PERSON TO PERSON 両A面シングル「夜を駆けぬけて/愛をあきらめないで」を経て前作から1年ぶりにリリースされた通算7作目。シングル2曲は本作にも収められた(但し「夜を駆けぬけて」はリミックス)。前作での試行錯誤を踏まえ、本作ではより大胆にロック寄りのアプローチを展開した。特に「ノー・モア・ブルース・トゥナイト」「サイレント・ダンサー」では佐野元春のアルバム「VISITORS」やパワー・ステーションなどから影響を受けたと思われるファンク・ロックに傾倒している。 作詞では銀次自身が5曲を手がけ、「夜を駆けぬけて」で明らかになりつつあった、ナイーブで心優しい人間ほど自らそのナイーブさを守るために闘うべきであるというテーマが繰り返し現れる。このアルバムは銀次のそうした意識が全面に押し出された一種のコンセプト・アルバムであるが、上述のような音楽的傾向や、ハードさを意識したボーカリゼーションは、銀次の声質とマッチしているとは残念ながら言い難い。 しかし一方では「フラワーズ・イン・ザ・レイン」「いつでもここにいる」「ロックン・ロール・ドクター」などいくつかのポップな作品も収録されており、辛うじてのバランスは保たれている。特に「フラワーズ・イン・ザ・レイン」はこれ1曲のためにアルバムを買っても惜しくない名曲である。また「いつでもここにいる」は、銀次がシュガーベイブを意識し、このアルバムの中で原点を示すべく置かれた曲である。 「夜を駆けぬけて」では佐野元春が、「フューチュア・ショック」では杉真理が、「ロックン・ロール・ドクター」では杉真理のバック・コーラス隊であるセイラウェイ(楠瀬誠志郎他)がコーラスで参加。 1998-2001 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |