logo 役に立つドイツ旅行のポイント ユーロがやってくる


いよいよ2002年からユーロの現金が登場します。各国では既にコインの見本パックが配布され始めました。銀行によってはこの見本パックを求める行列ができたところもあるとか。もちろん国によって温度差はあるでしょうが、これで気分も盛り上がって行くことでしょう。

ユーロ参加国 (12カ国・順不同)

ドイツ フランス イタリア
スペイン ポルトガル オーストリア
ベルギー オランダ ルクセンブルグ
アイルランド フィンランド ギリシャ

さて、ユーロとは何か、ここでもう一度おさらいしておきましょう。ユーロはヨーロッパ12カ国共通の通貨です(参加国は別表参照)。これらの国では2002年1月1日以降ユーロが正式な通貨になり、これまで通用してきたマルクやフランは廃止されます。2002年の2月末までは旧通貨のコインや紙幣も使うことができますが、それ以後は通用しなくなります。旧貨幣はそれぞれの国の銀行へ持って行けばしばらくはユーロに替えてくれますが、いつまで取り扱ってくれるかは国によって違います(ドイツは50年らしい)。

以前にヨーロッパを旅行したときにこれらの国のおカネを使い残したまま、次に旅行するときのために置いてある人は、記念品だと割り切ることをお勧めします。どうしてもという人は最寄りの銀行にお持ちください。日本の銀行でこれらの旧貨幣をいつまで日本円に両替してくれるかはちょっとよく分かりません。尚、コインはいずれにしてももともとの発行国に持ち込むしか両替の方法はありませんが、これは米ドルや英ポンドも含め他の通貨と同じことです。

ユーロになって何が嬉しいかというと、これらの12カ国の間ではもはや両替の必要がないということです。例えば僕がドイツからフランスに旅行するときも、ふだん使っているユーロの現金をそのまま持って行けばそのまま使える訳です。両替も換算も手数料も何もありません。国境を越えてもおカネがそのまま使えるというのは、これはちょっとすごいことです。

もちろん日本から旅行に来ても事情は同じです。国境を越えるたびに両替したり、使い残したコインで無理に買い物したりする必要はなくなりました。換算も比較的シンプルです。今のところ1ユーロ=100円だと思っていても実際上の不都合はありません(厳密には1ユーロ=110円程度、2001年12月現在)。また、これまでは日本の銀行で事前にヨーロッパ各国の現金を手に入れるのはなかなか難しかったのですが、それも少しは改善されるかもしれません。

気をつけなければならないのは、ユーロに参加しないという意固地な国の存在です。その代表は島国根性のきついイギリスでしょう。彼らは自分の国は「ヨーロッパ」ではないと考えています。EUにも長い間参加しませんでした。どうしてもイギリスに行きたい人はユーロの恩恵を受けることはできません。覚悟してください。もちろんイギリスでもユーロへの参加は政治的なテーマにはなっていますが、実現するまでにはしばらく時間がかかると思います。

あと、スイスも不参加国の一つです。スイスは中立国なのでどんな種類の同盟にも参加しないのは仕方ありませんが、フランスとドイツとイタリアの間にあるだけに、旅行中避けて通る訳に行かないことも考えられます。スイスでは何も買わず何も食べないという固い決意が必要でしょう。どうしてもという人はここだけ別途スイス・フランに両替してください。他にはスウェーデン、デンマーク、ノルウェーの北欧諸国も不参加です(フィンランドは参加しています)。

ユーロの紙幣は参加各国共通のデザインですが、コインの裏面は発行国によってデザインが違います。いくつかの国を旅行した後でデザインの違うコインが混じっているのを見つけても、「ニセガネだ」と騒ぐと恥をかきますので気をつけましょう。もちろんどの国で発行されたコインでもすべてのユーロ参加国で使えますので心配は要りません。

僕は95年からドイツにいますが、まさか自分がユーロの紙幣をここで見ることになるとは思いませんでした。ユーロが決済通貨として導入された数年前ですら、マルクがなくなるという実感はまったくなかった訳ですが、それがついに現実になるのかと思うと感慨深いですね。歴史的な瞬間にそこで起こるドタバタをしっかり目撃しようと思います。



Copyright Reserved
2001 Silverboy & Co.
e-Mail address : silverboy@silverboy.com