logo ビデオ・DVD解説 2008-2011


横浜スタジアム '89・夏 Live at Yokohama Stadium Summer '89
●2008.6.4発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1257
●新しい航海
●ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●シティチャイルド
●ふたりの理由
●愛することってむずかしい
●ボリビア−野性的で冴えてる連中
●愛のシステム
●俺は最低
●ジュジュ

特典映像
●シェイム−君を汚したのは誰
●ストレンジデイズ−奇妙な日々
●月と専制君主
●99ブルース
●ハッピーマン
ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 限定編集版」のDISC 3としてリリースされたもの。「ナポレオンフィッシュ・ツアー」の公演として1989年8月24・25日に横浜スタジアムで行われた「横浜スタジアム '89・夏」の映像をDVD化したもの。このツアーの模様はDVD「NAPOLEONFISH TOUR '89 −自由への新しい航海−」に一部収録されているが、横浜スタジアムでの大規模なライブの様子が映像化されるのは初めてである。

「愛することってむずかしい」や「ジュジュ」はオリジナルとはまったく異なったアレンジで歌われており、ここでしか見られない貴重なライブ・バージョン。歌詞を一部変えて歌われた「99ブルース」や、特典として収録された「ストレンジデイズ」や「月と専制君主」、「ハッピーマン」なども貴重なパフォーマンスであり、この時期の佐野が表現的にひとつのピークにあったことを窺わせる。

収録時間は65分。楽曲の演奏はジャムに流れることなくコンパクトにまとまっており、密度の高いライブの記録として重要なものである。


COYOTE 2009.7.26 * LIVE AT ZEPP TOKYO
●2009.12.25発売 ●DaisyMusic ●DMDVD-007
●星の下 路の上
●荒地の何処かで
●君が気高い孤独なら
●ヒナギク月に照らされて
●呼吸
●夜空の果てまで
●世界は誰の為に
●コヨーテ、海へ
●黄金色の天使

●ぼくは大人になった
●アンジェリーナ
2009年7月4日から30日にかけて、全国10箇所のライブ・ハウスで行われたツアーの中から、7月26日にお台場のZEPP TOKYOで行われた公演の模様を収録したライブ・ビデオ。当日はアルバム「Coyote」と「星の下 路の上」EPの全曲、アンコールで何曲かが演奏されたが、収録されたのは本編9曲、アンコール2曲の計11曲となっている。この日のライブは僕も現地で見た。

このツアーではHKBではなく深沼元昭、小松シゲル、高桑圭ら若手ミュージシャンで編成した「コヨーテ・バンド」がバッキングを行っており、非常に清新で明快なビートをたたき出していたが、そのことがこのビデオでも確認できる。アルバム「Coyote」の核は端的に言えば「直接性への回帰」だと思うが、このビデオ作品もそのベースに沿ったシンプルな作りで、しっかりと音楽を聴かせ演奏を見せる構成になっているのは好感が持てる。

まあ、元になるアルバムがよく、ライブもよかったのだから、それを記録したビデオがいいのは当たり前。収録されなかった曲があるのは残念だが、通して見ることを考えれば全60分程度にまとめることはやむを得ないと思うし、選曲は個人の好みがあるだろうがパッケージとしては最大公約数的で無難な編集ではないだろうか。前衛であり続けようとする佐野の意志が表れたライブの記録である。


月と専制君主 レコーディング・ドキュメント
●2011.1.26発売 ●DaisyMusic ●POBX-9385
●月と専制君主
●クエスチョンズ
●日曜の朝の憂鬱
●君がいなければ
●ジュジュ
●月と専制君主
●ヤングブラッズ
セルフ・カバー・アルバム「月と専制君主」の初回限定盤付属のDVDで単独の発売はない。アルバムのレコーディング風景を収録したものだが、『ヤングブラッズ』のみは完成音源をバックに演奏シーンを当て振りしているものではないかと思われる。その他には通しで収録されている曲はない。全体で約33分。

ナレーションはなく淡々とレコーディングの風景を拾って行く構成だが、佐野がミュージシャンに指示を出しながら曲の骨格を固めて行くプロセスは貴重なもの。自らもピアノやギター、パーカッションなどを演奏しながら、時には口真似も駆使して、イメージをミュージシャンたちに伝え、具体化して行く佐野の様子は興味深いものがある。

『日曜の朝の憂鬱』で佐野がブルースハープを演奏するシーンは文句なくカッコいい。僕は、佐野にはピアノよりもギターよりもブルースハープが似合うと以前から思っているが、それがこうして映像に記録されたことは嬉しい。テレビ出演などでは、佐野のどちらかといえば理知的な側面が見えるが、ここではスタジオで音楽に没頭しているアーティストとしての佐野の姿が垣間見える。

欲を言えばラブ・サイケデリコやCoccoがゲスト参加したときの様子も収録して欲しかったが、生音を丹念に拾ったこのアルバムの成り立ちを知る上では、コンパクトにまとまった重要な映像資料と言えるだろう。


コヨーテ、海へ
●2011.7.20発売 ●Pony Canyon ●PCBP 52339
DISC 1
●「コヨーテ、海へ」

DISC 2
●特番 BEAT GOES ON〜ビートを探す旅〜
2011年1月3日にWOWOWで放送された堤幸彦監督によるスペシャル・ドラマ「コヨーテ、海へ」をDVD化したもの。佐野の音楽映像作品ではないが、佐野のデビュー30周年記念企画としてアルバム「COYOTE」を全編にフィーチャーして制作され、佐野自身もワンシーンでカメオ出演している作品。

内容的にも佐野の音楽の重要なバックボーンとなっている1950年代のビート・ムーブメントがモチーフであり、佐野のエピソードが劇中で大きな鍵になっていることからも、佐野元春からビートを学んだリスナーにとっては一見の価値のある仕上がりとなっている。ドラマそのもののレビューは放送時に別途掲載しているのでそちらを参照して欲しい。

今回のリリースにあたっては、本編の放送に先だって同日にWOWOWで放送された特番「BEAT GOES ON〜ビートを探す旅〜」を収録した特典DVDが付属している。この番組は監督の堤自身がニューヨークやウッドストックでビートの足跡を追うという、本編のメイキングにとどまらないドキュメンタリー的な内容になっており興味深い。佐野元春のインタビューも収録されており、資料として貴重なもの。僕もこの特番は見逃していたのでこのリリースは有難い。

DVDの告知サイトには「放送されたものと一部内容が異なります」とも記載があるので、一部編集されているのかもしれないが詳しくは未確認。


ALL FLOWERS IN TIME
●2011.12.14発売 ●DaisyMusic ●POBE-9382/6(限定版)・POBE-3804/5(通常版)・POXE-29001(Blu-ray)
DISC ONE 「僕が旅に出る理由」
2010.8.14 SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
井上 鑑ファウンデーション
●ポップチルドレン
●再び路上で
●ベルネーズソース
●こんな夜には
●アルケディアの丘で
●僕が旅に出る理由
●ZEPHYR(井上 鑑ピアノソロ)
●何もするな
●植民地の夜は更けて
●国籍不明のNoe Beatniks
●何が俺達を狂わせるのか
●ポップチルドレン(アンコール)
●日曜日は無情の日(ボーナス映像)

DISC TWO 「ソウルボーイへの伝言」
2010.12.14 横浜BLITZ
ザ・コヨーテ・バンド
●星の下 路の上
●荒地の何処かで
●US
●夜空の果てまで
●月と専制君主
●ぼくは大人になった
●ダウンタウン・ボーイ
●ヤァ!ソウルボーイ
●ヤング・フォーエバー
●クリスマス・タイム・イン・ブルー
●アンジェリーナ
●ヤング・フォーエバー(ボーナス映像)

DISC THREE 「ALL FLOWERS IN TIME 大阪」
2011.3.6 大阪城ホール
ザ・ホーボー・キング・バンド
●THEM CHANGES
●君をさがしている
●コンプリケイション・シェイクダウン
●インディヴィジュアリスト
●欲望
●ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●彼女が自由に踊るとき
●SPIDER CODE
●バイバイCボーイ
●週末の恋人たち
●君を連れてゆく
●ヤングブラッズ
●ソー・ヤング
●約束の橋
●ロックンロール・ナイト
●ニュー・エイジ
●新しい航海
●サムデイ
●悲しきレイディオ
●アンジェリーナ(アンコール)

DISC FOUR-FIVE 「ALL FLOWERS IN TIME 東京」
2011.6.19 東京国際フォーラム
ザ・ホーボー・キング・バンド
●THEM CHANGES
●君をさがしている
●ハッピーマン
●ガラスのジェネレーション
●トゥナイト
●カム・シャイニング
●コンプリケイション・シェイクダウン
●99ブルース
●欲望
●ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●ジュジュ
●月と専制君主
●レインガール

●SPIDER CODE
●ヤングブラッズ
●観覧車の夜
●君を連れてゆく
●ロックンロール・ナイト
●約束の橋
●ヤング・フォーエバー
●ニュー・エイジ
●新しい航海
●サムデイ
●悲しきレイディオ
●アンジェリーナ(アンコール)
●ドキュメント2010-2011(ボーナス映像)
2010年から2011年にかけ、スポークンワーズ・セッション、クラブ・サーキット、8大都市でのホール・ツアーと3つのシリーズに分けて行われた佐野元春の30周年ライブ・ツアーの模様を収録した映像作品。ここに示した曲構成は5枚組限定版のもので、通常版は東京国際フォーラムでのファイナルの模様を収めた2枚組(限定版のDISC FOUR、DISC FIVE)。また、通常版と同内容のBlu-rayディスクも発売されている。

DISC ONEは「スポークンワーズ・セッション」と題され、2010年8月14日に渋谷で行われたライブの模様を85分に亘り収録している。井上鑑(kb)、山木秀夫(dr)、高水健司(bs)、山本拓夫(sax)らの井上鑑ファウンデーションズをバックにしたポエトリー・リーディングの様子が85分間のモノクロ映像で収められている。

ポエトリー・リーディングの場合、通常のライブにも増して言葉と音楽のせめぎ合いが熾烈であり、ライブの場での一回性、偶発性がパフォーマンスに占める割合は大きいと思うが、このライブの映像は記録として重要なものだろう。アーティストとしての佐野元春の先鋭性、前衛性が感じ取れる。

尚、「ボーナス映像」として『日曜日は無情の日』が収められている。収録日時はクレジットがなく不明である。

DISC TWOは「クラブ・サーキット・ツアー」として、2010年10月から12月にかけて全国21箇所で行われたライブから、12月14日の横浜BLITZでのライブの模様が60分間収められている。深沼元昭(gu)、高桑圭(bs)、小松シゲル(dr)、渡辺シュンスケ(kb)らのコヨーテ・バンドをバックにしたパフォーマンスを見ることができる。

僕自身としては、プレイアビリティの高さを裏づけとしたジャム・セッションに流れがちなHKBよりも、ロックとしての初期衝動により忠実なコヨーテ・バンドの清新な演奏の方がより曲の本質を直接伝えきっているようで好感を持っているが、ここでもそのシンプルでストレートな、そしてその分、曲が本来持つ魅力そのものを素直に引き出している演奏は一見の価値がある。

ただ、残念なのは、横浜BLITZというクラブ、ライブハウスとはいえホールに準じる大きな、天井の高い会場のパフォーマンスを収録したことだ。僕は偶々高崎のライブハウスでのライブを見ることができたが、観客と近く、舞台が低く、圧迫感のある天井の、500名も入らないような狭い会場でのパフォーマンスは、佐野の音楽がそもそもロックンロールであることを再認識させる圧倒的なものだった。せっかくのクラブ・サーキットなのだから、少々撮影に限界があるとしても、小さな会場での臨場感ある映像を記録に残して欲しかったと思う。

「ボーナス映像」として収められた『ヤング・フォーエバー』は2010年10月22日、ツアーのスタートに先駆けてビルボードライブ東京で行われたプレミアム・ライブでの演奏。

DISC THREEはホール・ツアーのうち大勢のゲストを迎えて行われた大阪ファイナル、2011年3月6日の大阪城ホールでのライブの模様が収められている(145分)。このライブの様子は2011年5月14日にCS・TBSチャンネルで110分に亘って放送されているが、DVDでは『君をさがしている』『コンプリケイション・シェイクダウン』『ロックンロール・ナイト』『ニュー・エイジ』が追加されており、結果的にテレビ放送はダイジェスト版だったことになる。放送された映像はオープニング、エンディング等も含め本作と同じものだと思われる。

このDVDではスカパラホーンズ、藤井一彦、ラブ・サイケデリコ、杉真理、伊藤銀次、片寄明人、堂島孝平、山口洋、スガシカオ、山下久美子、深沼元昭らのゲストシーンを中心に収録。いずれもゲストの佐野に対するリスペクトや祝福が素直に現れている共演で、映像としても貴重なもの。伊藤銀次にひときわ大きな歓声が上がるのは嬉しい。

ゲストなしでの演奏は東京ファイナルとの重複も多く、思いきってオミットする手もあったかもしれないが、このライブを単体として記録するために収録するという判断であればそれはそれで理解できる。全体としてパッケージ化されることに意義のある映像だと思う。

DISC FOURとFIVEは2011年6月19日に東京国際フォーラムで行われた東京ファイナルの模様を完全収録したもの。東京ファイナルは当初3月12日、13日に予定されていたが、直前に東日本大震災がありいったんキャンセルされたもの。

佐野の誕生日にファイナルを迎えるという目論見は、公演が6月18日、19日に延期されたことによって狂う結果になったが、震災をはさんで振替公演の実施にこぎつけ、30年の年月をファンと確認し合うことになったこの日のライブには、新しい意味が生まれたと言ってもいいだろう。長尺ではあるが、記念すべきライブを完全収録したことは評価したい。

DISC FIVEの「ボーナス映像」は大きく二つのパートから成り立っている。前半は、2010年8月に行われた30周年アニバーサリー前夜祭「アンジェリーナの日」でのクリス・ペプラーとのトークとプレス、ファンとの質疑応答の記録映像。後半は2011年8月24日にNHK BSプレミアムで1時間半に亘って放送されたライブ番組の中のドキュメンタリー部分。この番組では東京ファイナルから12曲が放送されたが、番組中に30周年ライブ・ツアーの概略がドキュメンタリー形式で挿入されていた。番組ではNHKの守本奈実アナウンサーがナレーションを担当していたが、DVDでは片寄明人のナレーションに差し替えられている。ナレーション原稿自体は同じもの。



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