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The 20th Anniversary Edition



The 20th Anniversary Edition
1980-1999 his words and music

Epic Sony
ESCB-2080/1 [2CD] (2000.1.21)
MHCL 2896-7 [2CD] (2021.6.16)

PRODUCER:
阿久津真一、Moto 'lion' Sano
RE-MIX ENGINEER:
渡辺省二郎

作詞・作曲・編曲:
佐野元春
Disc One
●アンジェリーナ
 '99 mix version
●ハッピーマン
 '99 mix version
●ダウンタウンボーイ
 '99 mix version
●ヤングブラッズ
 '99 mix version
●彼女
 Slow Songs version
●コンプリケイション・シェイクダウン
 Edited version
●ニューエイジ
 Edited version
●インディビジュアリスト
 H.K.B. session
●愛のシステム
 Edited version
●ぼくは大人になった
 Original
●ジャスミンガール
 '99 mix version
●君をさがしている(朝が来るまで)
 H.K.B. session
●君を待っている
 Original
●約束の橋
 No Damage II version
●新しい航海
 '99 mix version
●ロックンロール・ナイト
 '99 mix version

Disc Two
●サムデイ
 '99 mix version
●スウィート16
 '99 mix version
●レインボー・イン・マイ・ソウル
 '99 mix and edit version
●また明日
 '99 mix version
●トゥモロウ
 Edited version
●彼女の隣人
 Original
●レインガール
 '99 mix and edit version
●君を連れてゆく
 Original
●楽しい時
 Original
●水上バスに乗って
 Original
●すべてうまくはいかなくても
 '99 mix version
●経験の唄
 Original
●ヤング・フォーエバー
 Original
●ロックンロール・ハート
 Original
●シーズンズ
 Original
●イノセント
 20th anniversary edition



デビュー20周年を記念してリリースされた2枚組のベスト・アルバム。音の感触を統一するため、初期の作品を中心に多くの曲で再ミックスが行われた。サイズを調整するために編集を加えられた曲もいくつかあり、「インディビジュアリスト」と「君をさがしている(朝が来るまで)」の2曲はホーボー・キング・バンドによって新たにレコーディングされた。また、「イノセント」は先行発売されたシングル・バージョンからイントロをカットした編集バージョンである。

選曲は、大村雅朗編曲によるデビュー曲「アンジェリーナ」を除き、佐野元春自身が編曲を担当した音源の中から行われている。いわゆる代表曲はおおむねカバーされているが、「ガラスのジェネレーション」や「ハートビート」が収録されていないのはそうした理由による(いずれも伊藤銀次と共編曲)。ただ「アンジェリーナ」を収録するのなら、「ガラスのジェネレーション」も収録してよかったのではないかと思う。その他の選曲については個別に不満や疑問の残るものもあるが、その辺はもはや趣味や好みの世界なので、「記念盤」としてはまず問題のない選曲だろう。僕の個人的な「裏記念盤」を別途公開しているので興味があればご覧いただきたい。

このアルバムでの再ミックスは素晴らしい。原曲のイメージを損なうことなく、音のセパレーションを大胆に改善し、一部の曲ではこれまで埋もれていたニュアンスを掘り起こすことにすら成功している。発表から20年近い時間を経た初期の曲群が、このアルバムで新たな「切実さ」とともに僕たちに迫ってくるのだとしたら、それはもちろん第一に曲に内在する力の普遍性によるものだとしても、この愛情あふれる再ミックスが貢献するところも大きい。高く評価されるべき仕事だ。特に「ハッピーマン」「アンジェリーナ」の再ミックスは曲の生々しさをオリジナルより雄弁に伝える。

新録の2曲もできはよい。オリジナルよりさらにスカ・ビートを鮮明にした「インディビジュアリスト」も面白いが、特筆すべきなのは「君をさがしている(朝が来るまで)」だ。この曲はもともとフォーク・ロック調のアレンジを意図したものの、アルバム「Heart Beat」収録のオリジナルでは中途半端で不満足なできに終わったいわくのある作品だった。オリジナルから18年、ここではHKBはこの曲をまさにバーズそのもののフォーク・ロックとして演奏し、佐野はそれにボブ・ディランを意識したボーカルで応えている。偉大な先人へのオマージュを捧げながら、この曲のテーマの普遍性を改めて浮き彫りにする、極めて優れた演奏だ。このアルバムのベスト・トラックに挙げたい。

20年間、一貫して「真実」を追い続けてきたアーティストと、それを支えてきたスタッフ、そして支持してきたファンが、20年目に確認した「約束」がこのアルバムだ。入門編としても過不足のないできで、佐野元春の歌が現代に持つ意義も再確認できる。そしてオールド・ファンにとっては、今まで気がつかなかった何かがきっと新しく見つかる、そんな驚きと発見に満ちたベスト・アルバム。僕はこのアルバムを聴いて、僕が佐野元春の曲の中で一番好きなのは、「ロックンロール・ナイト」のアウトロだということに気づいた。



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