logo 魂の自転車操業


昨年はサイトの更新をしばらく休んだりした。その時にも書いたが、結局は僕自身がここに何を書けばいいのかという確信が持てなくなったことがその理由だった。10年前に僕がサイトの公開を始めたときに比べればどうしてもここに何かを書きたいという強烈な欲求のようなものは明らかに失われているし、書いていることの力というか勢いも明らかに落ちているように僕には思えた。

だから僕はサイトの更新を止めた。こんなもの書いていても仕方ないんじゃないかと思った。付加価値のない繰り言をサイバー空間に垂れ流したとしてそれに何の意味があるのか疑問だったし、何より自分の時間がもったいないような気がした。バカみたいにパソコンに取り付いてどうでもいいようなことをパカパカ入力しているヒマがあったら、本でも読んでいた方がよっぽどマシだと思ったのだ。

だが僕はサイトの更新を再開した。その時、その問題がすっきり解決したかといえばまったくそういう訳ではなかった。新しい炎が燃え上がった訳でも新しい光が見えた訳でもなかった。

ではなぜ僕はサイトの更新を再開したのだろう。

分からない。

正直よく分からないのだ。よく分からないけど何か書きたかったのだ。

あるいはくだらない、意味がないからといって書くのをやめてしまうことができないくらい、「サイトを更新する」という行動が僕の日常的な営為の一部になってしまっていたのかもしれない。何でもいいから何か書いていたかったのだ。何でもいいから何か書きたい、ただ、そうである以上、何かマシなものを書く。それは気分の問題ではなく意志の問題だということが少し分かったのかもしれない。

そう、そこに問題があるからといっていちいち立ち止まっていられるほど僕には余裕はないというだけのことなんじゃないかと今では僕は思っている。つまらないと言われても、くだらないと言われても、勢いがなくなっても、同じことの繰り返しでも、構わない、書き続けるんだ。書きながら考えるんだ。物書きジャンキー。繰り言だと言われたくなければ新しいことを自分で考えるんだ。

泳ぎを止めることができないマグロのように、走り続けなければ倒れてしまう自転車のように、僕はこの魂の自転車操業を続けて行こうと思う。どこへ行き着くのかは僕も知らないが、これは僕のサイトであり、僕の一部だからだ。僕が僕自身のために書く、それに区切りのいい「終わり」があると思う方がおかしいのかもしれないと今思った。


2008年1月
西上典之 a.k.a.Silverboy



Copyright Reserved
1997-2008 Silverboy & Co.
e-Mail address : silverboy@silverboy.com