僕がこの「Silverboy Club」をオープンして早くも2年が過ぎようとしている。その間、僕のクラブは何度も試行錯誤を繰り返してきたけども、最初にこのホームページを立ち上げたときの決意はきちんと貫いてきた。それは言ってみれば「モア・コンテンツ、レス・デコレーション」、意味もなく重い画像や動画、音声を極力排し、読むに値する良質なコンテンツだけを快適なアクセス環境で提供することだった。

今、当時に比べてネットへの接続・通信環境は大きな進歩を見せ、大容量の情報もストレスなく流通できるチャンスは生まれつつあるかもしれない。しかし、だからといって不必要な情報を流通させることに新しい意義が生まれる訳では決してない。僕は引き続き僕のクラブが魅力的な場所であり続けるように、「モア・コンテンツ、レス・デコレーション」を合い言葉に良質なコンテンツだけを提供し続けたいと思う。

このクラブを始めてから、実にたくさんの人たちから意見や感想を聞かせてもらった。僕と同じくらいの年の人から大学生まで、鋭い音楽評を書き送ってくれる人もあれば、自分の抱える問題を切々と書きつづってくれる人もあった。古い友達から思いがけないメールが届いたりもした。これらはすべて僕がこのネットの海に僕の言葉を浮かべてみたからこそ始まったことだ。形のない仮想空間に形成されたこの新しいコミュニケーションを、僕は肯定したい。

そうしたコミュニケーションが僕たちの実生活をどんな場所に運んで行くのか、そのことに僕は興味がある。

1999年1月
西上典之 a.k.a.Silverboy