  
  
ENDLESS ARCADE 
Teenage Fanclub 
★★★☆
  
Pema (2021) 
PCD-25317
  
■ Home 
■ Endless Arcade 
■ Warm Embrace 
■ Everything Is Falling Apart 
■ The Sun Won't Shine On Me 
■ Come With Me 
■ In Our Dreams 
■ I'm More Inclined 
■ Back In The Day 
■ The Future 
■ Living With You 
■ Silent Song 
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前作から5年のインターバルでリリースされた(数え方にもよるが)10枚めのオリジナル・アルバム。前作リリース後の2018年に、結成以来のメンバーで3人のソングライターの一人であったジェラルド・ラブがバンドを脱退、ノーマン・ブレイクとレイモンド・マッギンリーの2人が半数ずつソングライティングを分け合う形で制作された。ゴーキーズ・ザイゴティック・マンキのエウロス・チャイルズがキーボードでメンバーになっている。
  
ティーンエイジ・ファンクラブの歴史は、不変のポップ・センスを底流にしながら、それを彩る意匠がオルタナティブなノイズからリリカルでオーソドックスなギター・ポップへと移り変わって行く、よくいえば普遍化、意地悪にいえばレイドバックの軌跡であると思っていて、その基本的な認識自体は大きく揺らがないのだが、今回のアルバムを聴いて思ったのは、その底流の方のポップ・センスがそれほど自明ではなかったということだ。
  
一聴すれば牧歌的でのどかなポップ・ソング、童謡のように分かりやすく歌いやすいメロディの背後に、よく聴けば、ひとつひとつの曲にとても微妙な陰影があり、メロディも一筋縄では行かず、リズムは変則的で、コーラスも複雑なハーモニーを具えていることが分かる。おそらくそれは初めからそこにあった。僕は意匠ばかり気にして、今までTFCの何を聴いてきたのだろう。これまでのアルバムをもう一度最初から聴き直そうと思った。
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