SOUND & VISON 1980-2010
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SOUND & VISION 1980-2010
Sony Music Direct
DYCL 1821-5 [CD] (2012.5.16)
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■FACT.1 1980-1983 硝子の世代
●アンジェリーナ('99 mix version)
●ガラスのジェネレーション 2006
(Additional recorded version)
●情けない週末
●ナイトライフ
●悲しきレイディオ
●ハートビート
(小さなカサノバと街のナイチンゲールのバラッド)
●シュガータイム
●ハッピーマン
●ダウンタウンボーイ('99 mix version)
●サムデイ
●ロックンロール・ナイト
●マンハッタンブリッジにたたずんで
(Original single version)
●彼女はデリケート(Short edited version)
●スターダスト・キッズ
(Additional recorded version)
●モリソンは朝、空港で(Original single version)
●グッドバイからはじめよう
(Original single version)
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■FACT.2 1984-1989 訪問者たち
●トゥナイト(Short edited for 7inch version)
●シェイム−君を汚したのは誰
●コンプリケイション・シェイクダウン
(Short edited for 7inch version)
●カム・シャイニング
(Short edited for 7inch version)
●ニュー・エイジ
(Short edited for 7inch version)
●シーズン・イン・ザ・サン
(Single mix version)
●ヤングブラッズ(Single mix version)
●インディビジュアリスト
●99ブルース
●ストレンジ・デイズ−奇妙な日々
(Single mix version)
●ワイルド・ハーツ−冒険者たち
(Single mix version)
●ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
(Original single version)
●ジュジュ
●約束の橋(Original 7inch single version)
●新しい航海
●雪−あぁ世界は美しい
(Short edited version)
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■FACT.3 1990-1994 無垢の円環
●ぼくは大人になった
(Original single version)
●ジャスミンガール
(Original single version)
●君を待っている
●クエスチョンズ
●スウィート16
●レインボー・イン・マイ・ソウル
('99 mix and edit version)
●ボヘミアン・グレイブヤード
●誰かが君のドアを叩いている
●エイジアン・フラワーズ
●また明日…
●ミスター・アウトサイド
●彼女の隣人(Single mix version)
●君を連れてゆく
●欲望
●レインガール
●エンジェル
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■FACT.4 1995-2003 経験の唄
●楽しい時(Original single version)
●ヤァ!ソウルボーイ(Original single version)
●十代の潜水生活
●経験の唄
●水上バスに乗って
●すべてうまくはいかなくても
●風の手のひらの上
●ロックンロール・ハート
●ヤング・フォーエバー(Original single version)
●ドクター(Short edited version)
●マナサス
●だいじょうぶ、と彼女は言った
(Original single version)
●君を失いそうさ
●驚くに値しない
●石と卵(featuring Bonnie Pink)
●イノセント(Original single version)
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■FACT.5 2004-2010 君の魂 大事な魂
●月夜を往け(Single mix version)
●君の魂 大事な魂(Short edited version)
●レイナ
●希望
●恵みの雨
●国のための準備
●太陽
●光(Final version)
●星の下 路の上(Original single version)
●荒地のどこかで
●君が気高い孤独なら
●呼吸
●ラジオ・デイズ
●コヨーテ、海へ
●黄金色の天使
●じぶんの詩(Fade out version)
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デビュー30周年を記念してリリースされた、CD5枚、DVD5枚、写真集5冊に歌詞カードを兼ねた「音楽詩集」1冊というボックスセット。通信教育などを取り扱う株式会社ユーキャンが販売を担当、35,000円(分割の場合は13回払36,400円)でインターネット通信販売された。当初は2010年10月に翌2011年3月発売予定と発表されたが、製作は遅れに遅れ、結局1年以上経って予約したことすら忘れていた2012年5月にようやくリリースされた。
佐野のこれまでの活動を大きく5期に分け、デビュー渡米までの期間を「硝子の世代」、NY時代からアルバム「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」までを「訪問者たち」、その後ハートランドを解散し活動を小休止するまでを「無垢の円環」、HKBを率いての活動再開からレーベル移籍までを「経験の唄」、デイジー・ミュージック・レーベル設立から現在までを「君の魂 大事な魂」と名づけてそれぞれの時期の音源から各16曲をCDに収めている。DVD、写真集もそれぞれの時期に対応した内容となっている(DVDの詳細については別項でレビュー)。
30周年という大きな節目にこれまでの活動を総括するボックスセットをリリースするという企画自体はあってしかるべき。収録された曲を見ても代表曲を中心にオーソドックスな選曲がなされており、活動の総括という企画の意図に沿った穏当な内容と評価してよいだろう。こうしたベストものの選曲には結局のところどのようにしても「あれが入っていない」とか「これは要らない」的な賛否が出るものだが、そういう意味では最大公約数的で理解はできる選曲と言っていいだろう。
広報サイトによれば収録された音源のうち、『マンハッタンブリッジにたたずんで』『モリソンは朝、空港で』『カム・シャイニング』『じぶんの詩』の4曲は初CD化のバージョン(『じぶんの詩』は曲自体が初CD化)とされているが、僕の知る限り『マンハッタンブリッジにたたずんで』はこれまで再三CD化されているオリジナル・バージョンと同じものに聞こえる。
これら以外の曲に関してもバージョンの説明には不正確なものが相当あり、また、特に説明もないまま既発表のバージョンとは異なる新バージョンを収録している例もいくつかあって、全般に資料性に信頼を欠く商品内容である。
曲毎のバージョン詳細は「全曲バージョン解説」で解説しているが、ボックスのスリーブの説明に疑問があるものは本稿の末尾にまとめておく。これだけ時間をかけてこのいい加減な仕事はどういうことかと思う。カネを取って売る商品からこんなにぼろぼろ誤記だの何だのが出てくると仕事に対する誠実さを疑う。
あと、こうした企画盤が出る度に思うのだが、曲名の表記、バージョン表記に対するいい加減さというか愛情のなさ、製品としての完成度の甘さである。オリジナル・リリース時に英文表記だった曲名をカタカナ表記にされだけでも僕などはかなり違和感があり、『ニュー・エイジ』くらいならともかく、『SOMEDAY』を『サムデイ』とか表記されると一気にげっそりしてしまう。
他にも、『モリソンは朝、空港で』(オリジナルは『モリスンは朝、空港で』)とか『マンハッタンブリッジにたたずんで』(『マンハッタンブリッヂにたたずんで』)、『荒地のどこかで』(『荒地の何処かで』)など、言い出したらきりがない。些細なことかもしれないが、詞もまた作品の大切な一部なら、タイトルもないがしろにされていい訳はないだろうと思う。
また、35,000円という価格設定も厳しい。新しい音源が収録されていないとはいえ、貴重な映像資料などもあり、熱心なファンであれば買うしかない商品でこの価格はいささか高すぎる。冊子まで計算に入れてもアイテム一点あたりの単価は約2,200円。CD、DVDだけなら単価は3,500円である。記念品、愛蔵版としての価値を考慮しても、ファン心理につけこみ足許を見た商法と批判されてやむを得ない。せめてあと2、3割安くてしかるべきだったのではないか。
入手の難しかったバージョンが収録されているなど音源としては相応の価値のあるものだが、こうしたコスト・パフォーマンス面を考えれば、熱心なファン向けの商品と割り切るべきものだろう。
疑問のあるバージョン説明について
●ハートビート バージョン名の記載はないが、実際にはオリジナルでは『Interlude』から連続しているシンセのイントロをフェイド・インに編集し直した新バージョンでここでしか聴けないもの。
●SOMEDAY バージョン名の記載はないが、オリジナルから冒頭のSEのノイズを1、2秒カットした新バージョンのように思える。
●トゥナイト 「Short edited for 7inch version」とされているが、実際に発売された7インチ・シングルはアルバムと同じフル・レングスのバージョンであり、ここに収められた編集バージョンはアルバム『Moto Singles 1980-1989』などに収められたもの。不正確なバージョン名だ。
●また明日… バージョン名の記載はないが、この曲はシングル・バージョンとアルバム・バージョンが異なっており、ここに収録されているのはアルバム・バージョンと思われる。アルバム・バージョンとシングル・バージョンが同じ曲に「Original single version」などとムダなクレジットをつけるくらいなら、こうした曲にきちんとクレジットをつけて欲しい。
●ミスター・アウトサイド バージョン名の記載はないが、実際にはオリジナルの冒頭の雷鳴などのSEをカットした上、エンディングをフェイド・アウトに編集した新バージョンでここでしか聴けないもの。こういうのにこそきちんとクレジットをつけるべきだろう。
●欲望 バージョン名の記載はないが、実際にはオリジナルのギターのイントロを40秒も大胆にカットした編集バージョン。アルバム『The Very Best of Motoharu Sano』に収録されたのと同じバージョンで、これもクレジットがあってしかるべき。
●君を失いそうさ バージョン名の記載はないが、実際にはオリジナルのエンディングをフェイド・アウトに編集した新バージョンでここでしか聴けないもの。
●月夜を往け 「Single mix version」とされているが、こりゃアルバム・バージョンだ。真面目にやれ。
●じぶんの詩 「Fade out version」とされているが、オリジナルもフェイド・アウトしており不親切、不正確なバージョン名だ。オリジナルとはフェイド・アウトのタイミングの異なる新バージョンである。
●これらの他にも、シングル・バージョンとアルバム・バージョンが同じなのにわざわざ「Original single version」とされている曲がいくつかある。あるいはこれらの曲はシングル・バージョンがアルバム・バージョンと異なっていたのだろうか。例としては『マンハッタンブリッジにたたずんで』『グッドバイからはじめよう』『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』『ぼくは大人になった』『ジャスミンガール』『楽しい時』『ヤァ!ソウルボーイ』『だいじょうぶ、と彼女は言った』など。
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