BABY BLUE 前作から5年、松原みきのバック、佐野元春との出会い、そして沢田研二のアレンジ、そうしたキャリアを積み上げる中で、銀次は自分の音楽センスがオーバーグラウンドで受け入れられる時代になったのだという確信を深めたに違いない。沢田研二の仕事を通じて知己を得た渡辺プロの木崎賢司の勧めもあり、銀次はいったんは棚上げにしたソロ・アーティストとしての活動再開を決意する。 このアルバムでは銀次が何を歌うべきかということが明確に意識されている。それはつまり銀次の細いナイーブな歌声を生かすポップなサウンド・プロダクションであり、はっきりした美しいメロディであり、身近にある感情の動きを真新しい言語感覚で切り取ってみせる歌詞であり、その結果として3分間のコンパクトな曲構成に詰め込まれた音楽のバブルガム・マジックだった。 プロデューサーである木崎(名義は笠原じゅん)は、銀次にまず歌メロを完成させることを徹底して求めたという。結果としてこの作品は、バディ・ホリーからビートルズ、ジェフ・リンへと連なるポップの系譜を受け継ぎ、コンテンポラリーな日本の音楽情況の中でそれらを極めて自覚的に再構築して、銀次の作曲家・編曲家としての才能を世に示すアルバムとなった。 ジャケットは横尾忠則、作詞には売野雅勇他を起用した。また、佐野元春が「そして誰のせいでもない」を提供、コーラスにも参加している。 1998-2001 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |