ARTHUR BUCK
Arthur Buck
★★★☆
New West (2018)
NW6429
■ I Am The Moment
■ Are You Electrified?
■ The Wanderer
■ Forever Waiting
■ If You Wake Up In Time
■ Summertime
■ American Century
■ Forever Falling
■ Before Your Love Is Gone
■ Wide Awake In November
■ Can't Make It Without You
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ジョセフ・アーサーというアメリカのシンガー・ソングライターと、元R.E.M.のピーター・バックのコラボレーション・アルバム。ジョセフ・アーサーは1997年以来既にアルバムを10枚以上リリースしている46歳の中堅アーティストで、バックとは以前から友人だったが、昨年メキシコで偶然再会し、意気投合して、最初はアーサーのアルバムに、ギターでバックに参加してもらう程度のつもりが、ガッツリと共作することになったのだという。
聴き始めてまず思うのは、やはりピーター・バックのギターの歴然とした記名性である。R.E.M.の音楽においてバックのギターが果たしていた役割がいかに大きかったかが分かる。アーサーには失礼だが、語弊を恐れずに言えば、ボーカルがマイケル・スタイプではないR.E.M.と言われても納得してしまうほどR.E.M.感ある。バックは作曲にも参加しているので当然かもしれないが、「R.E.M.的な何か」を求めて聴いても裏切られることはない。
しかし、何度か繰り返し聴いていると、そういう「話題先行」的な部分が次第に耳に馴染み、ひとつひとつの曲の表情のようなものが見えてくる。そこにあるのは、フォーク・ソングに根差した弾き語りという自作自演の最も原始的な音楽の、アメリカにおける作り手と聴き手の圧倒的な厚みだ。アーサーも、バックも、R.E.M.もそのルーツを共有しているのでこのアルバムはこんなにも自然で説得力があるのだ。地味だが聴くべきものがある。
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