GO TO SCHOOL
The Lemon Twigs
★★★
4AD (2018)
4AD0094CD
■ Never In My Arms, Always In My Heart
■ The Student Becomes The Teacher
■ Rock Dreams
■ The Lesson
■ Small Victories
■ Wonderin' Ways
■ The Bully
■ Lonely
■ Queen Of My School
■ Never Know
■ Born Wrong / Heart Song
■ The Fire
■ Home Of The Heart (The Woods)
■ This Is My Tree
■ If You Give Enough
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アメリカの兄弟デュオのセカンド・アルバム。何でも今作は「知能が高く学校に行くことになった猿の物語」みたいなロック・オペラ的な何からしく、まあ、控え目に言って訳が分からない。オープニング・ナンバーこそアップ・テンポのロック・チューンなので思わず聴き始めてしまうが、曲想のレンジは広く、歌曲的な何かとかボードヴィル的な何かとか、ロックとして非典型の幅広い音楽的背景を感じさせる面白い作品に仕上がっている。
この感じはどこかで聴いたことがある、誰かに似ているとずっと思っていたが、考えてみたらトッド・ラングレンだった。というのも、そのラングレンがこのアルバムに参加しており、それを知って「ああそうそう、この感じは確かにトッドだわ」と腑に落ちたのである。この、もともと確かなソング・ライティングの素養のある人が、豊かな音楽的背景を得て自在に作ったごった煮的な「ポップの神殿」感がまさにラングレンの嫡出子である。
それが決して高踏的な芸術方面に向かわず、学校へ行ったチンパンジーがいじめを受けて殺人鬼になるというコンセプトの訳の分からなさも含めたキワモノ感的な面白さ、楽しさとして結実しているところが彼らの強みだし、それがポップということの意味。本物になりすましたフェイクについてシリアスな議論が交わされるこの2018年にあって、フェイクであることのおかしみの方を真面目に可視化(というか可聴化)した才能を感じる作品。
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