logo ルクセンブルグ


ルクセンブルグ(Luxembourg, Luxembourg) 98年3月28日(土)〜29日(日)


ルクセンブルグ

ルクセンブルグはドイツ、フランス、ベルギーに囲まれた小国である。首都はルクセンブルグ、四方を切り立った谷に囲まれた陸の孤島のような街だ。現在では街は深い谷を越えて反対側にまで発展し、谷には立派な橋が架かっている。鉄道の中央駅も谷を渡った新市街の方に位置している。

中央駅前のホテルにチェック・インして旧市街に向かった。何の変哲もない街だが、それがいきなり途切れ、深い谷の絶壁の向こうにまたまた街が続いて行く様子とそこにかかる優美なアーチの石橋が何か非現実的な風景を形作っている。断崖の中腹には空中庭園のような張り出しがあったりするし、谷底には幅1メートルほどの水路と点在する民家が、まるでそこだけ田舎町のように何食わぬ顔でのどかな時間の流れを楽しんでいるかのようでもある。

旧市街は中世風の街並みを残し、広場はブリュッセルのグラン・プラスを彷彿させる。王宮の前では衛兵が一人所在なげに警備についている。無表情なのをいいことに隣に並んで写真を撮るミスター・ビーンみたいな真似は遠慮してあげた方がいいのではないかと思うのだが。

尚、ルクセンブルグはベルギーと通貨同盟を結んでおり、ルクセンブルグ・フランはベルギー・フランと等価である。ベルギー・フランは紙幣、硬貨ともにそのままルクセンブルグで通用するが、その逆、つまりルクセンブルグの貨幣はベルギーでは使えない。支払いをするときは、その辺もよく考えて、ルクセンブルグ・フランから先に使うようにした方が(特にその後ベルギーに行くつもりがある場合には)能率がいいのではないかと思う。


旧市街のマクドナルド

ルクセンブルグは原則としてフランス語圏なのだが、不思議なことにここのマクドナルドは店内の価格表示やポスターがすべてドイツ語である。フランス語表示の中で英語を探すクセがつき始めているところへ、いきなりなじみのドイツ語が書かれているとこちらも逆に混乱してしまう。

思うにルクセンブルグにはマクドナルドの現地法人がなく、地理的な関係からドイツのマクドナルドがついでに管轄しているのではないだろうか。まあ、ルクセンブルグではドイツ語も公用語らしいし。いずれにせよ店員はフランス語をしゃべるので、フランス語しかダメな人も安心して買える。


ボックの砲台

こんな切り立った崖の上に街を築いたのは何も単なる酔狂ではない。そこにはちゃんと外敵から街を防衛するという軍事的な意味あいがあって、実際ルクセンブルグはその地の利のおかげで難攻不落を誇る城塞都市でもあったという。そのルクセンブルグの栄華をしのぶ縁となるのがこのボックの砲台である。

この砲台は攻め込んでくる敵を砲撃するため絶壁をくり抜いて作られた迷路のような砦で、銃眼から崖下が望める。結構奥の深い地下通路になっているので、廃墟の好きな人にも楽しめるし、入場料を払って中に入らなくても、この周辺は高台から谷の向こうを展望する絶好のポイントである。

見どころの少ない街ではあるが、この砲台はなかなかいい。これといって見るものもない旧市街をうろうろしている暇があったら、この砲台のベンチから谷に架かる橋を渡る列車を眺めながらものでも思ってはどうかと思う。


日本人観光客

さて、この街ではここに勤務する金融関係者以外、日本人の観光客に出会うことなど皆無であろうと思っていたのだが、あにはからんや日本人を満載した観光バスを3台も見かけてしまった。もともと狭い街で観光するところも限られているから、行く先々で、あ、またあの団体だという状態である(先方も似たようなことを思っていたはずだ)。

それにしてもヨーロッパには他にも見るべきところがたくさんあるはずなのに、何が悲しくてわざわざルクセンブルグに来るのだろう。もうヨーロッパは一通り見たから、人の知らないような渋いところを攻めたいという人たちなのかとも思ったが、立ち居振る舞いはまったく普通の日本人観光客だった。1週間の休暇を取ってきましたという感じのOL2人組とかパスポートを首からぶら下げてそうなおじさんとおばさんとか。

僕は別にルクセンブルグを悪くいうつもりはないし、見るに値する街ではあると思うが、他に先に行くべきところはいくらでもあると思う。あんたたち何かだまされているんじゃないですかと言ってあげたくなったが、おそらく互いにもう二度と会うことのない彼らと僕たちの時間が、一瞬この、日本人の98%以上は一生足を踏み入れることすらないだろうと思われるルクセンブルグで重なり合ったことの巡り合わせというか不思議さに妙な感動を覚えたりもしたのであった。


フィレロイ&ボッホ

としか読みようのないのが陶器の「Villeroy & Boch」である。ルクセンブルグのブランドで、旧市街の真ん中に立派なショップがある。雅子妃が嫁入りに持参して、「案外庶民的」とほめ言葉ともけなし言葉ともつかぬ評価をされた有名陶器メーカーだが、このメーカーは便器も製造していて、ふと入ったレストランの便器がフィレロイ&ボッホ(本当は何と発音するのだろう)だったりすると、小便をしながら妙な感慨にふけったりもする。

ここのショップには、このフィレロイ&ボッホが市の観光局と提携して特別に製造しているとおぼしきルクセンブルグのロゴ入りマグカップがある。フィレロイ&ボッホの製品は世界中で買えるが、このマグはおそらくここと観光局の案内所でしか買えないだろう。いつまであるか分からないがデザインも悪くないので自分用に1個買っておいて損はないと思う。



welcomewhat's newmotoharu sanomy profilemy opiniondisc reviewtravelmail to methank you


Copyright Reserved
1997,1998 NISHIGAMI, Noriyuki a.k.a. Silverboy
e-Mail address : silverboy@t-online.de