STARDUST SYMPHONY '65-'83 前2作のコンセプトを継承しながら、楽曲もサウンド・プロダクションもより作り込まれた感のある通算4作目。このアルバムでは、銀次がティーンエイジャーであった60年代中期のポップ・エッセンスを現代的な文脈で再提示することが明示的なテーマとなっており、アルバム・タイトルに冠せられた「65-83」とはまさにその宣言に他ならない。 さらにこの作品では大人としての責任と自覚を負いながら子供のような無垢さを失わない存在として「アダルト・キッズ」(今日言われるものとは異義)概念を提唱、歌詞の内容もボーイズ・ライフ的な色彩の濃かった前2作から、社会との葛藤に目配りを見せる内省的な世界へと一部の曲で新たな展開を見せた。特に康珍化が詞を書きカレン・カーペンターに捧げられた「ディズニー・ガール」は新境地を開いたと言えよう。 また「ビューティフル・ナイト」は銀次自ら作詞を手がけ、銀次の同世代観を強く感じさせる秀作ではあるが、おそらくは佐野元春の「Rock & Roll Night」を意識したためか、アレンジやボーカルがオーバー・プロデュースとなってしまったのは惜しまれる。本作ではこの他にも児童合唱団を配してミュージカル風な作りにした「パパラプドゥ・ピピラプドゥ」、モータウンを意識した「ME & YOU, YOU & ME」など、65年と83年をつなぐ意識の系譜が随所に立ち現れている。 ジャケットは秋山育、作詞には銀色夏生を新たに起用した。また「スターダスト・トレイン」で作詞を手がけた夢野よう太は銀次のディレクターであり経営上のパートナーでもある「ジャンボ」佐藤文彦の変名で、この後銀次の作品で多く作詞することになる。シングル曲「泣きやまないでLOVE AGAIN」ではNOBODYがコーラスに参加。 1998-2001 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |