logo カネ返せ


「腎臓売ってカネ返せや」が話題になって、商工ローン業者が激しくたたかれている。まあ、そりゃそうだろう、「目ん玉も腎臓も肝臓も」は尋常じゃない。それに、その後しつこく明らかにされるあの会社の内部の様子もちょっとおかしい。いや、かなり異常だ。あと、初めからカネを借りた人自身の信用力をあてにせず、保証人をいわばだまし討ちにして追い込むやり方もエグい。

だから、この会社が批判を受けること自体は理由がない訳じゃない。でも、そうやっていつものようにこの会社に集中砲火を浴びせ、調達元の銀行をたたいて資金の供給を止めさせてこの会社をつぶすことに何の意味があるんだろう、と僕は思ってしまう。だって、返すあてのないカネを高い金利で借りる人たちがいる限り、それに応える業者が現れるのは資本主義の道理だ。ここの会社の社長はこれまでもうけた金で悠々自適の余生を送れるだろうし、路頭に迷った社員はそんな新しい業者に再就職するだけだ。いたちごっことはこのことだ。

敢えて言うなら、問題の本質はカネを貸す側にあるんじゃない、返すあてのないカネを借りる人にあるのだ。貸したカネを返してもらうのは当たり前なのだ。もちろんそこには一定のルールがある。だけど最初にルールを破ったのは借りたカネを返さない人たちの方じゃないか。

返せないカネを借りるくらいならその前に自己破産でも会社更生でもすればいい。返せないカネを借りて迷惑をかける相手を増やしてから行き詰まるのならその方がずっといい。そんな会社や人にきちんとした業者がカネを貸してくれないのは当たり前だ。それでも最後に怪しげな業者からカネを借りてここ一番の大勝負に出るというなら、それに失敗してカネが返せなくなったときに追い込まれるくらいのことは覚悟しなさいと言いたい。

ここに欠けているのは自己責任じゃないのか。「被害者」が聞いてあきれる。だって、カネを借りたのは自分だろう。保証人には同情の余地もないではないが、それでも保証書にサインしたのは他でもない自分自身だろう。その時は業者を拝みたおして礼を言ってカネを借りたんだろう。返せないのは貸した者の責任じゃない、借りた方の責任だ。後になって返せなくなってから金利が高いだの取り立てが厳しいだのと泣き言を言うなら初めからそんな業者からは借りなければいい。そんな業者からしかカネが借りられなくなった時点であなたの会社はもう倒産しているのだ。

今回の騒ぎで上限金利は引き下げられるだろう。保証人に主債務の現況を通知することも義務づけられるだろう。追い込みも少しはマイルドになるだろう。いくつかの業者はつぶれるかもしれない。でも、返すあてのないカネを借りる人がいる限り問題は解決しないし、僕としてはむしろそういう人たちを取り締まって欲しいと思う。返すあてのないカネを借りるのは詐欺だ。そうだろう。



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