logo 京都再訪


2008年8月13日(水)

今年の夏休みはグアムにもハワイにも出かけず真面目に帰省することにした。帰省の様子を長々とここに書くのもアレなので、その中で実家から日帰りで出かけた京都への小旅行だけを記録しておくことにしようと思う。
京都と言えば僕が大学生として5年間を過ごした街である。当時僕は左京区の一乗寺から田中辺り、叡電の茶山駅近辺に住んでいた(二回引っ越した)。6年前にドイツから帰国して以降は一度も京都に行っていないので、夏の京都が暑いのはよく知っているが久しぶりに訪ねてみようと思い立ったのである。

近鉄特急で京都へ

僕は自分のことを「大阪人」だと思っているので京都に行くには京阪か阪急に乗るのが頭の中でのセオリーなのだが、実家は奈良県香芝市という街の近鉄大阪線の沿線にあり、ここから京都に行くには一度大阪に出て京阪や阪急に乗るより、近鉄で大和八木まで行ってそこから近鉄特急に乗る方が実は早かったりする。京都へ行くために奈良県の奥地へ向かうのも何となく不本意だが仕方ない。9時前に八木に着き、駅の自動販売機で特急券を買う。
余談になるが僕の通っていた高校はこの八木駅から歩いて15分ほどのところにあり、ここは毎日乗り降りした駅。思い出深いところだがこの日は乗り換えで通り過ぎるのみ。近鉄特急は二階建ての二階だった。停まるのは西大寺と丹波橋だけ。それでも八木から京都まで50分ほどかかる。所要時間にすれば急行と大差ないが、いいシートでゆっくり座って行けるのがありがたい。この先は体力の激しい消耗が予想されるだけにここはカネをかけてでものんびり行きたいところである。
京都駅に着いたのは10時前。デカい駅ビルができており、昔は確かJR構内を通らないと烏丸口へ出られなかったが、今ではきれいな自由通路で直接バスターミナルへ行けるようになっている。京都駅地下のポルタで子供にレンズ付フィルムを買い与え京都見物スタート。

洛バスで金閣へ

地下の市バス案内所で一日乗車券を買おうとしたら、子供はバスが無料だと言われた。夏休み期間中は特別にキャンペーンをしているらしい。そこで大人の分だけ乗車券を買う。地下鉄に乗ることも考えて観光一日乗車券1,200円を買ったが、結果的には市バス専用一日乗車券500円でよかった(違いは地下鉄に乗れるかどうか)。
まずは金閣寺へ行くことにする。金閣寺というのはもちろん俗称で、正しくは鹿苑寺という寺の中に金閣という建物があると物の本には書かれているのだが、実際には京都の人は日常的に金閣寺と呼んでおり、バス停だって堂々と金閣寺前とか金閣寺道とか名乗っている。あまりこだわる必要はなさそうだ。この辺の事情は銀閣寺も同じである。
京都市バスに乗るのは10年ぶりくらいじゃないかと思うんだけど、観光路線の洛バスというのができており、主な観光地を結んで急行で走っている。金閣寺には地下鉄で北大路まで行ってからバスに乗るのが正しいのだが、子供がバス無料というのにひかれ、この洛バスの101系統に乗ることにした。
だが、これが判断ミスだった。待てど暮らせどバスが来ないのである。まあ、京都市バスが定刻に来る訳はないというのは5年間の京都生活で骨身に染みて知っているが、観光路線なんだから10分も待てば来るだろうと思ったのが甘かった。たぶん20分以上は待たされたと思う。20分くらい待つと、諦めて地下鉄に向かって歩き出した途端にバスが来るような気がするので余計諦められなくなる。結局、ようやくバスが来て京都駅を出発したのは11時近くになってしまった。
バスは烏丸通から四条通を左折、そこから堀川に入って二条城前を過ぎ、今出川通を西に走って北野天満宮を右手に見ながら今度は北野白梅町から西大路通を北上、金閣寺道に至る。京都市内の地理と大きな通りの名前や景色が頭に入っているので、バスがどこを走っているのかはよく分かり、まあ不安はない。
とはいえ京都市内を走るのは時間がかかる。金閣寺道に着いたのは既に11時半。参道を登り拝観料を払って金閣を観覧。ここは見るからに金ピカなので子供にも分かりやすい。まあ今回はそれで十分である。ペットボトルで水分を補給しながら見て回るが、正直金閣以外にはあまり興味もなく、売店で少し涼んだ他はすぐに出口にたどり着いてしまった。

北大路バスターミナル

門前の土産物屋をちょっと見たが、この時点で既に12時頃になっており、昼ごはんをどうするか思案しながら金閣寺道の停留所に向かった。するとちょうどそこにM1系統のバスが。行き先が「北大路バスターミナル」なので取り敢えず飛び乗った。北大路バスターミナルの近くなら土地勘もあるので昼ごはんを食べるところも探せるだろうと思ったのだ。烏丸通りから西は同じ京都市内でもアウェイ感があるのである。
バスはガラ空きで、北大路通を一路東に走り、たちまち北大路バスターミナルに着いた。驚いたことにターミナルは地下化されており、地上にはショッピングセンターができていた。食べるところを探そうと地下から上がって行くと、ショッピングセンターの中にフレッシュネスバーガーがあり、昼時だというのに空いていたのでここで食べることにした。
フレッシュネスバーガーに入るのは初めてだったが、こんなところで食べるとは思わなかった。チキンバーガーを食べてビールを飲んだが普通に美味しかった。雰囲気的にはモスバーガーに似ていると思った。
ここで戦略を練り直し。当初は二条城に行こうかとも思っていたが、時間的に厳しいのと、どちらかといえば銀閣寺を見たいという希望もあり、ここから銀閣寺に向かうことにする。再び地下のバス乗り場に降り204系統を待った。

懐かしの左京区田中を通って銀閣寺へ

幸いバスはすぐにやって来た。北大路を東に向かい、鴨川、洛北高校前、高野川を通り過ぎる。よく知った馴染みのある地名ばかりである。高野には僕が毎日晩ごはんの買い物をしたイズミヤがあり、交差点にはよくドーナツを買ったミスドがあった。
バスは高野から東大路通に入り、田中大久保町の交差点で今度は東鞍馬口通に分け入る。この辺はもう毎日自転車や原チャリや徒歩でウロウロしていた庭みたいなものである。商店なんかは確かに移り変わっているが街の景色自体は変わっていない。「あの辺に昔住んでた家があってな」。興奮である。
東鞍馬口通は白川通に突き当たって終わる。ここにあるのはかつては京都芸術短期大学だったがいつのまにか京都造形芸術大学というたいそうな大学になっている。ここから白川通を南に下り、今出川通と交差するところが銀閣寺道である。
だが、ここから銀閣寺までは結構歩く。疏水分流に沿って鹿ヶ谷通りまで歩き、ここから参道に入る。学生時代は毎日のようにこの近くを通っていたが改めて来てみると観光地である。
昼過ぎの厳しい日射しの中、この辺まで歩くと汗が首筋を流れる状態になる。拝観料を払い、境内に入ってガックリ。銀閣寺は改装中というか修復工事中でシートに覆われているのであった。まあ、子供には「銀閣寺は銀ピカとちゃうからがっかりしたらあかんで」と予防線を張っておいたのが思いの外役に立った。
まあ、ここは東山文化の粋として侘び寂びを見るところであり、もともと大人の観光地なので国宝の東求堂とか他にも見るところはあるのであるが、とにかく暑い。しかも順路がかっちり定まっており、これに従うと庭の見晴台まで登らされることになりかなりきつい。ここがいちばんしんどかった。

バスを乗り継いで清水寺へ

参道を下り銀閣寺道のバス停に戻る。ここから清水寺に直接行くバスは洛バスの100系統しかないのだが、見るからに混んでそうだったので、最初にやってきた5系統の市バスに乗った。どうせ一日乗車券で乗り放題なのだ。この系統は京都駅から下宿へ行くときによく乗ったバスでどこを走るかも頭に入っている。
バスはまず白川通を南下する。東天王町から細くなった白川通を更に進み、南禅寺前から二条通を西へ。岡崎動物園前を通って平安神宮を右手に見ながら神宮道を左折、三条通まで下る。ここから三条通を右折しバスは三条京阪から河原町三条に至るのだが、そこまで行ってしまうと行き過ぎなので東山三条でいったん降り、やって来た206系統に乗り換えた。ここから東大路通を南下、祇園を通り過ぎ、清水道で降りた。
ホコリっぽく狭く自動車の多い清水坂を登る。これも結構暑くてしんどかった。五条坂との合流点からは自動車がなくなるが今度はエラい人通りである。更に坂道を登って行くとようやく清水寺に。仁王門をくぐり、舞台を求めて裏手へ。盆だからか何か特別拝観をしていたがとにかく舞台。
ここも金閣と同じで「見れば分かる」子供、外人向けの観光地。まずは舞台の上から絶景を見下ろし、それから階段を降りて下から舞台の木組みを見上げる。定番だがこれはなかなか大変なモノである。順路に従い表に戻り、清水坂を下りながら土産物屋で涼む。七味家本舗で七味を買う。清水寺に来たら土産はこれしかないだろう。
帰りは五条坂を下った。余力があれば二条城も回ろうかと思っていたが、この後また近鉄特急に乗って帰ることも考えればそろそろ4時近くになっており限界。五条坂のバス停から206系統に乗って京都駅へ。バスは東大路通りから七条通に入り、国立博物館、三十三間堂を通りすぎて河原町通から京都駅前へ。
京都駅でおたべとか漬物とかを買い、再び近鉄特急に乗って実家へ戻った。とにかく暑かったがバスは元が取れたし重要なポイントはしっかり押さえた。京都は見ようとするものによっていくらでも行くところがあり、いくらでも時間をかけられる。僕としては今度は詩仙堂に行きたい。よくがんばった一日であった。



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