P.K.ディック SF作品レビュー ディックは決して巧い作家ではないと思う。着想は面白くともプロットは破綻し、伏線は回収されないまま放置され、晩年には神秘体験をしたとか得体の知れないことを言いだし、フィクションと実生活が混じり合って半ば神がかった状態(実際にはドラッグで脳みそが半ば溶けかかった状態)になってしまう。それでも僕がディックを読み続けるのはやはり、この作家が書く現実の相対性、当たり前に見える生活のすぐ裏側に隠れた悪夢がどこまでもリアルだからだ。駄作、失敗作も含めて多作な人ではあるが、ウェブ・ベースでその著作を系統立ててコンパクトに評論し、ビブリオグラフィの全体を紹介したものが見当たらないので、今回、ディックSF作品の発表順再読を試みる記録として、僕の各作品に対する感想を書きつけておくことにする。(2007.8.11) 【長 編】 【短編集】 →短編リスト
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