logo ビデオ・DVD解説 2006-2007


THE VIDEOS EPIC YEARS 1980-2004
●2006.7.12発売 ●Sony Music Durect ●MHBL 19
MUSIC CLIPS
●ワイルド・ハーツ−冒険者たち
●ストレンジ・デイズ−奇妙な日々
●ヤングブラッズ
●コンプリケーション・シェイクダウン
●トゥナイト
●ニューエイジ
●約束の橋
●雪−あぁ世界は美しい
●99ブルース
●おれは最低
●ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●ジャスミンガール
●ボヘミアン・グレイブヤード
●欲望
●ザ・サークル
●レインガール
●インターナショナル・ホーボー・キング
●楽しい時
●十代の潜水生活
●経験の唄
●ヤァ! ソウルボーイ
●ヤング・フォーエバー
●風の手のひらの上
●ドクター
●だいじょうぶ、と彼女は言った
●イノセント
●君の魂 大事な魂

TV APPEARANCE 1996-2004
●ポップ・チルドレン
●フリーダム
●君の魂 大事な魂
●国のための準備
●イノセント
●経験の唄

TVCF / OTHERS
●スターダスト・キッズ
●グッドバイからはじめよう
●スウィート16
●NO WAR MESSAGE

BONUS TRACK
●サムデイ

佐野元春がエピックに残した音源から商品を企画するという「Motoharu Sano Archives 1980-2004」のラインナップとして、佐野のエピック時代のビデオ・クリップ27編をまとめたDVD作品。他にもテレビ出演時の映像が6編、テレビ・スポットが4編、ボーナス・トラックとして20周年アニバーサリーとして制作された「SOMEDAY」のクリップを収録している。

少なくとも僕が知る限り、エピック在籍時に制作・発表され、ここに収録されていないクリップはないはずだ。逆にこれまで存在を知らなかったもの、存在は知っていたが見たことはなかったものなども収録されており、非常に興味深い。ビデオ・クリップはこれまで必ずしも制作されたすべてが一般に市販されている訳ではなかったので、それを1枚のDVDにまとめるというこの企画は非常に意義の深いものだ。高く評価したい。

これまでに市販されておらず、このDVDで初めて入手可能となったクリップは、ボーナス・トラックの他、「おれは最低」、「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」、「ボヘミアン・グレイブヤード」、「ヤング・フォーエバー」、「風の手のひらの上」、「ドクター」、「だいじょうぶ、と彼女は言った」、そして「イノセント」の8曲。

この中で、「おれは最低」と「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」はテレビ朝日系列の番組「HITS」で制作・公開されたもの、「ボヘミアン・グレイブヤード」はエピックが主宰していたテレビ番組「eZ」のために制作されたもの、「ヤング・フォーエバー」、「風の手のひらの上」、「ドクター」の3曲はNHK-BSの「佐野元春 in Woodstock」の中で公開されたものであり、いずれも曲プロモーションのために広く配布されたものではないはずだ。また、「イノセント」は市販はされていないものの「20th Anniversary Tour」の時に配布されたCD-ROMに収録されていたもの。

一方、市販されたものの中でも「ジャスミンガール」は1990年にビデオ・シングル・ディスクというメディアでリリースされていたクリップで、その存在はほとんど認知されてこなかったレアなもの。僕も初めて見た。

他は、これまでにリリースされた「MOTO CLIP VOL.1」(1989年)、「Visual Expression of The Circle」(1993年)、「フルーツ」(1996年)、さらには「VISOTORS 20th Anniversary Edition」(2004年)の付属DVDなどで一般向けに市販されていたものだが、これらの中にはDVD化されていないもの、今日では入手の困難なものもあり、今回のDVD化の意義が薄れるものではない。

テレビ出演時の映像はダイジェストになっており、演奏を通しで聴けるものはない。あくまで特典と割り切るべきものだろう。テレビ・スポットのうち「スターダスト・キッズ」と「グッドバイからはじめよう」は「Truth '80-'84」(1984年)に収録されていたもの。全体では長尺であり通して見るのは大変だが、アーカイブとしては大きな意味のあるクリップ集である。


星の下 路の上 2006.4.2 LIVE AT 東京国際フォーラム / HALL A
●2006.11.22発売 ●DaisyMusic ●POBE-9381 (POBE-3802/3)
DISC ONE
●THE HOBO KING BANDのテーマ'06
●アンジェリーナ
●ぼくは大人になった
●コンプリケイション・シェイクダウン
●ストレンジ・デイズ―奇妙な日々
●ハートビート
 ―小さなカサノバと街のナイチンゲールのバラッド
●99ブルース
●インディビジュアリスト
●ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
●ロックンロール・ナイト
●バルセロナの夜
●ドゥ・ホワット・ユー・ライク―勝手にしなよ
●最後の1ピース
●観覧車の夜
●君の魂 大事な魂

DISC TWO
●ワイルド・ハーツ―冒険者たち
●ブルーの見解
●悲しきレイディオ
●ソー・ヤング
●レインボー・イン・マイ・ソウル
●ヤングブラッズ
●約束の橋
●サムデイ
●ニュー・エイジ
<アンコール>
●国のための準備
●星の下 路の上
●THE HOBO KING BANDメドレー
●彼女はデリケート
タイトル通り、2006年4月2日に有楽町の東京国際フォーラムで行われた「星の下 路の上」ツアーの最終日の公演の様子をほぼそのまま全編収録したもの。当日の演奏曲はオープニングからアンコールまですべて収録されており、DVD2枚組で総上映時間190分以上というこれまでの佐野のライブ・ビデオの中でも最長の作品となっている。

このツアーでは、80年代のアルバム8作品の紙ジャケ再発をプロモーションするためもあり、これらのアルバムに収録された曲を中心に演奏した。そのため、内容的には佐野クラシックのヒット・パレードに近い選曲となっており、そうした面から全曲を収録することに一定の意義はあったと言えるだろう。HKBの演奏はシュアであり、佐野のボーカルは衰えを隠せないものの、キーを調整したり発声を工夫したりすることで、一時期のファルセット・ボイスほど聴きづらい状態ではなくなっている。

この日のライブがよかったのは、80年代の曲を演奏しながら、それが決して懐メロ的なノスタルジーに陥らず、2000年代にも聴かれるべきスタンダードとして、僕たちの困難な現在とビビッドにフックしたからだ。なぜ今この曲が歌われなければならないのかということを佐野が僕たちに問いかけ、僕たちがその答えをそれぞれの胸の中で探し続けたからだ。言葉を換えて言うなら、かつて僕たちが佐野と交わした約束はまだ終わっていないからだ。

長尺のDVDであり、通して見る機会はおそらくそんなに多くはないだろう。むしろ記録として大切に保管しておくべき作品かもしれない。淡々とステージを追い続け、余計な編集を加えなかった映像制作にも好感が持てる。

尚、初回限定盤はこのライブから9曲を収録したCDが付属している。また、DVDのディスク2には、本編終了後、「古田たかしのスマイル」「コンサート終了後―バックステージ」「謎の『フルーターズ』」「『数えきれない痛みのキス』別アングル」「コンサート・クルーの紹介」の特典映像が収録されている。


The Essential Cafe Bohemia / Movie
●2006.12.6発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 973
●1986年パリにて
 In Paris 1986
●ミュージック・クリップ/
 ワイルド・ハーツ―冒険者たち
 〜ストレンジ・デイズ―奇妙な日々
 Music Clip / Wild Hearts 〜 Strange Days
●『東京マンスリー』(Vol.1 1986.4.14)からのイメージ映像
 Images from the LIVE... Tokyo Monthly Vol.1 1986.4.14

東京マンスリー VOL.6 1986.9.25 ライヴ
●ソー・ヤング〜彼女はデリケート
 So Young 〜 She's So Delicate
●ワイルド・ハーツ―冒険者たち(featuring ROMY)
 Wild Hearts (featuring ROMY)
●シーズン・イン・ザ・サン―夏草の誘い(featuring ROMY)
 〜虹を追いかけて
 Season In The Sun (featuring ROMY)
 〜 Chasing Rainbow

TVKアーカイヴス『ライブトマト』1987.3
●インタヴュー1「ツアーについて」
 Interview 1 'About Tour'
●カフェ・ボヘミアのテーマ(リハーサル)
 Cafe Bohemia (Rehearsal)
●ストレンジ・デイズ―奇妙な日々
 Strange Days
●99ブルース
 99 Blues
●インディビジュアリスト
 Individualists
●インタヴュー2「バンドについて」
 Interview 1 'About The Band'
●ヤングブラッズ
 Young Bloods
アルバム「Cafe Bohemia」の発表20周年記念盤としてリリースされたパッケージ「The Essential Cafe Bohemia」の一部。1986年前後の映像を収録している。雑誌「THIS」の取材でパリに渡ったときの様子を撮影したフィルムで始まり、東京マンスリーでのライブの様子、1987年3月13日横浜・新都市ホールでの公開録画ライブを放送したテレビ神奈川の「ライブトマト」などが主な内容。

「東京マンスリー」の様子はこれまでほとんど映像化されておらず貴重なもの。特にROMYをフィーチャーした「Wild Hearts」と「Season In The Sun」は演奏が全編収録されており、このDVDの目玉と言っていい映像記録だ。また、「ライブトマト」は当時の佐野のインタビューも交えた構成で、これも初めて公式にリリースされるもの。

収録時間は40分強とコンパクトにまとまっており、マニアにも嬉しい内容だ。既にリリースされているビデオ・クリップの一部をわざわざ収録する必要はなかったし、それなら東京マンスリーをあと数曲は全編収録するとか(「虹を追いかけて」が途中でカットされるのは惜しい)考えようもあったとは思うが、この時期の貴重な記録として、手許に置くに値する映像だと言えよう。

また、このDVDの最後で佐野自らのナレーションにより語られる「世の中には音楽なんて必要ないという人もいる。そのことを忘れないようにしている」とのコメントは重要なもの。


Coyote Video Show
●2007.6.13発売 ●DaisyMusic ●POBX-9382
●君が気高い孤独なら
●‘COYOTE’レコーディング・ドキュメント
 ラジオ・デイズ
 黄金色の天使
 Us
 コヨーテ、海へ
アルバム「Coyote」初回限定盤に付属する特典DVDで単独のリリースはない。内容的には「君が気高い孤独なら」のクリップの他、アルバムのレコーディング風景を特にコメントなくコラージュ的に収録したもの。

このうち「ラジオ・デイズ」はリリースされた音源をバックにレコーディング時の映像を配したクリップに近いもの(但し一部レコーディング時の音声をオーバーダビングしている)。「黄金色の天使」、「Us」はレコーディング時の様子を収録したもので、特に「黄金色の天使」で深沼元昭が佐野の弾き語りに合わせて採譜するシーンが興味深い。

「コヨーテ、海へ」はコンソールに座った井上鑑が金原千恵子ストリングスに指示を出すストリングス・ダビングのシーン。この他、アルバム・ジャケットにも使用された海岸でのフォト・セッションの様子も収録されている。

全体としてはあくまでアルバムの特典と割り切るべきものだが、「君が気高い孤独なら」のクリップを完全収録するなどファンには嬉しい内容。


Keruac His Hometown of Lowell
●2007.9.11発売 ●DaisyMusic/幻冬舎 ●DMDVD-007
  幻冬舎から発刊された佐野の著作「ビートニクス コヨーテ荒地を往く」付属のDVD。佐野が1994年にアメリカのローウェルにあるジャック・ケルアックの生家や墓所を訪れたときの様子をモノクロの画像にまとめた7分ほどのショート・ムービー。撮影は写真家の藤原冥砂。

この時の様子は第3期「THIS」1995年春号(Vol.1 No.2)に「Keruac His Hometown of Lowell」として掲載されており、この記事は本書にも掲載されている。また、このビデオの一部は「ヤァ!ソウルボーイ」のビデオクリップにも使用されている。佐野自身の語りによる探訪の記録は佐野のビートに対する眼差し、ケルアックに対する敬意と愛情が伝わり興味深い。


In motion 2003−増幅 Live at Kamakura Performing Arts Center Nov.15 2003
●2007.9.12発売 ●Sony Music Direct ●MHCL 1159
●ポップチルドレン
 −最新マシンを手にした陽気な子供たち
●ああ、どうしてラブソングは
●廃墟の街
●アルケディアの丘で
●ベルネーズソース
●こんな夜には
●日曜日は無情の日
●何もするな
●世界劇場
●何が俺達を狂わせるのか
ボックス・セット「BEATITUDE」に付属するDVDで単独のリリースはない。2003年11月15日に鎌倉芸術館で行われたスポークン・ワーズ・ライブの模様を収録したライブDVD。音源としては2004年5月にライブ盤CDとしてリリースされているが、映像は今回が初めてのリリース。

ライブは井上鑑(Pf)をバンドマスターに、山木秀夫(Ds)、美久月千晴(B)、金子飛鳥(Vi)らのバッキングで佐野がポエトリー・リーディングを披露する。

記録としては貴重なものであるが、本来即興性の高いパフォーマンスで、演奏は高い緊張感を孕んでおり、気軽に何度も繰り返して見たくなるものではない。シング・アロング型の通常のライブ映像とは異なった種類の「記録映像」だと考えた方がよいかもしれない。



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