当初（2005年8月31日）アップルの音楽ダウンロード・サイト「iTunes Music Store」でのダウンロード販売のみでリリースされ、その後12月7日にはiTMSで発売されなかった2曲（「月夜を往け」と「君の魂　大事な魂」）と曲コメントを追加してCDパッケージでリリースされたライブ音源。タイトルどおり2005年2月20日にNHKホールで行われたツアー最終日のステージから、第二部として演奏されたアルバム「THE SUN」収録曲11曲を収録している。

このライブの模様は既にDVDで発売されているが、本作ではミキシングとマスタリングをやり直している。まとまったライブ・アルバムとしては「HEARTLAND」、「Golden Ring」に続いて3枚目のリリースとなる。

「THE SUN」というアルバム、そしてこのツアーでHKBは確かにひとつの頂点に達しており、その演奏を記録するという意味でこのアルバムは貴重なものだ。リリースの形態としてDVDとの重複、当初ダウンロードのみの販売（後に音源を追加してCD発売）というチャネル戦略には議論の余地もあるが、どういう形であれ公式にこのツアーの音源が残されるのは歓迎すべきことだろう。

僕自身はライブ・アルバムというものにあまり思い入れがなく、記録や資料として持ってはいてもふだんは聴かないことが多い。ライブというのはその場限りの一回性にこそ意味があるのであって、それを何度も繰り返して再生して見るようなものではないと思うからだ。僕自身も見に行ったライブではあるが、いや、だからこそ、そう何度も手に取るアルバムではないように思う。

尚、CD発売時に追加された曲間のコメントは余計だったと思う。コメントで語られている内容はそれぞれ興味深く、貴重なものではあろうが、アルバムを聴くたびに同じコメントが繰り返されるのはいかがなものだろうか。スリーヴに印刷することで十分ではなかったかと思う。尚、こうした佐野の「肉声」が公式の音源に収録されたのはこれが初めてである。