面白いジョーク
「世界で最もおもしろいジョーク」のオンライン調査結果発表
(2002.10.4. Hotwired 土屋 旭/Infostand)
オンラインで「世界で最もおもしろいジョーク」を募集していたイギリスのウェブサイト『ラフラボ』が最終結果を発表した。(中略)訪問者に好きなジョークをエントリーしてもらい、同時に5段階方式の人気投票にかけた。70ヵ国から4万件の応募があり、英マンチェスターの精神科医の応募作品が1位になった。ラフラボによると、イギリス、アイルランド、オーストラリアなどでは言葉の遊びが、米国、カナダでは他人の愚かな行為の話が、欧州の多くでは現実離れした話が好まれていたという。
この間世界を広く旅行して実地調査したワイズマン博士によると、どこの国でもジョークを見つけることは容易だったが、唯一日本では、ジョークの習慣自体を見出すことが非常に難しかったという。
さて、1位になった次のジョーク、ジョークを解さないという日本人たちに「世界一」と受け取れるだろうか。
「米ニュージャージー州のハンター2人が狩りに出た。1人が木から落ちてしまった。仰天した連れのハンターが携帯電話で『息がない』と緊急通報した。救急隊のオペレーターが『落ち着いて。大丈夫。まず死んでるのか確かめなさい』と声をかける。一瞬の静寂後、オペレーターの耳に1発の銃声。続いて、『死んでる。これからどうしたらいいの?』というハンターの声が響いた」
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この記事を読んだとき、僕はこのジョークのどこがおもしろいのかさっぱり分からなかった。なにしろ「世界で最もおもしろいジョーク」なのだ。きっと何か深い含意があるはずなのだ。それが分からないということは僕にはユーモアのセンスがないということか。そう思って何度も繰り返し味わってみたがやっぱり分からない。日本人がジョークを解さないというのは事実だったのか。
そう思っていたらこの間このテキストの原文を見つけた。そうだ、初めからこの「ラフラボ」で原典に当たってみればよかったのだ。引用してみよう。
A couple of New Jersey hunters are out in the woods when one of them falls to the ground. He doesn't seem to be breathing, his eyes are rolled back in his head. The other guy whips out his cell phone and calls the emergency services. He gasps to the operator: “My friend is dead! What can I do?” The operator, in a calm soothing voice says: “Just take it easy. I can help. First, let's make sure he's dead.” There is a silence, then a shot is heard. The guy's voice comes back on the line. He says: “OK, now what?"
なるほど、これなら分かる。つまりオペレーターが「相棒が本当に死んでいるのかよく確かめなさい」という意味で「Let's make sure he's dead.」と言ったのに、それを聞いたハンターが「きちんととどめを刺しなさい」という意味に解釈してしまったという単純なダブル・ミーニングだったということだ。「make sure」というのは、「確かめる」とか「間違いなく〜であるようにする」「確実に〜する」という意味だから、そう思って原文を読めばこのジョークのおかしさは理解できる。
だけど、こんな英語が分からなければ面白さの分からないようなジョークを「ベスト」に選ぶヤツらに「日本では、ジョークの習慣自体を見出すことが非常に難しかった」なんて言われたくないね。英語を解さない文化は文化じゃないと思ってるんだろうな。まあ、この記事の和訳もひどいけど、このジョークのおかしさを日本語に移し替えるのは確かに難しいし。
で、ためしに訳してみたんだけどどうだろう。
ニュー・ジャージーのハンターが二人、森へ出かけたが、一人が途中で倒れてしまった。どうも呼吸が止まっているようで白目をむいている。もう一人が慌てて携帯電話を取り出し、救急センターに電話をかけた。彼はあえぎながらオペレーターに助けを求めた。「友達が死んじゃったんだ。どうすればいいか教えてくれ」。オペレーターは冷静な声で言った。「落ち着いて。大丈夫です。まず本当に死んでいるかどうかはっきりさせて」。しばらくの静寂の後、一発の銃声が響いた。男が電話口に戻ってきて言った。「よし、はっきりさせた。で、どうすれば」
こんなもんでどうだろう。でも、これ、面白いか?
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