山羊座の魂 前作に続きボーカル・ダビングなどレコーディングの一部とミックス・ダウンをロンドンで行った。基本的な方法論、方向性は前作から継承されており、一部の曲には成熟した表現も見られるものの、全体としては引き続きまとまりに欠ける面白味のない作品となった。尚、この作品は銀次が東芝EMIからリリースした最後のアルバムであり、その後3年以上に及ぶブランクに入ることになる。 「彼女にヒプノタイズ」ではサエキけんぞうを作詞に起用しているが、サエキの毒のある面白味を生かしきっていない。また高橋研が手がけた「普通の男」は無反省かつ情緒過多な歌詞で最悪。尚、このアルバムでは60年代後半アメリカのバロック・ロックのグループ、レフト・バンクの「いとしのルネ」をカバー、この訳詞はザ・コレクターズの加藤ひさしが手がけており、ザ・コレクターズ自身もミニ・アルバム「愛ある世界」で同じカバーを披露している。これら以外の作詞は銀次自身が担当。 泉谷しげるのバックで知られるルーザー(村上秀一、吉田建、下山淳、ホッピー神山)が「Raintown 2099」でバッキングを担当した他、ホッピー神山はこれ以外の数曲でもキーボードで参加、またザ・コレクターズの古市コータローが「モンキーランドへようこそ」と「ロックはつらいね」でギターを担当した。 「僕達のSummer Days」「DANCING QUEEN」「想い出は止まらない」「Sha La La」などは銀次のナチュラルなスタンスをうまく表現に昇華していただけに、その他の曲での必要以上に深刻ぶったアティチュードやコミカルさをねらった表現が表層的に流れたのは惜しまれる。 このアルバムでは元ザ・スミスのジョニー・マーがセッションに参加するという情報があったが、結局実現せず、その想いがラストの「いとしのジョニー・マー」に現れている。 1998-2001 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |