今、何処 2023.9.3 東京国際フォーラム 佐野元春 & THE COYOTE BAND DaisyMusic DMA-042/043 [2CD] (2024.3.6) ■ Producer：Moto 'Jet' Sano ■ Co-Producer：Yosuke Ooi ■ Recording Engineer：Yoshiyasu Kumada ■ Mixing Engineer：Yoshiyasu Kumada

曲目 　 Disc One ● OPENING ● さよならメランコリア ● 銀の月 ● クロエ ● 植民地の夜 ● 斜陽 ● 冬の雑踏 ● エデンの海 ● 君の宙 ● 水のように ● 大人のくせに ● 明日の誓い Disc Two ● エンタテイメント! ● 新天地 ● 愛が分母 ● ポーラスタア ● La Vita è Bella ● 純恋（すみれ） ● 詩人の恋 ● 優しい闇 ● 約束の橋 ● SWEET 16 ● サムデイ ● アンジェリーナ

2023年6月から10月にかけて全国14か所をまわった「今、何処 TOUR 2023」から、9月3日に東京国際フォーラムで行われた公演の模様を収録したライブ・アルバム。東京での公演はツアーの千秋楽として行われることが多いが、このツアーでは東京のあとに追加公演の横浜、那覇、振替公演の岡山をまわり、10月10日、札幌での追加公演が最終日となった。

タイトルどおりアルバム「WHERE ARE YOU NOW」のプロモーション・ツアーであり、東京での公演ではアルバムから『永遠のコメディ』を除く全曲を演奏したほか、コヨーテ・バンドのレパートリーを中心にアンコールを含め全部で24曲を披露した。本作ではその全曲を収録しているがMCなどはほぼカットされている。

実際のステージでは『冬の雑踏』のあと『新天地』から『詩人の恋』が演奏され、そこからアルバム「WHERE ARE YOU NOW」からの曲に戻り、本編の最後を『優しい闇』で締めくくる構成になっていたが、このアルバムでは曲順を入れかえ、Disc Oneにアルバム「WHERE ARE YOU NOW」からの曲、Disc Twoにそれ以外の曲（アンコール含む）を収録する形になっている。

ロシアのウクライナへの侵攻から1年半を過ぎても収束の兆しがない一方、新型コロナウィルスのパンデミックは徐々に沈静化しこの年のゴールデン・ウィーク明けにはいわゆる「五類移行」によって僕たちの日常は戻りつつあった。このツアーはそのような時期に行われたものであり、以前のように一席ずつ間隔を開けたり、マスク着用必須や声出し禁止などの制限はなくなっていた。作品中の佐野はMCもこうした背景を踏まえたもので、観客の声援が聞こえてくるのは久しぶりのことだ。

ライブ自体の内容については当日のライブ・レビューを参照してほしいが、アルバム「WHERE ARE YOU NOW」の世界観をできるだけスタジオ音源に即した形で表現しようとするステージだった。コヨーテ・バンドの演奏も力強く、迷いのないもので、「WHERE ARE YOU NOW」という傑作アルバムがライブ・パフォーマンスを経てひとつの完成に至る、その記録として貴重な作品だ。

なお、このライブ・アルバムと同時に同じステージの模様を収めた同タイトルの映像作品がリリースされている。