行っても行っても地上にたどり着かないのである。息が切れて足がだるくなり、ペースもかなり落ちた頃ようやく改札に出た。帰りによく聞くとこの階段は180段ありますと小さな音量でアナウンスが流れていた。書いとけよ。なお、地下鉄のエスカレーターは右側に立ち、左側は急いで歩く人のためにあけておくのが慣習である。左側にぼさっと立っていると「キープ・ライト!」と後ろから来た人に怒られる。連絡通路は原則として左側通行である

ここの目当てはロンドン交通博物館。博物館自体は以前に来たときに見学しているのだが、ここのミュージアム・ショップに、僕の大好きなロンドン地下鉄グッズがあるのだ。まずここで「Mind The Gap(段差にご注意)」と書かれたTシャツをゲット(これは駅でホームと電車に段差があるときに使われるロンドン地下鉄の決まり文句)。それから地下鉄マークの入ったキャップ、路線図のプリントされたマグカップをカゴに放り込み、レジに向かいかけたところで同じく路線図のプリントされたマウスパッドを発見、迷わずマイン(Mine、為替ディーラー用語で「買い」を意味する。「売り」は当然ながら「Yours」。これだけで巨額の取引が瞬時に成立してしまうこわい世界である)。

持参した布製の買い物袋に紅茶と今の買い物を入れ、レスター・スクエア(Leicester Square、ライセスターなんて読むと恥かくぞ)で乗り換えてトッテナム・コート・ロード(Tottenham Court Road)へ。バージン・メガストアに入る。ここでもマイティ・レモン・ドロップスの旧譜CDとかを探したが成果なし。書籍コーナーでロック・バイオグラフィものを漁り、いちばん穏当なものを買った。ディスコグラフィも分野は狭くていいから(80年代以降のイギリスものだけで可)シングルまで網羅した新しくて詳しいヤツが欲しい。スミスとかJAMCとかXTCのシングル・カップリングとかバージョン違いまでフォローしてるヤツ。

そこからオクスフォード・サーカス(Oxford Circus)まで歩く。雨はやんでいるが午後5時にしてもう真っ暗である。暗いと気があせる。ホテルにもレイト・チェックを入れてないので6時には着きたい。オクスフォード・サーカスではハムレイズでおもちゃを漁る予定だったが、疲れも出て見送ることを歩きながら決定した。ミニカーは一応ハロッズで買ったし。途中「土産物」と書いてあったタバコ屋が目に止まり入る。案の定流れるボールペンとスノードームがある。流れるボールペン2種とスノードーム1個を買った。今回は観光地に行っていないので買いそびれるところだった。こういうのってハロッズにはないもんね。

オクスフォード・サーカスから地下鉄に乗り、パディントン(Paddington)まで。予約しておいたホテルを探す。ロンドンは(パリもだが)ホテルが高い。今回は一人ということで人に教えてもらった安ホテルにする。まあほとんどB&Bである。駅まわりは寂しい。人気の少ない暗い通りを番地をたどりながら歩いた。名前はプトラ・ホテル(Putra Hotel)。着いて名前を言っても予約の控えがないらしい。大丈夫である。その程度のことは初めから織り込んであるのだ。紹介してくれた人も必ずファックスの確認書を持って行けと言っていた。正しい。ファックスを見せるとああと言ってチェック・インしてくれた。いい加減な話である。PCのモニタを見たがどうせガラガラのようで、宿にあぶれる可能性はなかったようだが、シングルの定価が70ポンドで、僕はファックスで60ポンドのコンファームをしていたから(予算の上限は60ポンドと書いて送ったのだ)、やはりファックスを持っていったのは正しかった。

ここはイスラム系のホテルである。部屋にはラマダン(断食月)のカレンダーが置いてある。天井に矢印が書かれているので何だろうと思ったら、お祈りをするべきメッカの方向を示しているのだ。ちょっと落ち着いて荷物を片づけたところで、パディントンの駅前に戻りマクドナルドで夕食を買った。一人でゆっくりできそうなレストランを探すのはなかなか難しい。そういうところに労力を使いたくないので、今回は初めからマクド(マック? いいだろう、関西人なんだから)に決めていたのである。こちらでお召し上がりですかと訊かれたので、「To go(持ち帰りで)」と言ってやったら通じた。前からやってみたかったのである。これからは「Take out」なんてダサいこと言ってちゃダメである。「To go.」で決まりだ(日本でやると恥ずかしいからやめましょう)。

ホテルに帰ってビッグ・マック他を食べ、シャワーを浴び、買ってきた本をめくっていると、フロントから電話がかかってきた。明日の朝食は部屋まで運びますと言う。きっと客が少ないから、朝食室を使いたくないのだろう。あるいは異教徒とは一緒に食事をしたくないのかもしれない。メニューは普通のコンチネンタル・ブレックファスト(要はパンとコーヒーである)かフライド・ライスから選んでいただけますと言うのでフライドライスにした。買ってきたバイオグラフィを見ていると買うべきCDがたくさん出てきた。今度ゆっくりリストアップしようと思う。就寝12時。

7時40分起床。8時に朝食が来た。チャーハンとオレンジ・ジュースである。チャーハンはスパイスが効いて辛いが美味しい。小海老も入っている。朝からチャーハンは異例だが、旅行中はメシは食えるときに食っておけ、トイレは行けるときに行っておけというのが鉄則なのできれいに食べる。外は曇りだが、テレビの天気予報は今日は昨日にもましてひどい嵐になるでしょう、イングランド南部の皆さんご注意くださいと言っている。ゆっくり身支度をして9時にチェック・アウトした。

ホテルからハイド・パークまで5分。ランカスター・ゲートから地下鉄に乗ってもよかったのだが、雨がまだ降っていなかったので公園の中を一駅歩いた。高血圧対策はウォーキングである。途中から小雨が降り出したのでマーブル・アーチ(Marble Arch)から地下鉄に乗った。トッテナム・コート・ロード(ちなみに僕はこの駅のことを心の中で「トットちゃん」と呼んでいる。だれにも内緒である)で乗り換えてカムデン・タウン(Camden Town)へ。

この辺り一帯は若者向けの服屋、アクセサリー屋、その他あやしげな店が軒を並べ、週末には露天も出るところで、僕はここでアーティストのロゴの入ったインチキ・ロックTシャツを漁ろうと思っていたのだが、駅を出たとたん強い雨が降りだし、とても屋外で悠長に買い物している場合でもなさそうなので、断念することにした。荷物も重いし、それに飛行機が飛ぶかどうか不安なので早めに空港へ着いておきたい。傘は持っていたけど一度濡れた傘を手に持つと動きが鈍くなるのでそのまま駅に引き返し、地下鉄に乗った。残念だが仕方がない。観光客らしい日本人のジジババが歩いていた。何を買いに来たのだろう。

レスター・スクエアで乗り換えてヒースロー行きに。前回は時間がぎりぎりであせった。特にヒースロー・ターミナル4から次のターミナル1、2、3までの間が長いのである。あと一駅がこんなに長いのは精神衛生上きわめてよろしくない。血圧も上がる。これまで時計を見ながら扉の前でいらいら足踏みした人が何人もいることだろう。今回は余裕である。

空港でチェック・インをすませたのは11時半。搭乗する便は13時半で、まだ搭乗ゲートも決まっていないが、出国の手荷物検査をすませ出発ラウンジに入った。免税店を見てまわったが食指も動かず。スウォッチもいろいろあるがこれならドイツの方が安い。ドイツならスウォッチ・アイロニーが100マルク、ここでは免税価格で45ポンドである。1ポンド2.9マルクとしても高い。

ラウンジで本を読みながら待っていると、次々に遅延や欠航がアナウンスされて行く。ミュンヘン行きが悪天候のためキャンセルになったときはちょっとあせった。フランクフルト行き、ベルリン行きは1時間以上の遅延である。アムステルダム行きは欠航、ブリュッセル行きは定刻、よく分からない。13時になっても搭乗ゲートが出ないのでこれはと思っていると、案の定1時間の遅れと放送があった。機内食を昼食に当て込んでいるのでものを食べるのもバカらしい。朝ちゃんと食べておいてよかった。

14時前になって搭乗ゲートが知らされた。行ってみると機内の安全確保のため大きな手荷物はここで預けてくださいと係員がアナウンスしており、それは揺れるぞということかとビビッたが、14時半前には搭乗も始まり、結局15時にはきちんと離陸した。それほど揺れなかった。

機内食はサーモンのソテー。今回も残したのはコーヒー・フレッシュだけ。1時間時差があるので、フライトは1時間だがデュッセルドルフに着陸したのは17時だった。駐車場にとめておいたクルマに乗って家に着いたのが17時半。空港が近いと便利である。疲れたけど面白かった。読んでもらえば分かるとおり写真を撮っている余裕はどこにもなかった。明日から仕事だ。




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