NATURE BOY 前作の「軽薄な」エレクトロ・ポップ路線に対して一部のファンから厳しい批判が寄せられたことを受けて、アコースティックかつソウルフルをテーマに制作された移籍第2作。 ジャケット写真やデザインのタイポグラフィ、一部の楽曲などはスタイル・カウンシルをかなり露骨に意識している。まさにアコースティック・ソウルという形容がぴったりの「Heart of Garden」、アコースティック・ギターのイントロが印象的な「Rock'n'Roll Child」、バブルガム・ブラザースに提供した曲を自らカバーした「Destination」など、アルバムの趣旨に沿った佳曲もあるが、全体としては曲のできにばらつきがあり、散漫な仕上がりとの印象は拭い難い。 また、「Whisper of a Scream」は社会的なメッセージを込めた作品で、淡々としたメロディの繰り返しが徐々に情感を盛り上げて行く作りとなっている。しかしながらこうしたテーマがこのアルバム、銀次の音楽になじむかどうかは疑問だ。結果としてこの曲を収録することで、このアルバムの意図はさらに曖昧になってしまった。メッセージ・ソングとしても、ポップ・ソングとしても中途半端な扱いであったと言わざるを得ない。 94年に再発されたCDでは、86年11月に発売されたシングル「イマジン」のカップリングであった「Whatever Gets You Thru The Night」(ジョン・レノンのカバー)がボーナス・トラックとして収録されている。 1998-2001 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |