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狂牛病発生国滞在者からの臓器提供お断り 厚労省 (朝日新聞 2001年12月12日)

狂牛病発生国に半年以上滞在した人からの臓器提供について、厚生労働省臓器移植委員会は12日、これまでの禁止7カ国に、ベルギー、オランダ、イタリアの3カ国を追加することを決めた。3カ国の発生数はまだ少ないが、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病が狂牛病の牛から人に感染する危険を否定できないため。
日本も狂牛病発生国になり、同様のルールが日本にもあてはまる可能性が出てきたが、狂牛病の発生状況などをみて、逐次検討することにした。
これらの国の滞在者からの献血はすでに禁止されているが、厚労省血液対策課は「血液は採血から3日程度で使えなくなるものもあり、発生国の英国やフランスでも自前で確保している」として、日本で狂牛病の感染牛が増えても国内の献血をすべて禁止することは考えにくいとしている。
この日の議論では、「手術の危険性と利益を移植希望者に説明すれば、提供を受けて手術してもよいのではないか」との意見も出たが、「感染者が出れば、移植医療全体の信頼がゆらぐ」としてこれらの国の滞在者から提供を受けないことにした。


僕は狂牛病発生国であるドイツに1995年からもう7年近く住んでいるので、今、日本に帰国しても臓器提供や献血ができない。OK、僕はもともと臓器を提供するつもりもないし注射も嫌いだからそのこと自体には特に問題はない。だけどこれってやっぱり何だかおかしくない?

狂牛病がヨーロッパで発生したとき、日本へCJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)が持ち込まれるのを防ぐために発生国滞在者の献血や臓器提供を禁止した、そのことは何となく理解できなくもない。そして、そう決めた以上、狂牛病発生国が増えるにつれて献血・臓器提供の禁止対象国が増えてしまうのもまた「ものの道理」だ。でも、その道理で行けば、日本でも狂牛病が発生したから日本に半年以上住んでいる人も献血・臓器提供禁止の対象に、という話になるはず。

いや、もちろんそんなことをすればいろいろと困ったことになるのは分かる。だからいくら日本で狂牛病が発生しても日本に住む人からの献血を断る訳には行かないという結論自体は正しいと思う。だけどそれならヨーロッパ帰りの人からの献血や臓器提供も同じように容認するべきなんじゃないのかな。だってリスクは同じでしょ。何だか論理が一貫してないような気がするのは僕だけ?

要は、「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病が狂牛病の牛から人に感染する危険を否定できない」から狂牛病の発生数がまだ少ない国の滞在者も献血しちゃダメという建前論と、でも日本でそんなこと言ってたら輸血できる血液も移植できる臓器もなくなっちゃうんで困るんですよ3頭くらいならいいんですよという現実論とがごっちゃになってるってことでしょ。

間違いはそもそもの始まり、狂牛病は海の向こうのできごとだから海外帰りの人の献血さえ閉め出せば狂牛病ないしはCJDの上陸を阻止できると考えたところにあったんじゃないのかな。確かにまだ日本で狂牛病が発生していない時点ではそれがベストの選択だったかもしれないけど、日本でも3頭目の患者というか患牛が発見された今となっては、それはそろそろ意味のないことになってきたということをはっきり認めて撤回した方がいいんじゃないかと思う。だって「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病が狂牛病の牛から人に感染する危険」はもはや日本国内でも「否定できない」んだから。

「発生国の英国やフランスでも自前で(血液を)確保している」から「日本で狂牛病が増えても国内の献血をすべて禁止することは考えにくい」と言いながら、その英国やフランスからの帰国者の献血は禁止しているのはやっぱり何だかおかしい。狂牛病がもっと広がってしまえば献血や臓器移植によるCJDの拡散リスクはいずれ社会全体で負わなければならなくなるんだし、国内の献血を全面的に禁止するなんてことが現実にできる訳もない以上、そのことは早めに議論してコンセンサスを得ておいた方がいいんじゃないのかな、問題が先鋭化する前に。



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