logo 山手線徒歩一周(第1回)


突然だが山手線を歩いて一周することにした。山手線は営業キロで一周34.5km。時速4キロで歩き続けても9時間はかかることになる。今回は都合により行程を分割、何回かに分けて歩く試みだ。ただ歩くだけでは面白くないので、各駅でスタンプを押す。腰を痛めたばかりで不安はあるが、まあそのリハビリも兼ねて無理のない範囲で歩いてみようということである。出発点は最寄りターミナルである新宿だ。初回は2007年11月25日。

新宿
取り敢えず最初にスタンプをゲットして行こうかと思ったが、ここがゴールになることを考えると最後に新宿のスタンプを押して終わりにしたいということでそのままスタートすることにした。南口に立ったのが13:00。台風が来ると「首都圏のJRは」と必ず中継が入る場所である。北へ向かうか南へ向かうか迷ったが、南の方が何となく馴染みがあるので代々木に向かうことにした。
サザンテラスを南へ。JR東日本本社前でsuicaペンギンと記念撮影。さらにクリスピー・クリーム・ドーナツの行列をチェックする。例によって跨線橋にまではみ出す行列で待ち時間は1時間20分。僕がこのドーナツを口にするのはまだまだ先のことになりそうだ。テラスの端から都道に降りるとすぐに小田急の踏切があり、その先はもう代々木である。新宿から代々木まで0.7km。

代々木
昼メシがまだだったので道の向かいのマクドで遅めの食事。13:30に食べ終わってJR代々木駅のみどりの窓口へ。ここで1個めのスタンプをゲット。図柄は「近代ビルと明治神宮北参道」。近代ビルとは代々木駅東にそびえるNTTドコモのタワーである。そういえばこのビルは国立競技場のバック・スタンドからもよく見えるが、ちょっとヨーロッパの街によくある教会の尖塔のようにも見えて嫌いじゃない。備えつけのスタンプ台がやや乾いていたのか薄くなってしまったのが悔やまれる。
駅前から線路沿いを南下し、北参道入口の交差点から神社本庁の前を通って明治神宮に入る。ここから東の端の道を線路に沿ってずっと歩いて行った。宮廷ホームやふだんは使われていない臨時改札口を横目で見ながらさらに進む。あちこちに着飾った七五三の親子連れがいる。みんなこういう行事にはマメなんだなあと感心していたが、神宮橋に出ると風景が一変する。ここは原宿だ。代々木から原宿まで1.5km。

原宿
面白い格好をした若者がそこここにたむろしている。さすが原宿である。神宮橋から折り返して駅改札へ。ここの駅舎は趣のある木造だがいかんせん人多すぎ。事前資料にはスタンプは「表参道口改札窓口」にあると書かれていたので改札の係員に訊いたら、自動切符売場の端にあった。小学校低学年くらいの女の子が母親と一緒にスケッチブックにスタンプを押していた。他にもスタンプを集めている人がいるとはちょっと驚いた。図柄は「木造駅と明治神宮」。スタンプ台は青だった。
とにかくエラい人である。ロリ系のファッションをした「ロリ」とは言い難い体格や顔立ちの女の子も目につく。ラジカセから流れるレゲエに合わせて何ごとかをガナりながら踊っているおっさんもいる。駅前に大きな「おしりかじり虫」の看板があったので記念撮影。いろいろ見ているとキリがないので渋谷へ向かうことにする。明治通を行こうかとも思ったが、距離的にロスがあるので、代々木体育館を右手に見ながら線路の西側を進むことにする。
そういえばここでエピックの25周年の記念ライブを見たなあとか思いながら歩道橋を渡り線路沿いを南下、東京電力(電力館)前で線路をくぐり明治通に入る。宮下公園を歩いて行きたいところだが、浮浪者がいそうでイヤなので仕方なく明治通をさらに南下。銀座線の高架が遠目に何かいい感じだったので記念撮影しておいた。それをくぐると渋谷駅に到着だ。原宿から渋谷までは1.2km。

渋谷
東横線の駅からJR南口へ。みどりの窓口の中にスタンプはあった。ここでもスタンプを押している親子連れに出会う。ポケモンならともかく、他にもこんな地味なスタンプを集めている人に二組も出会うとは。もしかしたらこれはトレンドなのかもしれない。3個めをゲット。図柄は「金王八幡宮」。この神社は六本木通りを東に入ったところにある由緒ある神社らしいが、普通の人が渋谷と聞いて普通に思い浮かべるイメージとかけ離れていると思う。ここはやはり「ハチ公と109」とかが妥当なところではないか。
モヤイとハチ公で記念撮影。僕とてそんなところで撮影するのは気恥ずかしいが仕方ない。歩道橋で246を渡りメガネドラッグの前を通って線路沿いの道に入る。果てしなく南に伸びる渋谷駅を左手に見ながら猿楽橋をくぐり、東横線をくぐって南を目指す。駅前の雑踏を少し離れただけでウソのように静かになるのが面白い。途中で道路の湾曲に釣られて思わず線路から離れてしまったがすぐに気がつき線路沿いに戻る。できる限り線路沿いを歩くのが今回のコンセプトである。そのまま20分ほど歩くといきなり恵比寿駅前の交差点に出る。渋谷から恵比寿は1.6km。結構歩いた。

恵比寿
まずは駅前の恵比須像で記念撮影。スタンプの設置場所を読み間違えていったんアトレのエスカレータを昇るが気づいて戻り、西口で4個めのスタンプ。図柄は「恵比寿様と恵比寿ガーデンプレイス」。まあ穏当なところだろう。15:00近くになっていたので駅の中のエクセルシオール・カフェで休憩。熱いコーヒーを飲んで体力を回復する。少し足は疲れたし腰にもやや張りがあるがまあ想定の範囲内である。天気がよいのが何よりありがたい。
元気が出たところで再び歩き始める。駅の裏を少し歩いたが途中でスカイウォークに気づき階段で上がる。動く歩道で少しサボる。まあ、これくらいは許されるだろう。ガーデンプレイス、ウェスティンホテルを横目に見ながら線路を渡り西側に出る。厚生中央病院の裏を通って三田橋をくぐり更に南下すると道路が自然に線路を離れて行く。そして家並みの間に突如として異様な景観が出現する。そう、日の丸自動車学校である。
知っている人は知っていると思うが、社屋に巨大な日の丸というか何というか、赤い球がめり込んだような異様な建物である。山手線で新宿から五反田まで通っていた頃には毎日「無茶するなあ」と思いながら見ていた建物だが、こうして近くで見てみると一段と異様である。あの球の中はどうなっているのだろうか。フジテレビみたいに展望台やレストランになっているのだろうか。この自動車学校を卒業した人のレポートを待ちたいところである。
もう少し南下し、目黒教会の手前で跨線橋に出て駅への距離を確認する。そのまま線路を渡り東側に出たが、東側の道は線路から離れてしまい遠回りを余儀なくされた。地図をよく確認すればよかった。大通りに出たところが目黒駅である。恵比寿から目黒も1.5kmであり距離的には結構あったが、日の丸自動車学校のおかげでそれほど長くは感じなかった。

目黒
目黒駅ではみどりの窓口内でスタンプをゲット。みどりの窓口には長い列ができており、それを「ちょっとご免なさいよ」という感じで通らせてもらいスタンプ台にたどり着く。図柄は「爺々が茶屋」。落語「目黒のさんま」で殿様がさんまを食べた茶屋だというがこれも現実感が薄い。とはいえこの辺にはあまりこれといったアレもないし、目黒雅叙園でどうだろうか。
目黒から五反田までは線路を右手に見ながら歩く。この辺は五反田勤務だった頃に顧客を訪ねてしばしば歩いた道である。線路から離れずに道があるので歩きやすい。首都高目黒線をくぐり、そのまま五反田駅前の交差点にたどり着く。懐かしい辺りである。目黒から五反田は1.2km。やや単調な景色ではあるが見覚えがある分退屈しなかった。

五反田
五反田駅は大工事中であった。確かに恵比寿も目黒もきれいになり、大崎は大きな駅になったのに、五反田だけはいつまでも再開発が進まないと思っていたが、少なくとも駅舎は少し改装するようである。まあ、再開発といっても地権とか複雑そうだしね、あの辺り。スタンプは改札のすぐ外。図柄は「愛の母子像と池田山公園」。愛の母子像もいいが五反田といえば、ほれ、アレだろうやっぱり。有楽街。愛の母子像なんて2年間この駅に通ってたけど知らなかった。いや、目にはしていたはずなんだがまったく認識がなかった。一応記念撮影しておくことにした。
せっかくなので駅からほど近いかつての職場を外からちょっと眺めて、東急ストアの裏から目黒川に沿って東に進み、イマジカの手前で川を渡って線路沿いに出た。既に16:00をまわっており、そろそろ日没の気配が近づいている。今日は次の大崎までにしようと既に決めている。アートヴィレッジ大崎の壁面に写し出されているのが自分の姿だと確認できるまでに何度か前を行ったり来たりした。五反田から大崎までは0.9km。近かった。

大崎
スタンプが北口にあったのはラッキーだった。図柄は「新駅舎とお台場」。新駅舎はともかく、なんで大崎がお台場なんだ。りんかい線で行けるとかそういうことなんだろうけど、大崎から見えもしないお台場の観覧車やらフジテレビ社屋やらが大崎と言われても…。まあ、他に何もないところなので仕方ないのか。
という訳でほどよく疲れたし、ここからなら新宿に戻るのも埼京線で便利だし、16:30ということで日没を控え今日の山手線一周トライを終えることにした。ここまでの歩行距離は営業キロで9.6km。実際には線路の両側を行ったり来たりしていた訳で、10km以上は歩いていると思う。
次回は大崎からのスタートになるが、大崎から次の品川までは営業キロで2.0kmもある上、地図を見れば分かるとおり線路沿いに道らしい道がない難所である。あくまで山手線に義理立てしてぐるっと南まで道なき道をたどるのか、大崎駅から北に進んでソニー村に入り、ソニー通りを下って第一京浜に入るか、ショートカットはちょっと反則のような気もするが、ま、この辺は次回までに悩んでおくことにしよう。



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