CDのプラケースは3つのパーツからできている。まずカパッと左に開く「ふた」の部分。次にディスクをパチッと固定する「トレイ」の部分。それからトレイがはまっている「外ケース」の部分。ケースにトレイが組み込まれ、ふたが取りつけられている形である。トレイはかつて黒や白が主流であったが、最近は透明のものが多くなっているようだ。

ここに商品がセットされているのだが。商品も通常3点で構成されている。まずディスク本体。それから歌詞カードの冊子。そして、トレイと外ケースの間に挟まっている「裏表紙」的な紙片（「バック・インレイ」と呼ばれる）。ソフトケースはこの3点を収納することになる。

5種類のソフトケースを構造的に見れば、FDR、MSS、収納革命の3種は基本的に上部にふたの付いた、縦13cm、横15cmほどのビニル袋というかビニル・ポケットである。いずれもディスクを入れるための不織布の袋が付属しているので、ディスクをこの袋に入れ、後ろにバック・インレイ、前に冊子ではさんで上からポケットに入れる。言ってしまえばそれだけである。単価も30円前後と近い。

タワレコはやや構造が異なる。ビニル袋のポケットであることに変わりはないが、上に開いたポケットと横に開いたポケットのダブル・ポケット構造になっている。冊子とバック・インレイをセットにして上に開いたポケットにストンと入れ、全体を裏返して横に開いたポケットにディスクをスッと滑りこませる。単純な袋状の商品に比べて構造が複雑な割に20円弱と単価が安いのは不織布の袋が付いていないからかもしれない。

コクヨは単価が58円と最も高いだけあって最も凝った作りになっている。詳しくはコクヨS&Tのサイトを見て欲しいが、ざっくり説明すればプラケースの構造をそのままソフト化した感じ。二つ折りになっており、「表紙」を左に開くと、左側が冊子を収納するポケット、右側がディスクとバック・インレイを収納するポケットになっており、右側のポケットには不織布の仕切りがセットされている。仕切りの手前にディスクを入れ、仕切りの裏にバック・インレイを外向きに入れる。冊子の裏表紙もディスクのレーベル面も見える。

1,800枚あると見られるCDのうち、シングルCDなど薄型のプラケースに入っているものは詰替対象外、さらに紙ジャケやデジパック（厚紙のジャケットにプラスチックのトレイが直接接着されているタイプのもの）のものも詰め替えの必要はないことから、ソフトケースへの移行対象は概ね1,200枚〜1,400枚程度と推定された。今後のことも考えて1,500個のソフトケースを購入するとして、最も安いタワレコで29,400円、最も高いコクヨで86,610円。揃ったサンプルを見比べながら悩んだ。

まず単純な袋タイプ（FDR、MSS、収納革命）が脱落した。ディスクを不織布の袋に入れる手間、これを冊子、バック・インレイとセットしてケースに挿入する手間、どれも面倒。つか不織布の袋がなんか貧乏臭くてイヤだった。加えて、FDR、MSSではふたがなぜか後ろから前に折り返すようになっており、ジャケットにかぶる形になる。また、手前のビニルには中身を出し入れするための切り欠きがあり、これもジャケット・アートに干渉する。これは致命的だった。なぜふたを後ろに折り返す形にしないのか理解に苦しむ。

最も安いタワレコと、最も高いコクヨとで悩むことになったが、さすがに87,000円という費用はちょっとどうかという感じがして、一時はタワレコに決めかけた。ディスクをビニルのポケットに直接挿入するためにディスクの記録面に擦過痕が残るという意見もあるようでやや抵抗はあったが、冊子、バック・インレイとディスクを別のポケットに入れるという構造は悪くないと思ったのだ。安いし。

だが、最終的にはコクヨに決めた。決め手になったのは価格ドット・コムで商品検索した結果、最も安いネット店舗では50枚入りが1,599円で売られていたこと。これなら単価は32.0円、1,500個購入しても47,970円だ。ポケット型のものと大差ない。というかMSS、収納革命よりも安い。当初の見積もりはコクヨS&Tのオフィシャル・ウェブショップでの販売価格をもとにしており、市価では実に45％引き。

商品とすれば最もしっかりしており、ディスク、冊子、インレイがそれぞれ独立して収まる点、プラケースの構造を模しておりアート・ワークに干渉しない点がポイント高かった。値段がここまで下がるならこれで行こうということになり、1月14日に発注した。