2009年7月から9月まで12回に亘ってNHK教育テレビで放送された番組「THE SONGWRITERS」に関するレビューである。NHKテレビのサイトによればこの番組は、「『ザ・ソングライターズ』は、シンガーソングライターの佐野元春さんがホスト役を務め、日本のソングライターたちをゲストに招いて、『歌詞』すなわち音楽における言葉をテーマに探求してゆく番組」。佐野の母校である立教大学の教室を舞台に、「音楽・言葉表現を志す学生たちを招き、ゲストのソングライターと学生との対話も番組の中に織り込んでゆきます」とされていた。

さまざまなゲストに対して、ホストとしての立場から、同時にまた同じ表現に携わる者として、的確に話を聞き出し展開して行く佐野のインテリジェントな進行は評価されるべきものであった。基本的には佐野がゲストの話を聴く番組であり、佐野の話を聴きたいファンにはやや食い足りないのも確かだが、ゲストとのやりとりの中には佐野の表現に対する考え方が随所に窺え、その点からも十分価値のある番組である。

なお、2022年にこの番組の内容を収めた書籍「ザ・ソングライターズ」が刊行されており、レビューと併読してもらえると内容がわかりやすいのではないかと思う。