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Spoken Words
Collected Poems 1985-2000

2000.12.18発売
GO4 / Epic Sony / E30100003A

PRODUCER :
佐野元春
MASTER ENGINEER :
前田康二

作詞・作曲 :
佐野元春
●再び路上で
●Sleep
●52nd Ave.
●リアルな現実 本気の現実 Part 1 & Part 2
●夜を散らかして
●N.Y.C. 1983〜1984
●Dovanna
●ある9月の朝
●完全な製品
●…までに
●僕は愚かな人類の子供だった
 −Dedicated to the Astroboy
●フルーツ−夏が来るまでには
●廃虚の街(LIVE)
●ポップチルドレン
 −最新マシンを手にした陽気な子供たち(LIVE)
●自由は積み重ねられてゆく(LIVE)

1985年にリリースされたカセット・ブック「ELECTRIC GARDEN」所収の作品から、1998年にオムニバス・アルバム「ATOM KIDS」に提供された「僕は愚かな人類の子供だった」まで、ポエトリー・リーディング、スポークン・ワーズの系譜に属する15曲を収録したコンピレーション。CDケースサイズ、72ページ、ハードカバーの書籍仕立てになったパッケージで、「CD書籍」と名づけられている。デビュー20周年記念ウェブ・サイト「eTHIS」での通信販売のみでリリースされた。

カセット・ブック「ELECTRIC GARDEN」所収の作品(T1〜T7)はドラム・ループの追加レコーディング及びリミックスが行われている。T8〜T10は1986年リリースの「ELECTRIC GARDEN #2」からの作品(同じく「ELECTRIC GARDEN #2」所収の「Perfect Production ('Anti-Mass' Mix)」は本作には未収録)。「僕は愚かな人類の子供だった」は上記の通り手塚治虫トリビュート・アルバム「ATOM KIDS」に提供された曲で、後にシングルとしてもリリースされているが、ここにはトリビュート・アルバムに提供されたのと同じ「CMJK Version」が収録されている。「フルーツ」はアルバム「FRUITS」からリミックスして収録。T13〜T15は1995年に発行された雑誌「THIS」の付録として配布されたCDシングル所収のトラック。

ここで行われているポエトリー・リーディングという表現形態は、ロック・ミュージシャンとしての佐野元春のメイン・ストリームの活動とはかなり趣を異にしており、それらと同列に論ずることはできないが、より言葉の内発性やビートとのぶつかり合いが生むハプニング的な要素を重視したアプローチは、メイン・ストリームの音楽活動にも絶えずフィードバックされ、佐野の活動の中でも重要な役割を担ってきた。佐野のサイド・プロジェクトとしてこれまで入手の困難であった音源がまとめてCD化された意義は大きいと言うべきだろう。

特にカセット・ブックという先駆的な形態でリリースされながら、その後長く入手不能となっていた「ELECTRIC GARDEN」所収の作品が、再音源化されたことは特筆に値する。リミックスによってよりビートが強調されていることもこれらの作品を今日的な文脈で読み説くための重要なサポートとなっている。オリジナルのカセット・ブックにあった音楽とビジュアルの連携という視点は本作では残念ながら希薄だが、音源だけでも十分な喚起力を持ち得ていると言ってよい。

それ以降のトラックは、個別には興味深いものもあるものの、「ELECTRIC GARDEN」の作品ほど高いテンションをはらむものではなく、1枚のCDとしてはやや散漫に流れる感があることは否めない。しかし、佐野が言葉というものに自覚的に取り組んできたアーティストであることを考えるとき、バック・トラックを武器に「詩」を路上に引きずり出した、ビートニクの系譜を継ぐ者としての佐野の資質をひとつの流れとして確認するには本作は重要なテキストである。

尚、本作のリリースに合わせてオフィシャル・ウェブ・サイト「Moto's Web Server」で公開されたサポート・サイトは、音楽とビジュアルの関係に新しい可能性を開いた優れた作品であることを付け加えておきたい。カセット・ブックで佐野が試みた音楽とビジュアルの連携は、ウェブやCD-ROM等のメディアの進歩によってより身近になったと言える。本作がより意欲的なマルチ・メディア作品として結実することを希望したい。



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