logo ビデオ・DVD解説 2003-2005


PLUG & PLAY'02
●2003.2.19発売 ●ESBL 2100
●PLEASE DON'T TELL ME A LIE
●イッツ・オールライト
●ガラスのジェネレーション
●ニューエイジ
●誰も気にしちゃいない
●マンハッタンブリッジにたたずんで
●トゥナイト
●ロックンロール・ナイト
●シーズン・イン・ザ・サン ―夏草の誘い
●楽しい時

ボーナストラック
●スターダスト・キッズ
2002年9月から10月にかけて4ヵ所、6回にわたって行われたファンクラブ限定ライブ「PLUG & PLAY'02」から、ボーナス・トラックの「スターダスト・キッズ」を含めて11曲を収録。どの日の公演からの映像かは明記されていない。

HKBとのバンド演奏であるがファンクラブ限定ということもあってか全体にアコースティック色の強いライブで、このビデオでもそれを強く印象づける曲が中心になっている。これまであまりライブで演奏されることのなかった「イッツ・オールライト」や「トゥナイト」、「シーズン・イン・ザ・サン」などが収録されている。

特に「トゥナイト」はオリジナルのポップ・ロックからスローなファンクナンバーへと大胆にリアレンジされた。この曲がニューヨークの街をテーマにしたものであることを知る者なら、そこにこめられた佐野の意図を読み取ることは容易だろう。ライブの中でもハイライトとなる演奏だったが、このビデオでも重要な位置を占めている。尚、この曲はライブ・シングルとしてリリースされているが、このビデオとはミックスが違うとアナウンスされている。

キーを下げ、敢えて高音で声を張り上げないことで、ボーカルは20周年記念ツアー当時よりずっと聴きやすくなった。ファンクラブ限定というクローズドなライブだっただけに、こうして公式にリリースされたことは歓迎したい。僕としては「エンジェル」を収録して欲しかった。


Live EPIC 25 (オムニバス)
●2003.8.20発売 ●ESBL 2101-2
DISC 1
●ランナウェイ / 鈴木雅之・桑野信義
●め組のひと / 鈴木雅之・桑野信義
●TAXI / 鈴木雅之・鈴木聖美・桑野信義
●ロンリー・チャップリン / 鈴木雅之・鈴木聖美・桑野信義
●ガラス越しに消えた夏 / 鈴木雅之・大沢誉志幸
●CONFUSION / 大沢誉志幸
●宵闇にまかせて(Kiss & Kiss) / 大沢誉志幸
●そして僕は途方に暮れる / 大沢誉志幸
●Hold On Me / 小比類巻かほる
●TOGETHER / 小比類巻かほる
●以心伝心 / 松岡英明
●YOU / 大江千里
●REAL / 大江千里
●十人十色 / 大江千里

DISC 2
●激しい雨が / THE MODS
●NAPALM ROCK / THE MODS
●バラッドをお前に / THE MODS
●I Fought The Law / THE MODS
●風が強い日 / HARRY
●Be Together / TM NETWORK
●Get Wild / TM NETWORK
●Self Control / TM NETWORK
●きみに会えて / 渡辺美里・小室哲哉
●My Revolution / 渡辺美里
●恋したっていいじゃない / 渡辺美里
●10 Years / 渡辺美里
●約束の橋 / 佐野元春
●アンジェリーナ / 佐野元春
●SOMEDAY / 佐野元春
2003年2月23日に代々木体育館で行われたイベント「Live EPIC 25」の様子を収録したライブDVD。収録アーティストは佐野をはじめ、鈴木雅之、大沢誉志幸、大江千里、THE MODSなど12組、2枚組で全29曲を収録している。

この日のイベントは僕も見に行ってレポートを書いているので、ライブの様子等はそちらを参照いただきたいが、全体としてはエピック・レーベルの発足25周年を祝うお祭り的なライブであり、演奏された曲も各アーティストの代表曲が中心となっている。素直に楽しめるライブだったと思う。

解せないのは「約束の橋」と「アンジェリーナ」の間に演奏された「So Young」がオミットされていること。この日演奏された曲でこのDVDに収録されなかったのはバービーボーイズと、この「So Young」だけである。何らかの意図があって佐野が外したのだと思うが、特に(他の曲に比べて)ひどい演奏だった訳でもないはずで理解に苦しむ。残念だ。

また、バービーボーイズは演奏した4曲すべてが収録されていない。最後の大団円でのアーティスト紹介シーンまでがカットされているのはプロのワザか。アーティストの意向とはいえ、思わずスキップしてしまう曲も多い中で、バービーは見たいアーティストだっただけにこれも残念だ。

画像も音声もクリアで余計な効果や編集も上記以外はない。佐野の演奏シーンのためだけに買ったとしても、これだけおまけがついてれば「ああ」と思う曲の一つや二つはあるだろうからコスト・パフォーマンスは悪くはないはず。


VISOTORS 20th Anniversary Edition
●2004.2.25発売 ●ESCL 2505
●COME SHINING
 (Remix Version '03)
●COMPLICATION SHAKEDOWN
 (Remix Version '03)
●TONIGHT
●NEW AGE
●COMPLICATION SHAKEDOWN
●N.Y.C. 1983〜1984

アルバム「VISITORS」の発表20周年を記念してリリースされたスペシャル・パッケージ盤にカップリングされたDVD。M1とM2は1985年5月28日に品川アイス・アリーナで行われたライブの模様で、ビデオ「Visitors Tour '84-'85」に収録されているもの。音声にはリミックスが加えられているということだ。

M3からM5は1984年のアルバム発表当時に製作されたビデオ・クリップ。「TONIGHT」はビデオ「Truth '80-'84」に収録されたもの。「NEW AGE」は当時音楽ビデオ番組でかなり頻繁に流されたクリップだがこれまで正式にリリースされた映像作品にはこれまで未収録だった。「COMPLICATION SHAKEDOWN」はジョン・サンボーンの監督で製作されたものの、当時のレコード会社がその内容に難色を示して結局フルサイズで放映されることのなかったもの。15秒のスポットに編集されたバージョンがビデオ「Truth '80-'84」に収録されているのみであり、ファンの間からも全編の公式リリースを望む声が強かったが、この作品で初めて公開されることになった。

クリップの内容は確かに実験的な色合いが濃く、ポップ・ミュージックのビデオ・クリップというよりビデオ・アートだという佐野自身の説明も肯けないではないが、特にラジカルなものという訳でもなく、当時のレコード会社がなぜ公開を見送ったのかよく分からない。

M6はアルバム「Spoken Words」に収録された「N.Y.C. 1983〜1984」をバックトラックにし、当時の写真や映像をコラージュ的に配した映像作品で、このDVDのために新たに編集されたものと思われる。

何よりも「NEW AGE」と「COMPLICATION SHAKEDOWN」を収録したことで価値のあるリリース。


THE SUN Recording Session 2001-2004
●2004.7.21発売 ●DaisyMusic ●POBX-9380
●君の魂 大事な魂(リハーサル)
●君の魂 大事な魂(レコーディングセッション)
●君の魂 大事な魂
●恵みの雨(レコーディングセッション)
●レイナ(レコーディングセッション)
●(フォトセッション)
●(呼庵にて)
●月夜を往け(レコーディングセッション)
●光(レコーディングセッション)
●観覧車の夜(レコーディングセッション)
●DIG(荒吐ロックフェスティバル)
●国のための準備(レコーディングセッション)
●DIG
●月夜を往け

アルバム「THE SUN」の初回限定版付属のDVDで単独のリリースはない。タイトルの通りアルバムのレコーディング・セッションの様子が中心であり、全曲通しで聴けるのはM-3の「君の魂 大事な魂」(先に公開されていたビデオ・クリップを収録)と「DIG」(アルバム音源にレコーディング風景を配したクリップ、タイトルは「レコーディングセッション」となっている)の2曲のみ。最後の「月夜を往け」はクレジットのバックに流れるもので、この曲のために撮影されたクリップは収録されなかった。

「君の魂 大事な魂」ではメロディ・セクストンとLeyonaを迎えたコーラス・ダビングの様子が、「月夜を往け」ではフリューゲル・ホルンのオーバーダブの様子がそれぞれ収録されている他、「観覧車の夜」では高橋ゲタ男とのセッションを見ることができる。また、M-11では2003年9月7日に仙台で行われた「荒吐ロックフェスティバル」の様子も少しではあるが垣間見ることができる(演奏曲は「DIG」)。

注目するべきなのはアルバムに収録されなかった「光」のレコーディング・セッションが収録されていることであり、それは「THE SUN」というアルバムの成り立ちを示す上で大きな意味を持っているというべきだろう。この曲では井上鑑とともにストリングスのレコーディングを行うシーンが見られる。

音楽以外では「2001年4月 東京」とクレジットのあるフォト・セッションの様子(佐橋佳幸のインタビューあり)と「呼庵にて」と題された茶室でのシークエンスが収められている。尚、「呼庵」とはつくば市にある「茶の湯文化研究所 呼庵」のことのようである。

佐野のレコーディングの様子がこうした形でリリースされることは珍しく、資料としては興味深いものであるが、シーンは断片的なものが多く、あくまでコアなファンのためのサービスと考えるべき作品。


SELF LINER NOTES 佐野元春インタビュー 'THE SUN'を語る
●2005.1発売 ●M's Factory ●MFDVD001
Part 1 アルバムタイトルについて
Part 2 「THE SUN」までの5年間
Part 3 各曲解説:月夜を往け、最後の1ピース、
 恵みの雨、希望
Part 4 THE POINT OF VIEW
Part 5 各曲解説:地図のない旅、観覧車の夜、
 恋しいわが家、君の魂 大事な魂、明日を生きよう
Part 6 各曲解説:レイナ、遠い声、DIG、
 国のための準備、太陽
Part 7 活動について
●君の魂 大事な魂(PV)

2004年8月8日にCSのMusic on TVの番組「セルフライナーノーツ」で放送されたアルバム「THE SUN」についてのインタビューをそのまま収録したもの。インタビュアーはモリズミアリ。約60分にわたって佐野自身がアルバムの背景や内容について語る他、先行シングル「君の魂 大事な魂」のビデオ・クリップも併せて収録されている。収録は同年7月8日。

インタビューの内容は同時期に他のメディアで伝えられたものと基本的には同じだが、CSでの放送ということで視聴できない人も多かったと思われることから、このDVD化は悪くない企画だと思う。この際、以前のテレビ出演についても同様にDVD化することはできないものだろうか。

尚、このDVDは公式サイトでの通信販売のみのリリース。またスリーブにはオフィシャル・ファンクラブ「mofa」の名前がクレジットされている。


THE SUN LIVE and RECORDINGS
●2005.6.22発売 ●DaisyMusic ●POBE-3800/1
DISC ONE
LIVE AT NHK HALL, TOKYO 2005.2.20
●月夜を往け
●最後の1ピース
●恵みの雨
●希望
●地図のない旅
●観覧車の夜
●君の魂 大事な魂
●明日を生きよう
●DIG
●国のための準備
●太陽
●H.K.B.インタビューズ

DISC TWO
ANOTHER CHRONICLE OF THE SUN
●H.K.B.インタビューズ
●ミュージック・クリップ
 ◆レイナ
 ◆遠い声
 ◆恋しいわが家
●レコーディング・セッション
 ◆恵みの雨
 ◆遠い声
 ◆最後の1ピース
●ライブ・ダイジェスト
 ◆ROCK & SOUL REVIEW (2001)
 ◆THE MILK JAM TOUR (2003)
●LIVE AT NHK HALL, TOKYO 2005.2.20
 ◆BACK TO THE STREET
 ◆ヤァ! ソウルボーイ
 ◆僕は大人になった
 ◆また明日
 ◆インディヴィジュアリスト
 ◆悲しきレイディオ〜メドレー
 ◆サムデイ
●エクストラ!
 ◆アンジェリーナ(アンコール)
 ◆BOB ZANG

「THE SUN TOUR」の千秋楽となった2005年2月20日のNHKホールでのライブの模様を中心に、新たに撮影された3曲のクリップの他、アルバム「THE SUN」のレコーディングの様子なども収録した2枚組DVD。

このツアーは第一部で旧譜からの曲、第二部ではアルバム「THE SUN」からの曲を演奏するという二部構成で行われたが、このDVDでは「DISC ONE」にライブでの第二部の様子が収録されており、これがライブDVDとしての本編になっている。この日はアルバムから「恋しいわが家」、「レイナ」、「遠い声」を除く11曲がアルバム収録順のまま演奏されたが、この60分弱のセットがDVDにもノーカットで全曲収録されているのは、佐野のこのアルバムに対する強い自信と深い愛着を感じさせる。

もともとこのツアーでの二部構成は、アルバム「THE SUN」の曲を集中して演奏したいという佐野の意向によるものであっただろうし、その背景にはライブの偶発性、一回性を契機としたある種の生命力を媒介にこのアルバムを解体・再構築してもう一度生まれ変わらせたいという願いがあったはずだ。「THE SUN」というアルバムはそれによって初めて最終的に完成するのだと佐野は考えていたに違いない。

だとすればこのDVDは「THE SUN」プロジェクトが完結するための最終プロセスであり、その中でもライブの第二部を収録した「DISC ONE」こそがその核をなす検証の記録だということができるだろう。

一方「DISC TWO」にはライブでの第一部とアンコールからの数曲に加え、アルバムのレコーディング・セッションからの映像、「ROCK & SOUL REVIEW」と「THE MILK JAM TOUR」という映像化されていない二つのツアーからのダイジェスト映像、さらにはこのDVDのために新たに撮り下ろされた3曲のクリップが収められている(曲はライブで演奏されなかった3曲)。

ライブ映像は必ずしも全曲が完全収録されている訳ではないが、アンコールの「悲しきレイディオ〜メドレー」から「サムデイ」への流れはMCも含めノーカットで収められており、「サムデイ」の前に「希望について歌いたい」とコメントする重要なMCも聴ける。このシーンは記録として貴重なものだ。

ここでの曲目の紹介からは割愛しているが、「DISC TWO」ではバンド・メンバーのインタビューを編集した短いコメントが数多く挿入されている。また、「エクストラ」として別セッションで「アンジェリーナ」のライブ映像と、ツアー前半にサックス奏者として参加したボブ・ザングの演奏シーンが収録されている。



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