発想の転換 ある日突然、官房長官が定例記者会見にノーネクタイで現れ「クールビズ」なる言葉を発した時、私は何のことかよくわからず少々驚きました。一瞬、また小泉さんの人気取りのサプライズかとも思いましたが、話をよく聞いてみると決してそうではないことがわかりました。 このクールビズ・スタイル、概ね女性にはウケがいいようですが、当の男性はというと、戸惑いも含め必ずしも諸手を挙げて大賛成というわけではないようです。その最たる理由が「だらしなく見える」という意見で、女性でも特に年配の方は同様に感じている方がいるようです。 ネクタイをしていないだけでだらしがないと思うのも、「ネクタイをしていればフォーマルだ」という既成概念があってこそです。しかし、そうしたファッションだってそんなに長い歴史があるわけではありません。むしろ、本来の日本のファッション感覚は四季の変化に対応したもので、スーツやネクタイというスタイルは多少気温が高くても湿度が低い欧米から輸入したものです。 それからマスコミがこの話題を取り上げるのはいいのですが、やれ「本人のセンスの問題だ」とか言って、挙句にファッションチェックをするのはいかがかと思います。元々、温暖化対策や省エネのために始めようということになったのです。もちろんセンスがいい着こなしをできるに越したことはないかもしれませんが、そんなことは二の次です。冷房の設定を2度下げるとどういう効果があるか検証するなどして、クールビズを一過性の流行に終わらせず、皆が納得して受け入れ、今後必要である限り続けられるようにするために盛り上げてほしいと思います。 そしてもうひとつ気になるのが、ネクタイ業界からクールビズへの異論が聞こえている点です。確かに業界の方にとっては大きな問題でしょうが、政治家も今回ばかりは誰か特定の人や団体に対して利益、あるいは損失を与えるためにしていることではありません。まして日本は地球温暖化だけでなく、ヒートアイランド現象も問題となっています。業界として経済的に苦しくなることは理解できますが、日本の未来のため、その未来を担う子供たちのため、自分たちに不利だからといって安易に反対するのではなく、とりあえず今年は耐えていただけたらと思います。そしてこのピンチを逆にチャンスに変えて、クールビズに適応する何か新しい商品を開発できないものでしょうか。ネクタイ業界には、そうした意味で期待をしています。 2005 Sophie / Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |