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Smoke & Blue 2016

■2016.12.5(月) 20:30開場 21:30開演
■Billboard Live Tokyo

Vo,Gt,Pf:佐野元春

Dr:古田たかし
Ba:井上富雄
KB:Dr.kyOn
Chello:笠原あやの
●Do What You Like
●トーキョー・シック
●Good Times & Bad Times
●僕にできることは
●マナサス
●自由の岸辺
●エンジェル・フライ
●ブルーの見解
●仕事帰りの女たち
●ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●風の手のひらの上
●続・ふたりの理由
●夜のスウィンガー
●インディビジュアリスト

●Bye Bye Handy Love



追加公演として発表された日程。セットリストは11月の公演と同じだった。

佐野がレコーディング中だと説明しているセルフ・カバー・アルバムに収録されるのではないかと思われる曲がいくつか聴けたのは興味深かった。

まず、何と言っても『自由の岸辺』。これは1988年に佐野がDJを務めていたラジオ番組「スーパーミクスチャー」の中でブルーベルズという覆面バンドが歌っていた曲。ブルーベルズが佐野元春と石川ひろみのユニットであったことは今では公然の秘密であるが、この曲を自らの作品として披露する日が来ることになるとは感慨深い。

サビの譜割りを微妙に変えて歌うところはちょっと違和感があったが、ラテン風にアレンジされた演奏は自然で、もともと丁寧にしっかり作られている「素材の良さ」が際立つ。11月のステージでは「他のアーティストに提供した曲」と一応ブルーベルズの成り立ちに配慮するMCもあった。アルバムに収録されるのなら楽しみだ。

『続・ふたりの理由』も意外な選曲。『ふたりの理由』ではポエトリー・リーディングだったAメロ部分に新たに歌詞とメロディを乗せて歌う新しいバージョンだ。このバージョンは2009年に発表された小坂忠のアルバム「Connected」に『ふたりの理由、その後』として収められたもの。これもスタジオ音源化して欲しい演奏だった。

『インディビジュアリスト』のスカ・ビートを強調した演奏もよかった。2000年のアルバム「The 20th Anniversary Edition」でリテイクされたバージョンを下敷きにしたものかとも思われるが、Kyonのオルガンがこの曲の魅力を改めて引き出す名演。シンプルな編成で曲の骨格が生きた。

『仕事帰りの女たち』はビルボードでだけ披露されている未音源化の曲。昨年のステージでも演奏されていたものだ。ミニマルな曲調は空間にマッチして、『ジャスミン・ガール』や『だいじょうぶ、と彼女は言った』など、都市に暮らす女性を描く一連の作品に連なるものだと思うが、描かれる女性像がやや類型的なのは残念。30万円をバッグに投じる生活ぶりがリスナーの率直な共感を得られるか微妙な感じがする。

いくつかの曲で気になるのは、アルバム「月と専制君主」でも感じたことだが、歌詞の過度の改変にやはりどうしても違和感があるということ。例えば『Good Times & Bad Times』は好きな曲で、キモの部分にあたるサビのフレーズをいきなり日本語で歌われるとかなり戸惑いがある。まあ、曲は生き物だとも思うし、新しいアレンジは楽しみでもあるけど、歌詞の改変はしんどい部分あるなと改めて思った。

追加公演ということもあってか、どこかリラックスしたムードの中、こなれた演奏で安心して聴けた。会場の雰囲気に対する居心地の悪さは払拭し難いが、佐野の表現のチャネルのひとつとして続けて欲しいライブだと思った。



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