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●Love Parade
 (作詞・作曲 伊藤銀次/編曲 島田 直)
●Dream Time
 (作詞・作曲 伊藤銀次/編曲 島田 直)
●幸せが始まる
 (作詞・作曲 伊藤銀次)
●涙の理由を
 (作詞・作曲 伊藤銀次/編曲 大村憲司)
●今でも君を忘れない
 (作詞・作曲 伊藤銀次/編曲 佐野元春・伊藤銀次)
●飛べないペガサス
 (作詞・作曲 伊藤銀次/編曲 島田 直)
●When You Grow Up
 (作詞・作曲 伊藤銀次)
●HELLO AGAIN
 (作詞・作曲 伊藤銀次)
●FLOWERS IN THE RAIN
 (作詞 夢野よう太/作曲 伊藤銀次)
LOVE PARADE
93.7.21
Ki/oon / KSC2 44

■PRODUCER : 伊藤銀次、楚良隆司、
 Danny Schogger、佐野元春

前作から3年以上のブランクを経て発表された通算13作目のオリジナル・アルバム。レコード会社を東芝EMIからキューン・ソニーに移籍した。この3年の間に何があったかは推測するしかないが、銀次の所属事務所であったアニマル・ハウスの金銭的な行き詰まりが音楽活動を制約していたのではないかと思われる。実際この作品のスリーブにはアニマル・ハウスの名前も、事務所のパートナーであり夢野よう太の名前で多くの作詞も手がけてきたディレクター佐藤文彦のクレジットもない。

ともかくも銀次は現場復帰を果たした。このアルバムの制作経緯は定かでないが、全体はいくつかのセッションから構成されている。銀次と楚良隆司のプロデュースによる4曲(M-1,2,4,6)、Danny Schoggerのプロデュースによる2曲(M-3,7)、そして佐野元春のプロデュースによる3曲である。全体としては穏やかなアーバン・ポップスといった感じで、ひとことで言えばかなりレイド・バックした印象を受ける。

「今でも君を忘れない」のようにポップ・ソングとしてほぼ完成された佳作もあるものの、多くはブランクを経て復帰した自らに言い聞かせるような内容で、むしろこのアルバムは銀次自身のために必要であったのかもしれないとすら感じさせる。メロウかつセンチメンタルに流れる部分が目につき、曲そのもののできも必ずしもよくはない。

特筆すべきは佐野元春のこのアルバムへのコミットである。佐野はシングル「涙の理由を」のカップリングで発表された「Baby Blue」の新録を含めて4曲をプロデュース、ザ・ハートランドとともにレコーディングに参加し、「FLOWERS IN THE RAIN」では銀次とのアコースティック・デュオを聴かせる。このとき佐野の頭の中にはきっと、エルビス・コステロとニック・ロウがデュエットした「Baby It's You」か、ニック・ロウとデイブ・エドモンズがデュエットした「Crying In The Rain」があったに違いない。

本作では他にも元ローザ・ルクセンブルグの玉城宏志がギターで、杉真理と松尾清憲がコーラスで参加している他、グレート3の片寄明人、高桑圭も「HELLO AGAIN」で佐野元春とともにバッキング・ボーカルを担当している。また「涙の理由を」のアレンジを手がけた大村憲司はかつてYMOのワールド・ツアーにも参加したギタリストで、銀次とリードのバトルを繰り広げている。

リスナーに積極的に働きかけてくる要素が決定的に不足した困難な作品。音楽的にはよくできているが聴いているうちに哀しさがつのる。銀次はこの後10年間に渡って自らの音源を発表しなくなる。


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