少子化の本質 政治家の失言というものにはすっかり慣れっこになっていたつもりでしたが、かの厚生労働大臣の「女性は産む機械、装置」発言は久し振りにセンセーショナルでした。野党はもちろん、与党内からも批判がでるのは当たり前で、しかも少子化問題を担当していて、そうでなくても少子化対策には一番密接な大臣です。そのような認識では到底有効な問題解決などできるはずがありません。 ただ正直なところ、あのような女性蔑視あるいは少子化問題に対して意識が低いのは、何も失言をした大臣だけではないのではないでしょうか。ある一定以上の年齢の男性議員あるいは、一般の社会でも似たような考えを持っている男性が少ないとはどうしても思えません。 どうもエライ方々や頭のカタイ方々は、少子化の原因は女性が社会参加し、働き続けたいのに出産や育児のために仕事を続けられないから、つまり女性が「出産か仕事か」と、二者択一をした結果だとしか捉えてないように思えてなりません。しかし、少子化の原因はそんな単純なものではないはずです。 他にも原因は多々ありますが、何より最近一番問題になっているのは、産科と小児科不足です。「出産難民」などという言葉が生まれるほど、都会・地方を問わず今は産科が足りないと聞きます。つまりは、女性が産みたいと思っても産めない事情が複数存在しているというわけです。 さらにこの産科・小児科不足の問題を、先の大臣の失言とリンクさせて考えてみて下さい。仮にこれからの1、2年で出生率が今より1割でも2割でもアップしたら、現状のままでは産科・小児科不足に拍車がかかるだけではないでしょうか。 そして、少子化問題そのものとは別に、今回の発言はもうひとつ大きな問題を内包していると思います。厚生労働大臣という要職にある人が、あるいは政治家がこのように「口を滑らす」事自体、政治家としてあまりにも危機管理意識が低いと言わざるを得ません。なぜこのような発言をするその時に、「使うべき表現ではない」という判断ができなかったのか、そのこと自体、大臣という重責を果たせる人材ではないと思えてなりません。自分のことすらこの程度の危機管理意識だとなると、やはり一国の大臣としての仕事は任せられないと思ってしまいます。 2007 Sophie / Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |