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97年9月の買い物



Songs From Northern Britain Teenage Fanclub

相変わらず曲はいい。1曲目なんか変拍子入りまくってるのに曲はポップで美しい。文句ない。
でもこいつらが最初に出てきたとき、僕は決して曲の美しさに感動したのではなかった。そうした美しいメロディラインの背後で壊れたみたいに鳴っているギターの音、こんなポップな曲を演奏するのにどうしてそんなに歪ませるのというくらいのギターの鳴り具合こそが、彼らが同時代のアーティストであることを感じさせてくれたはずだ。そうしたやむにやまれなさが後退し、普通のポップ職人になって行くのであれば、せいぜい5点だな。厳しいか。じゃ6点。

Heavy Soul Paul Weller

僕は基本的にポール・ウェラーという人を支持している。ザ・ジャムで早くに頂点を極めてしまい、その後自らの音楽性と成長、そしてシーンでの立場という困難な問題に向き合わざるを得なくなったとき、彼はスタイル・カウンシル、ソロと常に前向きに試行錯誤を続けてきた。時としてその作品には失敗と呼ばざるを得ないものがあったかもしれないが、その真摯な姿勢と音楽的な高潔さは高く評価されてしかるべきだ。
僕が一番好きなのはスタイル・カウンシルの「アワ・ファイバリット・ショップ」。ビートとスピード、おしゃれさとカッコよさ、構成力と曲のよさ、それは黒人音楽を敬愛しながら自らは決して黒人になれない(脱色しちゃった黒人はいたけど)ことの意味を、あらん限りの音楽的才能とセンスで埋め合わせようとした結果だったと思う。当時に比べ黒人音楽への憧憬がよりストレートに現れた最近のソロだが、個人的にはもっとビートをと言いたい。7点。

Evergreen Echo & The Bunnymen

Do It Yourself Seahorses

悪くない。だがストーン・ローゼズには比べるべくもない。名義はシーホーセズでも作品はジョン・スクワイアに他ならず、突出した一人の存在からはバンド・マジックは生まれ得ない。聴いていて気持ちはよいが、そこには丁々発止のやりとりから生まれるぎりぎりの緊張感、時代の最前線に立って一歩を踏み出すリスキーさは微塵もないと言ったら言い過ぎか。それにいくらジョン・スクワイアのバンドだからといって、ボーカルが歌っている間くらいメロディ弾くのはちょっと遠慮してあげればいいのに。せいぜい6点。




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1997 NISHIGAMI, Noriyuki a.k.a. Silverboy
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