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2009年5月4日(月)

せっかくのゴールデンウィークなのでサッカーを見る以外にもどこか出かけようということになり、関東地方では箱根に次いでポピュラーらしい鬼怒川温泉に行くことにした。思いついたのが一週間ほど前だったので宿が取れるか心配だったが、旅行代理店に見てもらったら空きがあった。料金はかなり高めだがまあハイ・シーズンなので仕方がない。高速道路の料金も安くなるらしいし。

天気予報は曇り。高速道路料金の割引のせいで渋滞が見込まれるので朝8時前には自宅を出発した。まず首都高速の新宿線から中央環状線に入る。高架のジャンクションから一気に地下のトンネルに突入するところなんかなかなかカッコいい。タルコフスキーなら未来都市の舞台装置としてロケしちゃうかもしれない。山手通の地下にこんなトンネルを通すところが過剰にすごいと思う。中央環状線がつながったので新宿線から東北道方面へは本当に行きやすくなった。

池袋経由首都高速を乗り継いで川口へ。東北道に入ると予想通り断続的に渋滞が始まるが、決定的に停滞してしまうことはなく、ノロノロとではあれ進んでいるので、覚悟していたこともあってかそれほどストレスはない。埼スタを横目で見て、蓮田SAでちょっとだけトイレ休憩してすぐに出発。渋滞とつきあいながらさらに北上を続ける。佐野SAでもう一度休憩。コーヒーを飲みキュウリの浅漬けを一本食べる。美味しい。ただ、今日発売のエルゴラがないのが誤算。佐野を出てしばらく行くと宇都宮ICに着く。ここでいったん高速道路を降りることになる。

料金は川口から1,700円。高速道路は一律1,000円みたいな話を聞いていたが、東北道の場合、川口から加須まではなぜか別途700円かかるらしく、加須から宇都宮が1,000円ということで合計1,700円になるのだそうだ。定価だと川口から宇都宮まで2,950円なので1,250円の割引。まあ、いくらかでも安くなるのは有り難いが、渋滞を耐え忍ぶほどのお得感もない。あと1,250円払ってスイスイ走れるならその方がいい。

宇都宮から日光宇都宮道路に入り今市ICで降りる。日光へ向かう人たちでこの道もババ混みかと思ったがそんなことはなくあっという間に今市に着いた。この時点で11時半くらい。ここから一般道である。この街に住んでいる人はみんな「君、ウチどこ?」「ウチ、イマイチやねん」みたいなことを言っては飲み会のネタにしているのだろうか。どうでもいいが気の毒な街の名前である。ここから国道を北上することになるのだが、これがいきなり渋滞。まさかこのまま鬼怒川温泉まで渋滞が続いているのではないかと暗い気持ちになる。なにしろ今市から鬼怒川温泉に向かう道は限られており、温泉に向かう人はみんな同じ道に集中するのだからそういうこともあるだろうと半ば諦めかけたが、今市の市街地を抜けたら渋滞はなくなった。よかった。

このままだと早く着きすぎるので、予定通り東武ワールドスクエアに行くことにする。事前に道は確認しているし、案内板もきちんと出ているので迷うことはない。ちょうど12時頃に到着した。入場料はSAでもらったフリーペーパーに付いているクーポンを示して一人200円引いてもらう。この手のクーポンはあちこちに付いているしネットでも手に入るので、まあ、気持ち程度とはいえ用意して行くに越したことはない。家族だと昼ごはん一人分くらいにはなる。大人2,500円が2,300円。

門前で軽く昼ごはんを食べ入場。ここは世界の名所を25分の1の縮尺で再現したミニチュアパークである。ミニチュアパークといえばオランダのアムステルダム近郊にあるマドローダムに行ったのを思い出す。ウィンザーやデンマークのレゴランドもミニチュアといえばミニチュアだった。展示物は日本の社寺仏閣からヨーロッパの観光地、ピラミッドやアンコールワットなど世界中の名所旧跡から万遍なく選ばれており、行ったことのある場所はもちろん、写真やテレビでしか見たことのないところも結構楽しめる。

僕としては奈良や京都の見慣れた名所がやはり懐かしかった。特に薬師寺の東塔はまた実物を見に行こうと思った。石山寺の多宝塔がある割に中尊寺の金色堂がないのはいかがなものかと思ったが。あとは当然だがヨーロッパ関係。これもこれも行ったことあるぞ状態で楽しかった。ただドイツの名所がノイシュバンシュタインしかないのは寂しい。もっと他にもいろいろあるだろう。ケルンの大聖堂とか、ヴュルツブルクのレジデンツとか、ベルリンのブランデンブルク門とかさ。アメリカゾーンなんか要らないからドイツをしっかり充実して欲しいものだ。

それにしてもこうやってミニチュアを見るだけのためにみんなきちんと入場料を払って入るのがすごい。他に何かのアトラクションがある訳でもなく、ただひたすらミニチュアを見て喜ぶというシンプルな施設である。規模もそれぞれのミニチュアもそれなりに立派なものではあるが、今どきの観光としてはかなり地味な部類に入るのではないだろうか。僕としてはとても好感の持てる施設ではあったが、商業的に成り立つのか他人事ながらちょっと心配だ。まあ、遠足とか修学旅行とかを呼び込むのかもしれないな。

なお、全部で102点の模型にはそれぞれ通行人やらのフィギュアが置かれているが(全部で14万体あるらしい)、その中で4箇所にペコちゃんが混じっている。ヒントがもらえるし、その辺りには人が集まって「あそこにペコちゃんが」と口々に確認し合い写真を撮っているのでそんなに難しくはない。ペコちゃんを見つけてその所在を投票用紙にチェックすると何かもらえるらしいぞ。あと、カールおじさんとかも隠れている。

2時半過ぎにワールドスクエアを出て鬼怒川温泉へ。事前に場所を確認しておいたので迷うこともなく、5分ほどで着いてしまった。駐車場は少し離れたところにあるのでキーを付けたままクルマを預け、我々は荷物を持ってチェックイン。案内された部屋は手前が6畳の和室、奥がツインベッドの洋室といういわばスイートである。しばらくゴロゴロしたが、早めに風呂に行くことにした。

風呂はそれほど広い訳でも、いろんな種類の浴槽がある訳でもないが、岩壁を滝のように湯が流れる岩風呂と、鬼怒川が望める露天風呂があり風情は楽しめる。湯温はそれほど熱すぎず入りやすい。銭湯とか温泉とかやたら熱いところがあるもんな。

考えてみれば僕は風呂そのものにそれほど執着がある訳でもなく、ふだんはほとんど1分も浴槽に入ればあとは髪と身体を洗って出てくるカラスの行水状態である。ドイツで一人暮らししていた1年間はシャワーだけで過ごしたくらいだ。だから温泉に行ってもしばらく湯に浸かっていると「もうそろそろ出ていいかな、でもせっかく温泉に来たんだからもうちょっと浸かって行かないともったいないかな」という葛藤が始まる。いったい何をしに温泉に来たのかという感じだが、露天風呂に浸かって景色を見ながらハァ〜と大きく息を吐く感じとかは好きで、ただそれが長続きしないだけなのかもしれない。

一度温泉に入って部屋に戻ると夜中にもう一度温泉に行ったり朝から温泉に行ったりはしない。行きたくない訳でもないが面倒臭い。一日に二回も入るほど、あるいは朝から入るほど風呂好きでもないというだけのことだ。やはり僕には温泉はもったいないのだろうか。

晩ごはんはバイキング。テーブルに乗りきらないような温泉食を無理矢理詰めこまれるより、この方が自分として納得しながらごはんが食べられる。ステーキが美味しかった。何も栃木の山の中に来てまで刺身を食べることもないと思ったがついつい食べてしまった。湯葉は美味しかったが、その他の名産はコンニャクとか根菜もの、キノコ類が中心で、栃木の人には申し訳ないが辛気くさい。あまり食べなかった。

晩ごはんの後は売店を冷やかしたが、買いたくなるような土産物もなかった。たまり漬けが名物のようであったが今ひとつ食指が動かなかった。U字工事じゃないが、やはり干瓢やらコンニャクやらたまり漬けでは決定的に地味だろう。華のある山の幸というのも何となく難しい気はするが、海の幸に比べても現代人にアピールする何かが足りない気がした。その後は部屋に帰り、テレビを見て早めに寝た。テレビではUターンの渋滞がひどそうだと脅された。

2009年5月5日(火)

こどもの日。そういえば昨日はみどりの日だった。最近祝日もよく変動するのでよく分からない。朝、早めに起きて、8時前にバイキングの朝ごはん。納豆、ちりめんじゃこ、梅干し、明太子、いかそうめん、味付海苔、味噌汁と、王道の和式朝食を選んで構成した。惜しむらくはタマゴが温泉タマゴだったこと。最近こういうところでは生タマゴは出ないのがスタンダードになりつつあるのだろうか。温泉に来て朝ごはんにタマゴかけごはんを食べないのはどうにも画竜点睛を欠く感が否めないが、やむなく温泉タマゴをごはんに乗せて崩し、しょう油を垂らしていただいた。アジの干物は焼いてもらうのに時間がかかりそうだったので心残りではあったが見送った。

チェックアウトは10時までだが、早くに用意ができてしまったので精算して駐車場までマイクロバスで送ってもらう。クルマに荷物を積みこんでから付近を少し散策。泊まったホテルにパブリックの足湯があり、ジーンズの裾をまくり上げて浸かってみた。なかなか気持ちよかった。足湯の背景が意味もなくトレビの泉なのには笑ってしまったが。

10時過ぎに駐車場を出発。いちご狩りを10時半に予約してあったがちょうどに到着。予約が多く、水耕式の高設栽培のハウスは既にいっぱいなので、普通の土耕栽培のハウスに案内される。昨日予約したときからそう説明されているので特に問題はない。ていうか2年ほど前に初めて高設栽培のハウスでいちご狩りをしたときは驚いた。いちごというのは本来地面に這いつくばるように伸びたツルの先に花を咲かせ身ができるものだと思っていたので、腰をかがめず目の前のいちごを摘んでは食べるというのが革新的だったのだ。

ここでは基本に戻り、地面の畝に生えたツルから拾うようにしていちごをもぎ取る。30分食べ放題ということで調子よく食べ始めるが、正直どんないちご好きでも30分間ひたすらいちごを摘んでは食べるというのはなかなかできることではない。ハウスの中は気温も湿度も高く、例によって15分程度でガクンとペースが落ちて、あとはよほど赤く色づいた小ぶりの実をたまにつまむくらいになる。いちごはまだ取り尽くされておらず、いくらでも見つけられて美味しかった。

いちごでお腹がいっぱいになったところで、家路につくことにする。何しろ、出遅れると大渋滞に巻き込まれるリスクがあるのだ。11時過ぎにいちご農園を後にし、昨日の逆をたどる。日光宇都宮道路は渋滞もなし。宇都宮ICから東北道に入ったがここでも渋滞はなく快調に流れている。ハイウェイラジオで確認したが渋滞らしい渋滞は発生していないようで、どんどん東京に近づいて行く。佐野SAはスキップし、蓮田SAまで一気に走った。12時半頃でちょうど昼時だったが、まだいちごがノドのあたりまで詰まっている感じで食欲もあまりなく、土産の餃子と、コンビニで昨日発売のエルゴラ見つけて買った程度。あとはスタバでコーヒーを買ってクルマの中ですすった。スタバのコーヒーってムダに熱くて量が多いのでなかなか飲みきれないのがいつも不満だ。それにサイズにショートだのトールだのグランデだのムダにカッコつけた呼び方しているのもムカつく。「いちばんちっちゃいヤツ」と注文したらいちいち「ショートでございますね」とムダに確認するのも腹が立つ。

そのコーヒーを全部飲もうとがんばっているといつまで経ってもなくなりそうになかったので、仕方なく半分くらい残して蓮田SAを出発。東北道は引き続き渋滞もなく、順調に川口に到着。首都高に入り、中央環状線が池袋線と合流する辺りで初めて少し渋滞につかまるが、ここを通り抜けるともうあとは帰るのみ。2時過ぎには家に着いた。晩ごはんには買ってきた餃子を食べ、その後はスカパーで広島×FC東京を観戦した。



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