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名盤ライブ「SOMEDAY」 LIVE IN CONCERT ZEPP DIVERCITY 2013.11.16
●2022.5.25 ●DaisyMusic ●MHXL 110 [BD]
●シュガータイム
●ハッピーマン
●ダウンタウンボーイ
●二人のバースディ
●麗しのドンナ・アンナ
●サムデイ
●アイム・イン・ブルー
●真夜中に清めて
●ヴァニティ・ファクトリー
●ロックンロール・ナイト
●サンチャイルドは僕の友達
-Encore
●Bye Bye C-Boy
●マンハッタンブリッヂにたたずんで
●彼女はデリケート
2013年11月に東京と大阪で行われたアルバム「SOMEDAY」の完全再現ライブ。CSの音楽専門局「MUSIC ON! TV」の企画として実施されたもので、その名のとおり同アルバムの全曲をオリジナルに忠実な演奏で曲順通りに披露するというもの。

収録されているのは11月16日に東京・Zepp DiverCityでのステージ。昼夜2回公演であったがそのどちらを収めたものかはクレジットされていない。なお、大阪は同月24日に堂島リバーフォーラムで同じく1日2回公演を実施した。

僕は東京での夜の部を見ており、ライブの模様やこのライブについて感じたことはその時のライブ・レビューを参照してほしい。

このパッケージを見てあらためて感じたのは、「SOMEDAY」というアルバムが思っていた以上にソウルフルな作品だということで、特に『アイム・イン・ブルー』から『真夜中に清めて』を経て『ヴァニティ・ファクトリー』に至る流れには、洗練されたブルー・アイド・ソウルからの影響が感じられた。原曲に忠実に演奏されたライブだからこそ感じ取れたことだと思った。

ライブ・レビューで僕は「この日のライブに何か肯定的なモメントを見出すことができた人は、今の生を肯定的にドライブしている人だろう。この日のライブに懐旧的なものしか見つけられなかった人は、懐旧的な毎日を生きている人だろう。その意味でこのライブは残酷なまでにリアルだったのだ」と書いたが、このビデオ・パッケージについても同じことが言えるかもしれないと思った。

おそらくはアルバムのリリース40周年を期してパッケージ化されたものだと思うが、貴重なライブであり映像として手許に置けることは嬉しい。


WHERE ARE YOU NOW MUSIC VIDEOS
●2022.7.6 ●DaisyMusic ●DMDVD-028 [DVD]
●エンタテイメント!
●愛が分母
●この道
[インタビュー(1)]
●銀の月
●街空ハ高ク晴レテ
●合言葉
[インタビュー(2)]
●さよならメランコリア
●クロエ
[インタビュー(3)]
●水のように
アルバム「WHERE ARE YOU NOW」初回限定盤付属のDVD。

アルバム「ENTERTAINMENT!」の収録曲を含む9曲のMV(M-1からM-6は既発表)に加え、バンド・メンバーがコヨーテ・バンドや佐野元春について語るインタビューが挿入されている(佐野本人のインタビューはない)。

また、「インタビュー(3)」のパートでは、佐野がスタジオでアルバムのラスト曲となる『今、何処』の着想を得て、バンド・メンバーに説明しながら曲を構築して行く様子が、レコーディング・ドキュメンタリーとして短くはあるが収録されている。


Sweet16 THE DVD
●2022.11.23 ●Sony Music Solutions ●MBL-3(TDBD-90095) [DVD]
THE DOCUMENTARY
●Chapter 1 プロローグ
●Chapter 2 「ミスター・アウトサイド」
●Chapter 3 「廃墟の街」
●Chapter 4 「スウィート16」
●Chapter 5 「誰かが君のドアを叩いている」
●Chapter 6 「レインボー・イン・マイ・ソウル」
●Chapter 7 「また明日…」
●Chapter 8 「エイジアン・フラワーズ」
●Chapter 9 エピローグ

特典映像
●佐野元春スペシャルインタビュー
●『Sweet 16』CM(フルバージョン)
●TDK『カセットテープ・NEW AR』CM(フルバージョン)
2022年11月に横浜と大阪で名盤ライブと銘打って行われたアルバム「sweet 16」の再現ライブ会場で配布されたDVD。配信視聴チケットにも付属して販売されたが、DVD単体の一般販売はされていない。同様の企画は2013年にアルバム「SOMEDAY」についても行われており、このときも同様のDVDが配布されている。

内容的には佐野元春がアルバムのエンジニアであった坂元達也とともに、スタジオでアルバムのマルチテープを再生しながらそれぞれの曲についてエピソードを語るというもの。坂元の他にハートランドの古田たかし、長田進、西本明、アート・ディレクターの駿東宏、音楽ジャーナリストの今井智子、当時担当A&Rであった滝瀬茂、同じくマネージャであった藤原亨らが出演しコメントを述べている。

ボーナス映像として佐野のインタビュー、アルバム・プロモーションのためのテレビCM、アルバム収録曲『誰かが君のドアを叩いている』が使用され佐野自身も出演したTDKのテレビCMなどが収録され、全体では68分とそれなりに見ごたえのある映像作品となっている。

ミキサー卓のフェーダーを上げ下げしながら、『エイジアン・フラワーズ』に佐野の「ジャンボリー・チューズデイ」というシャウトが入っていたり、『誰かが君のドアを叩いている』は当初もう少しゆったりしたテンポだったものだったことなどが実際の音とともに聞けるのは大変興味深い。

なかでも『ミスター・アウトサイド』が別の曲のコーダをループして制作され元の曲は世に出なかったというエピソードで、その原曲が聴けるのは資料的な価値も高い。なんなら他のすべてのアルバムについても続きものでこういう企画をやって欲しいくらいだ。

他にもアルバムをめぐる貴重なエピソードが多数収録されており、1991年5月に出演したフジテレビの「サウンド・アリーナ」のオンエア映像もわずかだが見ることができる。事情があって音楽活動から遠ざかった1年間から、ツアーを経て現場復帰を果たし制作した本作が、佐野のなかでも大きな意味を持つアルバムであったことを窺わせる丁寧なつくりで好感の持てる作品。

なお、本編のクレジットでは2016年に死去したハートランドのベーシスト小野田清文への献辞がある。



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