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UP R.E.M.

ドラマーのビル・ベリーがバンドを脱退してから初めて発表されたアルバムである。だが結論から言ってしまえばこのアルバムはその事実を凌駕している。一部の曲ではビル・ベリーの補い難い不在を示すかのように安っぽいドラム・マシンが使われていたり、逆にさまざまな楽器がオーバー・ダビングされていたりする訳だが、そうした試みがREMというバンドの自然な進化として残ったメンバーの中できちんと消化されていることがうかがわれる。

REMというバンドの成り立ちからすれば、彼らがビル・ベリーの抜けた穴をあえて埋めようとせず、残った3人でどうバンドを続けて行くかという課題に取り組む方向でこのアルバムを作り上げたことは正しい選択だった。そしてそれが結果としてREMというバンドの新しい扉を開いて行くことになったのだと僕は思う。ビル・ベリー脱退云々を考えに入れなくとも、REM自身として変わるべき部分と変わりようのない部分をいつものように追求したアルバムである。

ロック・ジャイアンツの一つとなった現在でさえ、ナイーブなほど誠実にロックに取り組み続けるバンド、REM。ユーモアとかウィットとか面白味がもうちょっとあってもいいんじゃないかと思わないでもないが、彼らのチャームとはきっとその真摯さそのものなんだろう。もっと楽にやってもいいんだよ、たまには駄作を作ってもいいんだよと言ってあげたい。僕はこのアルバムを聴いて変わりようのないREMの本質のようなものが強く印象に残った。10点にしたいところだが、これからに期待するものを残す意味で9点。


THE MASTERPLAN Oasis

アルバム未収録だったB面曲を14曲集めたコンピレーション。とはいえシングルの発表毎に3曲ずつアルバム未収録のトラックを収めてきた彼らのことであるから、これ以外にもまだ「シングルでしか聴けない曲」は残っている訳である。一部にウェブ・サイトでのファン投票の結果も取り入れた選曲らしいが、「I Am The Walrus」のライブなんかが入っている割にはあれもこれも入っていない。どうせなら2枚組で一つ残らず蔵ざらえをやればよかったのに。

それはともかくとして、そういえばこの曲もアルバムには入っていなかったんだとあらためて思わせるほどいい曲が気前良くシングルのカップリングにつっこまれてきたことに気づく。最新作「Be Here Now」はちょっと暑苦しいほど大作主義だったが、シングルのカップリングはそれよりはかなりコンパクトなロックン・ロールが多いから、むしろあのアルバムよりは素直に楽しめるかもしれない。またライブで重要な役割を果たしている曲も多く、アルバムしか買っていない人には便利な一枚である。

僕の場合、オアシスはシングルもすべて買い揃えているから、このアルバムに収録された曲はすべて音源ダブりになる訳だが、それでもやはり買わない訳には行かないだろう。ただこのアルバムに収録されなかったB面曲の中にも聴くべきものは多い。特に「Cum On Feel The Noize」はカバーだが是非入れて欲しかっただけに残念。まあ、要はシングル買うしかないってことだろう。収録曲のできとコンピレーションとしての誠意を合わせて8点。残りの2点は選に洩れた曲の分。


THE HOUSE OF LOVE The House Of Love

HAPPY BOY Malcolm Ross

THE BEST OF 1980-1990 & B-SIDES U2



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1997 NISHIGAMI, Noriyuki a.k.a. Silverboy
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