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THE SUN STUDIO EDITION

2005.8.17(2005.12.7)発売
DaisyMusic / POCE-3802

PRODUCER :
佐野元春(ex.3)、高橋ゲタ夫(3)
作詞・作曲 :
佐野元春
●最後の1ピース complete version
●恵みの雨 complete version
●観覧車の夜 complete version
●光 final version
●タンポポを摘んで
●光 instrumental version

当初(2005年8月17日)アップルの音楽ダウンロード・サイト「iTunes Music Store」でのダウンロード販売のみでリリースされ、その後12月7日には同内容でCDリリースされたEP。アルバム「THE SUN」収録曲のコンプリート・バージョンやアウト・テイクなどで構成されたミニ・アルバムである。

アルバム「THE SUN」で発表された曲の多くは長尺のセッションをリリース向けに編集したものであったという。ここでは、「最後の1ピース」、「恵みの雨」、「観覧車の夜」の3曲の、編集前の「完全版」を聴くことができる。特に「最後の1ピース」では、アルバム・バージョンではカットされていた歌詞が聴かれ興味深い。いずれもアルバム・バージョンは4分弱のサイズだが、ここでは長いものは6分近いオリジナルのまま収録されており、「THE SUN」というアルバムの成り立ちを知る上で貴重なバージョンである。

「観覧車の夜」では高橋ゲタ夫が率いるオルケスタ・デル・ソルの演奏がよりビビッドに収録されている。全体に、きれいに整理されたアルバム・バージョンよりは、より原初の力に満ちたスポンテイニアスなジャム・セッションに近い演奏を聴くことができ、「THE SUN」というアルバムを背後で支えているバックボーンの確かさを見る思いがする。

「光」は、2001年9月のアメリカ同時多発テロの直後に、公式サイトで、デモ・バージョンという形でフリー・ダウンロード・リリースされた曲にストリングス他をダビングした「最終」バージョンである。この曲は当初のデモ・バージョンのダウンロード期間終了後は入手が困難であったが、より完成された形での公式リリースとなった。この曲が「THE SUN」セッションの一部を構成する曲であること、したがってアルバム「THE SUN」がテロの時代に大きくコミットした作品であることを明確にしている。

「タンポポを摘んで」は未発表曲。「THE SUN」セッションのアウト・テイクである。「Please Don't Tell Me A Lie」や「メリーゴーランド」を思わせるジャズ・ブルース。これもスポンテイニアスな演奏をベースにした、ジャム・バンド的な作品である。

全体としてはコアなファン向けの企画もの的側面が強いが、未発表曲を含んだラインアップは魅力的である。以前からのマック・ユーザである佐野が、iTMSのオープンに合わせて自作を当初iTMS限定でリリースしたことは、佐野のメディア、リリース・チャネルに対する考え方や、今後の佐野の活動の方向性を知る上でも重要なアクションになるだろう。



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