変数人間 ●「変数人間」 編者・大森望による巻末の「編者あとがき」によれば、2011年刊の「アジャストメント」、2012年刊の「トータル・リコール」に続くディックの短編傑作選第三弾ということらしい。1983年に北宋社から刊行された「あぶくの城」所収の『異星人マインド』を『猫と宇宙船』と改題して新訳で収録した他、2002年にハヤカワ文庫の「フィリップ・K・ディック・レポート」所収の『不適応者』を収録するなど短編集未収の作品を2編収めた。 ■The Days Of Perky Pat パーキー・パットの日々 1963 浅倉久志・訳 短編集「パーキー・パットの日々」に収められた同名作の再録。 ■Sales Pitch CM地獄 1954 浅倉久志・訳 短編集「まだ人間じゃない」に収められた同名作の再録。 ■The Indefatigable Frog 不屈の蛙 1953 浅倉久志・訳 短編集「模造記憶」に収められた同名作の再録。 ■The Eyes Have It あんな目はごめんだ 1953 浅倉久志・訳 短編集「模造記憶」に収められた同名作の再録。 ■The Alien Mind 猫と宇宙船 1981 大森望・訳 仁賀克雄訳『異星人マインド』として「あぶくの城」に収められた掌編を改題した大森望の新訳。これまで短編集には収められていなかったものだ。ワクチンを積んでメクノスIIIに向かう宇宙船の操縦士ベドフォードは異常を告げるアラームで不活性状態から目覚めた。どうやらペットとして積み込まれた猫がいたずらしたらしい。ベドフォードは猫を処分するが、到着地のメクノス人は猫がいないことに不審な目を向ける…。今ひとつ意味が分かりにくいが、星新一的な手触りのショートショートだ。 ■Shell Game スパイはだれだ 1954 浅倉久志・訳 短編集「悪夢機械」に収められた同名作の再録。 ■Misadjustment 不適応者 1957 浅倉久志・訳 念動能力者(PK)を摘発するため念動力に影響を受けない女性ばかりの組織監察庁がランダム点検ネットでPKの候補者を摘発している社会。企業経営者エガートンはネットに引っかかり、監察庁に追われる羽目になる。助かる道はただ一つ、自ら監察庁に出頭し、その検査に従うことだけだ。観念したエガートンは自らを逮捕しようとした捜査官ドリスを訪ねるが、そこで彼が目にしたのは他の異様なPKだった。着想は面白いがPKの説明が不足しており「妄想」との関係が今ひとつはっきりしないのが難点。 ■A World Of Talent 超能力世界 1957 浅倉久志・訳 短編集「悪夢機械」に収められた同名作の再録。 ■Paycheck ペイチェック 1953 浅倉久志・訳 短編集「パーキー・パットの日々」に収められた『報酬』を改題して再録。 ■The Variable Man 変数人間 1953 浅倉久志・訳 短編集「永久戦争」に収められた同名作の再録。 2013 Silverboy & Co. e-Mail address : silverboy@silverboy.com |