THE DOCUMENTARY
●Chapter 1 プロローグ
●Chapter 2 「ミスター・アウトサイド」
●Chapter 3 「廃墟の街」
●Chapter 4 「スウィート16」
●Chapter 5 「誰かが君のドアを叩いている」
●Chapter 6 「レインボー・イン・マイ・ソウル」
●Chapter 7 「また明日…」
●Chapter 8 「エイジアン・フラワーズ」
●Chapter 9 エピローグ
特典映像
●佐野元春スペシャルインタビュー
●『Sweet 16』CM(フルバージョン)
●TDK『カセットテープ・NEW AR』CM(フルバージョン)
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2022年11月に横浜と大阪で名盤ライブと銘打って行われたアルバム「sweet 16」の再現ライブ会場で配布されたDVD。配信視聴チケットにも付属して販売されたが、DVD単体の一般販売はされていない。同様の企画は2013年にアルバム「SOMEDAY」についても行われており、このときも同様のDVDが配布されている。
内容的には佐野元春がアルバムのエンジニアであった坂元達也とともに、スタジオでアルバムのマルチテープを再生しながらそれぞれの曲についてエピソードを語るというもの。坂元の他にハートランドの古田たかし、長田進、西本明、アート・ディレクターの駿東宏、音楽ジャーナリストの今井智子、当時担当A&Rであった滝瀬茂、同じくマネージャであった藤原亨らが出演しコメントを述べている。
ボーナス映像として佐野のインタビュー、アルバム・プロモーションのためのテレビCM、アルバム収録曲『誰かが君のドアを叩いている』が使用され佐野自身も出演したTDKのテレビCMなどが収録され、全体では68分とそれなりに見ごたえのある映像作品となっている。
ミキサー卓のフェーダーを上げ下げしながら、『エイジアン・フラワーズ』に佐野の「ジャンボリー・チューズデイ」というシャウトが入っていたり、『誰かが君のドアを叩いている』は当初もう少しゆったりしたテンポだったものだったことなどが実際の音とともに聞けるのは大変興味深い。
なかでも『ミスター・アウトサイド』が別の曲のコーダをループして制作され元の曲は世に出なかったというエピソードで、その原曲が聴けるのは資料的な価値も高い。なんなら他のすべてのアルバムについても続きものでこういう企画をやって欲しいくらいだ。
他にもアルバムをめぐる貴重なエピソードが多数収録されており、1991年5月に出演したフジテレビの「サウンド・アリーナ」のオンエア映像もわずかだが見ることができる。事情があって音楽活動から遠ざかった1年間から、ツアーを経て現場復帰を果たし制作した本作が、佐野のなかでも大きな意味を持つアルバムであったことを窺わせる丁寧なつくりで好感の持てる作品。
なお、本編のクレジットでは2016年に死去したハートランドのベーシスト小野田清文への献辞がある。
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