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MUSIC LIFE
杉真理
★★★★

Universal (2019)
7737607

■ 最高の法則
■ Your Kiss
■ 君を思って〜I think of you
■ Dear Angie〜あなたは負けない
■ This Life
■ Imagination
■ 夏草のタンゴ
■ 平和な人へ
■ 君といた夏
■ 翼と風
■ Who Can Save the World
■ コロンブス
2009年の「魔法の領域」以来、実に10年以上のインターバルでユニバーサルからリリースされたソロ17作目。とはいえ、この間も杉はさまざまなアーティストとのコラボレーション、ジョイント形式でのライブや、コンピレーション・アルバム、企画アルバムのリリースなどを続けており、このアルバムは杉のここ数年のそうした活動の総集編でもあるだろう。ステージで披露されていた『最高の法則』や『平和な人へ』なども収録されている。

一聴して印象に残るのは、ひとつひとつの曲の完成度の高さ。老成しレイド・バックした何となくそれらしいだけの雰囲気モノは一曲たりともなく、すべての曲はそれが演奏され歌われる度に新しく生まれるような瑞々しさに満ちており、今この瞬間に時間と空間を占有することの喜びが直接伝わってくる。杉のソングライティングはいささかも衰えないどころか、汲めど尽きせぬ泉のように、水量も水圧もますます豊かになりつつあるようだ。

ポップスは商業音楽であり、一人でも多くの人に聴かれることに価値がある。杉の活動に関しては、一時期、そうしたポップスの本質に逆行するかのような自己充足性、閉鎖性が気になることがあった。しかし本作では、杉の音楽への愛情、畏敬、感謝がすべての聴き手に開かれている。一人でも多くの人に聴かせたいという意志が再び明確になっていると言ってもいい。平易であるからこそ日常に入りこむ、本物のポピュラー・ミュージック。




NIAGARA CONCERT '83
大滝詠一
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Niagara (2019)
SRCL 11103

■ 夢で逢えたら
■ Summer Breeze
■ Wator Color
■ 青空のように
■ カナリア諸島にて
■ オリーブの午后
■ ハートじかけのオレンジ
■ 白い港
■ 雨のウエンズデイ
■ 探偵物語
■ すこしだけやさしく
■ 夏のリビエラ
■ 恋するカレン
■ FUNx4
■ Cider '83〜君は天然色
■ 夢で逢えたら、もう一度
1983年7月24日、所沢の西武ライオンズ球場で行われたライブの様子を収録。このライブは「ALL NIGHT NIPPON SUPER FES. '83 LIVE JAM」と題され、ニッポン放送の主催で行われたもの。大滝の他にラッツ&スター、サザン・オールスターズが出演し、大滝は2番目にパフォーマンスを披露した。島村英二、長岡道夫、石川鷹彦、吉川忠英、中西康晴、難波弘之、松武秀樹ら、大滝のレコーディングでは常連のミュージシャンがバックを固めた。

さらに山本直親の指揮による30人以上の編成の新日フィルをフィーチャー、屋外フェスとは思えないストリングス演奏を聴かせた。冒頭の5曲及びラストは大滝のボーカルが入らないストリングス・インストで、NIAGARA FALL OF SOUND ORCHESTRAL名義での演奏。この日の様子は添付のブックレット収録の能地祐子のライナーノートに詳しいが、写真・映像収録を一切許可しなかったことなども含め、異例ずくめのライブだったことを窺わせる。

大滝のボーカルは、声量は決して豊かという訳ではないものの意外に安定しており、ライブにしては異常にかっちりした演奏とも相まってスタジオ録音並みのクオリティ。アルバム「EACH TIME」リリース前の時期だがセルフ・カバーも含めた選曲はバランスが取れている。大滝のライブ・パフォーマンスはこれが最後となった。これだけの音源が残されていたのは資料としてもちろん貴重だが、何より純粋に大滝のライブが楽しめるアルバム。




DELTA
Mumford & Sons
★★☆
何かもう、バンジョーとかどうでもいい重厚なスタジアム・ロックで、ちょっと聴いてる途中で既に満腹感のあるような暑苦しいアルバムになってしまった。この傾向は前作でも窺えたが、今作で顕著になった。ミニ・アルバム「ヨハネズバーグ」が意外によかったので何かの展開があるかと思ったが、やたら大仰でもったいぶった「大作」に仕上がった感で残念。それなりにもっともらしいが、実際どこを聴けばいいのかよく分からない作品。


WARM
Jeff Tweedy
★★★☆
ウィルコのジェフ・トゥイーディのソロ・アルバム。バンド編成ではあるがアコースティック・ギターの鳴りを大事にしたサウンド・プロダクションが彼の音楽とマッチしている。当たり前のカントリーの意匠を借りながら現代的な問題意識をそこに滑りこませるウィルコの方法論はここでも健在で、彼のソングライティングの妙がより近く味わえる。ひそやかで地味な印象だが、音楽というものがどこからやってくるかがよく分かるアルバム。



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