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1999年4月2日(金)

●今年のイースター旅行はプラハにした。4連休っていうのも結構難しくて、あまり遠くまで行くのもしんどいけど小さな街で3泊じゃ退屈だし、2都市まわるのは無理あるし。そういう訳で今回は悩んだんだけど、まあ、プラハならちょうど手頃だろうということで僕は7年ぶり2回目のプラハ行きを決めたのだった。
●今回はドイツの旅行会社のパックだけど、飛行機とホテルがセットになってるだけで現地は完全フリー、空港からホテルまでの送迎もないから普通の旅行とまったく変わらない。朝一番でデュッセルドルフ空港を出発、午前10時頃プラハ空港に着いた。本当はプラハ・ルズィニェ空港と言うらしいがしけた空港である。まあいいけど。入管では珍しくパスポートにスタンプを押してくれた。そうそう、日本人は3カ月以内の観光目的の滞在ならビザなしでチェコに入国できることになったのだ。ただしパスポートは残りの有効期限が6カ月以上あることが必要。気をつけて。
●さて、空港から市内までが問題。プラハのタクシーは観光客にふっかけることもあるので気をつけるべしと日本語のガイドブックにもドイツ語のガイドブックにも書いてある。空港前で客待ちしているタクシーはちょっと近代化されているようだったが。乗る前に値段を確認したら「700コルナ」だと言う。市内まで距離は20kmほどで古いガイドブックには300コルナが相場と書いてあるが、その後インフレがどれくらい進んでいるのか見当もつかないし700コルナといえば2500円程度なのでまあ法外という訳でもなくアクセプトすることにする。
●ちなみにチェコの通貨は「コルナ」。100コルナが350円くらいかな。両替所は空港にいっぱいある。
●タクシーは不穏な道を通りながらも無事に30分ほどでホテルに着き、700コルナを払った。ホテルはこじんまりとはしているがとてもきれいで部屋も広い。今回はパック料金だがふだんは1泊2万円強の部屋のようだ(ダブル)。オーストリアの旅行会社が経営しているらしい。3泊したがホテルにはなんの不満もなかった。
●次は地下鉄にトライ。窓口が閉まっていてキップは自動販売機しかない。でも僕は紙幣しか持ってない。売店で訊いても販売機で買えというのみなので仕方なくホールズを買ってカネを崩す。ホールズなんて買うの何年ぶりだろう。
●ではここで日本からプラハを訪れる奇特な旅行者のために地下鉄のキップの買い方を伝授しよう。大人のキップは12コルナ。でも4駅以内なら8コルナの短時間キップでOK。市内の観光地だけならどこからどこまで乗ってもまず4駅以内だからこの短時間キップで大丈夫だろう(ただし有効期間は改札から30分だけなので注意)。販売機はチェコ語表示だが想像力を駆使してまず該当するキップのボタンを押す(英語でも一応説明書きが貼ってある)。それから一番下の「ENTER」ボタンを押すとコインの投入口がカチャンと音を立てて開くのでカネを入れよう。まずボタン、次にカネなので間違わないように(ヨーロッパの販売機は基本的にそういう流儀です)。
●キップを買ったら改札。駅構内への入口に黄色い機械が立っているのでここにキップを差し込みカチャンと刻印する。これを忘れるといくらキップを持ってても意味がないので注意。それから驚くのは地下鉄のエスカレーター。これが速いのなんのって。とても日本の安全基準からは想像もできないほどのスピードで流れている。子供や年寄りは命がけ、いや、すごく深いから僕たちでも下まで転がり落ちたら確実に首の骨を折って死ぬだろう。これは7年たっても変わってなかったなあ。でもなぜ。
●それにプラハの地下鉄ってどうしてあんなに深いんだろう。社会主義体制下で核シェルターに使えるように深く掘ったのかとも思ったが、たぶんブルタバ川をくぐる必要上深いんだろうな。あと、車内の検札は頻繁だと「歩き方」には書いてあったが、このイースターの旅行の間1回も出会わなかった(でもキップは必ず持っていた)。
●街の中心はすっかり西側と変わらない景色になっている。民主化から10年だもんな。火薬塔から旧市街広場を通ってカレル橋まで歩いたらすごい人出で結構疲れた。さすがにイースターだけあって、街はドイツ人とアメリカ人の観光客でいっぱい。ホテルやレストランやカフェや土産物屋では英語でもドイツ語でも通じる。ここでドイツ語をしゃべるのはいかがなものかと思いながらも僕としてはどちらかというと楽なドイツ語7割、英語3割くらいでしゃべっている。
●旧市庁舎の壁面には有名な天文時計があって、毎正時には仕掛けが動くので観光客が寄ってくるのだが、最初見たときにはどこが動いてるんだか分からないうちに仕掛けが終わったらしく集まっていた観光客が散り始めて寂しかった。時計の上の石の天使像の両側の窓がポイントなので見逃さないように。次のチャンスは1時間後までめぐってこないぞ。
●晩メシはプラハ最古のレストランというウ・フレク。秘伝の黒ビールはアルコール13度らしいけど500ml飲んでも全然こなかったぞ。料理は伝統的なチェコ料理だが、これがもうまったくドイツ料理と同系列のあか抜けない代物だ。やっぱイタリアとは違うわ。特徴はクネドリーキというチェコ蒸しパン。肉料理のつけ合わせに出てくるが甘みのない蒸しパンといった感じでなかなか悪くない。肉まんの生地みたいと言えばいいか。値段は全体に安くて、ビールと肉料理、コーヒーまで飲んで一人2000円程度。


1999年4月3日(土)

●この日は朝からプラハ城を見に行った。地下鉄の駅を下りて登山道を登ると10分ほどでお城の裏口に着く。裏口から入ってもいいんだけど正面を見たいと思うなら庭を通ってぐるっと表にまわってみることもできる。果たしてフラッチャニ広場にまわってみるとそこは既にアメリカ人とドイツ人の大群に占拠されていた。衛兵と写真を撮る者、グループで記念撮影する者、ビデオを撮影する者。もう田舎者丸だしである。
●ここは城とはいえ、広大な敷地に王宮や教会や使用人の住んだ小路がそれぞれ建ち並ぶ要塞の街といった感じである。無料で大半の施設を見学できる。特に聖ビート教会のステンド・グラスと、カフカの仕事場もある黄金小路は見ておく価値があるだろう。黄金小路はもともと住み込み使用人の宿舎だったらしいが、その後錬金術師も住みついたという通り天井の低い怪しげな小屋が並ぶ。カフカの仕事場は水色の壁の建物で小さなプレートが埋め込まれている。
●ドイツ人とアメリカ人でごった返すプラハ城内を出て、今度は表参道から小市街を抜け、昨日とは反対側からブルタバ川にかかるカレル橋へ。この橋もドイツ人とアメリカ人でごった返している。結局どこへ行ってもダメってことね。雰囲気もクソもない。でももうちょっと人が少なければここはいいところです。そうそう、音楽の授業で聴いた「モルダウ」っていうのはこのブルタバ川のこと。そういえば昔僕は「スメタナ」と「モルダウ」とどっちが作曲家でどっちが曲名だったか分かんなかったんだよな。
●で、旧市街広場のレストランで昼メシ。今回の旅行は天気が良くて、この日もテラスでビールを飲みながら食べた。ヨーロッパにいてよかったと僕が最も強く思う瞬間である。腹一杯食べて一人3500円程度。テーブルから天文時計が見えたんだけど、どこが仕掛けになってるのかやっと分かった。
●それにしても街を歩いてるとやたらとビラを配っている。だいたいがクラシックの演奏会のお知らせのようだ。僕はこういうものはテレクラとサラ金のティッシュ以外一切もらわないようにしているのだが、チェコ人はしつこく差し出してくる。
●あと、流れるボールペンがないんだよね。それらしい土産物屋を通りかかるたびに一応チェックしてたんだけど、今回はついに発見できなかった。スノードームも。


1999年4月4日(日)

●そんな訳で、今回は何も記念品を買っていない。これはいかんということになり、この日の午前中は土産物を買いに街に出かけた。日曜日だが、観光客相手の店は午前10時ころから開いている様子。狙いはボヘミアン・グラス。前回のベネツィアではベネツィアン・グラスの大物を買わなかったので、今回は張り込むことにする。
●旧市街広場の端っこにモーザーというショップがある。ここは高級ボヘミアン・グラスのブランドとして有名なところ。一昨日に発見しひそかに目をつけていたのだが、この日ついに突入した。さすがに品の良いガラス器がところ狭しと並んでいる。貧血でも起こして倒れたりしたら悲惨な事態になるのは請け合いである。色ガラスのきれいなグラスもあるが、いろいろと悩んだ結果、色も金の縁取りもないシンプルなワイングラス6客を購入、デュッセルドルフの自宅まで送ってもらうことにした。値段は内緒。ふふふ。
●午後からはバス・ツアーでカールシュテイン城へ行くことになっている。午後2時にホテルでピック・アップしてもらい集合場所へ。ここで大型バスに乗り換えるのかと思いきや、15人乗りくらいのバン2台に押し込められそのままカールシュテインへ行くことになった。40分ほどの道のりで、途中でもう一台のバスに乗っていたガイドのおばさんがこっちのバスに乗り移ってきて解説してくれる。さすがにプラハ市街をはずれると景色もやや荒涼としてくる感じ。
●駐車場からは山道を10分ほど一気に登る。すると目の前にカールシュテイン城が現れるわけだが、ノイシュバンシュタインをはじめ、ヨーロッパの城や宮殿の類をいろいろと見慣れた目には何か特別なものと映る訳ではない。まあ、プラハから手頃な遠足と言ったらここしかないもんなというくらいの感じだろうか。場内は英語のガイドつきで約40分ほど見学。それにしてもツアー以外でプラハ市内から自力でここまで来るのは根性いるだろうなと思う。
●こうしたバス・ツアーはいろんな業者が催行しているから、目についたところで申し込めばいいんじゃないかな。だいたいホテルが提携していてフロントで申し込めるようになっているはずだと思う。他の物価に比べると、観光客相手ということもあってかやや高め。僕の場合790コルナだった。帰りの山道を下るときに、ガイドのおばさんが日本語で話しかけてきたので驚いた。どこの国にも語学に堪能な人というのはいるものである。
●ツアーはバーツラフ広場で解散。そのまま火薬塔のすぐそば、市民会館地下のレストランで晩メシを食べた。ビール、スープ、豚の煮込みにクネドリーキ、コーヒーで一人3500円ほど。

1999年4月5日(月)

●昨日のうちにタクシーを頼んでおいたので、チェック・アウトの時には既に空港行きのタクシーが待っていてくれた。料金は固定で510コルナ。ということは行きのタクシーはちょっと高めだったか。まあいい。
●そういえば、地下鉄も24時間券を買ったりしたが、これが70コルナ。12コルナのキップなら7回、8コルナの短時間キップなら9回乗らなければ元が取れない。毎回コインを用意する手間が省けるのは嬉しいが、何しろ一回の料金が安いのでそれくらいの小銭はたいてい手許にあるし、逆にたまって行く小銭の処理には毎回キップを買ってちょうどいいくらい。バスだのトラムだのまで駆使するなら別だが、地下鉄だけならこの24時間券の価格設定は高すぎ。それでも不安なら短時間キップをインフォメーションかどこかでまとめ買いでもしておいた方がまだまし。キップはホテルのフロントでも売っているかも。
●あと、お土産には温泉ウェハースをどうぞ。日本でいう炭酸せんべいそのもの。街中で熱々のを売ってるし、何枚か箱詰めした持ち帰り用も売っている。街中で売ってるのは2枚の間にクリームをサンドして10コルナ。駄菓子の気分でかじりながら歩ける。35円だよ、35円。
●という訳で、今回もお疲れ様でした。次回は6月の南イタリアか。いや、それまでにユーロ・ディズニーとモーゼルのワイン蔵めぐりかな。


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