logo 世田谷線徒歩踏破


2008年2月11日(月)、今日は建国記念の日である。神武天皇の偉業を忍び、僕も何か国のためになることをしたいと思い立った。世田谷線に沿って散歩してみるのはどうだろう。何かもうこうなると「旅行のページ」というより「散歩のページ」であるがまあいい。天気もいいし特に予定もないし、カネのかからない安上がりな娯楽兼健康対策だ。距離も全体で5〜6kmと手頃。だんだんドイツ人の域に近づいてくる。じゃ、ちょっと行ってみようか。

下高井戸
まずは下高井戸から10:35頃歩き始めた。下高井戸は世田谷線の終点であり、京王線との接続駅でもある。駅前は生活感あふれる商店街で結構活気がある。線路は東へ出た後、急なカーブを描いて南へと方向を変える。この辺りは住宅街であり、日大や明大の学生もたくさん住んでいる一角。線路の西側の道を歩いたが、一度線路沿いに道がなくなった他はほぼ真っ直ぐに線路に沿った道があり歩きやすい。真っ直ぐ南下すると松原の駅に到着する。駅間は0.8kmである。

松原松原
10:45到着。駅前にやや大きめの道が通っており周囲にスーパーや商店がいくらかは集まっているものの、基本的には住宅街の中の駅。今回はスタンプがないので駅の看板の写真を撮ることにする。線路は駅を出ると緩やかにカーブを切って南東に向かうが、道はここからも線路に沿って続いて行くので線路の西側を歩くことにする。
シャツの上にセーター、さらにジャンパーという服装だが結構暖かい。道は生活道路で自動車もあまり通らない。途中、赤堤通を横切ることになるが、ここの自動車がなかなか途切れなくてしばらく待った。結局踏切が鳴り出したので渡ることができた。道はやはり一度だけ線路から離れたがすぐに戻り、地元に人に混じって歩いて行くと小田急の高架が見えてくる。ここが山下である。駅間はやはり0.8km。

山下山下
10:58到着。ここは小田急と交差する連絡駅である。小田急は豪徳寺駅であるが世田谷線は山下駅。世田谷線的には山下駅より次の宮の坂駅の方が豪徳寺に近いので、この駅を小田急に合わせて豪徳寺駅にしてしまう訳には行かないのだろう。小田急の駅前でもあるためかファミレスやマクドもありかなりにぎやか。ここからしばらくは線路の東側の商店街を歩くことになる。線路はここでまた微妙に進路を変え南南西に向かう。
しばらくは線路から1ブロック離れたところを線路と平行に歩くほかない。そのうち自然に道が線路に寄り添って行くがそれも束の間、豪徳寺の入口のところで線路の東側の道がなくなるので西側に移る。この道も世田谷八幡宮のあたりで線路から離れて行くが、信号で線路の方を見やると宮の坂の駅が見える。駅間は0.7kmである。

宮の坂宮の坂
11:08到着。この駅前には広場があり、世田谷線の旧型車両が置かれて子供たちの遊び場になっている。この車両は「デハ80形」というらしいが僕は断じて鉄ちゃんではないのでその辺には興味がないことを強調しておく。この辺も閑静な住宅街であり、道路は概ね細い。宮の坂駅を出ると線路は再び進路を変え、南南東に向かうことになる。ここから次の上町までは線路沿いに道がないので線路の西側、1ブロック奥を線路に並行して進む道を行く他ない。
家々の隙間からチラッと見える世田谷線の軌道や架線を頼りに線路から離れてしまっていないかを確認するのだが、進む道を間違えなければ道路はほぼ線路と並行しているので迷うことはない。昭和を感じさせる家並みを見ながら歩いて行くと世田谷線の車庫が見え、道路は世田谷通の延長道に突き当たって終わる。グルッと車庫を回りこむと上町の駅に出る。駅間は0.5km。

上町上町
11:16到着。上町駅は世田谷線の車庫を抱える中心駅である。世田谷通と接しており周囲もややにぎやかで開けた感じがする。ホームは上下線が踏切をはさんで向かい合っており、三軒茶屋行きのホームには比較的立派な駅舎がある。線路は駅の前後で大きくカーブし、ほぼ東へ向かう。
ここからしばらくは世田谷通を東に進むが、そのまま世田谷通を行くと次第に線路から離れて行くので、すぐに一本線路よりの道に移らなければならない。この道が円光院というお寺に突き当たるとそこがもう世田谷駅である。駅間はたったの0.3km。

世田谷世田谷
11:21到着。区名を冠した駅で、まさに世田谷の中の世田谷だが、区役所には次の松陰神社前の方が近く最寄り駅になっている。駅前も道は細く、住宅街の中の駅。線路の南側は円光院に接しており道がないので北側を行くことにするが、こちらも道がなくいったん住宅地の中に入りこむことになる。とにかく生活道路で道が狭く、かつ縦横にきちんと区画整理されている訳でもないので微妙な角度で道が交わっており、特に自動車で一度迷いこんだら出られないバミューダ魔の三角地帯みたいなとこるであるが、その辺の事情は世田谷線の沿線共通である。何かの番組のコントで「日本一道の分かりにくい街、赤堤」というネタがあったが、赤堤は下高井戸から松原あたりの町名でありまさにその通りである。
住宅街の中を線路と平行にしばらく行くと税務署や福祉センターなどがある一角でやや広めの通りに出る。この道で踏切を渡り線路の南側に出て、あとは次の松陰神社前まで線路沿いを歩くことができる。いずれにしても細い道ではあるけれど。駅間は0.5kmである。

松陰神社前松陰神社前
11:29到着。ここも駅前は狭い道だ。その名の通り松陰神社の最寄り駅であり、ちょっと神社にも立ち寄って行こうかとも思ったが、4〜500mほど北へそれなければならないので見送ることにした。もちろん吉田松陰を祀った神社であり、松陰の墓があるらしい。
ここまでほぼ真東に走ってきた線路はやや北東寄りに進むことになる。駅にある周辺地図によればここから次の若林までは線路のどちら側にも線路に沿った道がなく、住宅街の中を手探りで進むしかなさそうだ。
まずは線路の南側をしばらく進むが、すぐに線路から離れてしまう。家並みの隙間から世田谷線を確認しながら線路沿いに復帰するが、今度は突き当たりになるのでここで踏切を渡り線路の北側に出る。そのまま住宅街の中を進むとどんどん線路からは離れて行くが、右に曲がれる道を見つけて線路に近寄って行けばそこがちょうど若林の駅になる。ここも駅間は0.5kmだが実際にはもう少し歩いたと思う。

若林若林
11:38到着。ここも住宅街の中の駅であるが、駅のすぐ東を環七が走っており、これを横断しなければならない。世田谷線と環七の交差は踏切でなく信号になっており、信号が変わるまで電車も待つことになる。これは世田谷線がもともと路面電車であることの名残なのかもしれない。この信号を待って線路の南側のバイク屋の横から線路に平行する細い道に入ると、この道がやがて線路に沿って行く。
線路は環七と交差した後、三軒茶屋に向かって東南東に緩やかなカーブを描く。歩いていた道は突き当たるがここで踏切を渡ったのか、一度線路の南側の住宅地に入って次の踏切を渡ったのか記憶がない。次の西太子堂の駅には北からアプローチしたはずなのでどちらかの踏切は渡ったことになる。たぶん一つ先の踏切だろう。立て込んだ家並みの間を縫うように次の駅を目指した。もう三軒茶屋のキャロットタワーが見えている。駅間は0.6km。

西太子堂西太子堂
11:49到着。太子堂とはこの近くにある円泉寺のこと。聖徳太子を祀っているのでこう呼ばれているらしいが、むしろこの辺一帯の町名が太子堂であり、その西端にあるので西太子堂だというのが駅名の由来だろう。ここから終点(実際は起点)の三軒茶屋まではすぐ。これは三軒茶屋が再開発のために玉電当時の駅からずっと西寄りに移転されたからであるらしい。線路の北側をクネクネと進むとやがて道は線路に沿い、そのまま三軒茶屋駅に向かう。背の高いキャロットタワーが目印になるので迷うこともないだろう。なにしろ駅間が0.3kmなのですぐ着いてしまう。

三軒茶屋三軒茶屋
11:56到着。スタートから1時間20分ほど。途中で看板の写真を撮ったりそれを自分宛にメール送信したり(通貨時刻を記録するため)してちょっと立ち止まっていたことを考えると悪くないペースであった。
キャロットタワー地下で手洗いを借り、地下道を通って246号線に出て、ミスタードーナツでドーナツを買った。なにしろ家の近くにはドーナツ屋がないので。帰りは世田谷線に乗り、来た道を戻ったが、今歩いてきた道を路面電車の速度で眺めるのはプレイバックを見るようでまたこれも楽しかった。天気のよい休日の散歩コースとしてはお勧めできる。



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