DO HOLLYWOOD
The Lemon Twigs
★★★
4AD (2016)
CAD3650CD
■ I Wanna Prove To You
■ Those Days Is Comin' Soon
■ Haroomata
■ Baby, Baby
■ These Words
■ As Long As We're Together
■ How Lucky Am I?
■ Hi+Lo
■ Frank
■ A Great Snake
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アメリカ人の19歳と17歳の兄弟デュオ。なぜ買ったのか自分でももう定かでないが、たぶんプロデューサーがホイットニーと同じ人だというのと、レーベルがあの4ADだからだということだったと思う。独特のルックスとメインストリームを外した音の作りはMGMTあたりを思い出させるが、MGMTがまだロックの文脈にしっかり根ざしていたのに比べると、このレモンの小枝たちの方がずっと天真爛漫で自由奔放、スタイル・フリーな印象を受ける。
しかし、それでは彼らの音楽がまったく前例のない、むちゃくちゃなものかといえばもちろんそんなことはなく、ヘンテコではあってもむしろ音楽的素養の確かさが実感できる。1曲の中に複数の曲想を詰めこむ組曲的な手法が多用されるが、その引き出しは多様であり、そこで引用されるひとつひとつのピースにはきちんとした氏素性があって、豊かな音楽的バックボーンが感じられる。この年齢でこれだけの広がりと奥行きを出すのは驚異だ。
既にいろんなところで言われているようだが、このアルバムを聴いて思い出すのはトッド・ラングレンの「A Wizard, A True Star」。そこに共通するのは曲想の多様さ、自由さを裏書きする、ひとつひとつのメロディの質の高さだ。これが周到に構築されたものか、純粋な才能のほとばしりなのかはこの先の展開を見てみないと何とも言えないが、いかにもトッド・ラングレン的なピアノ・バラードまでブッ込んでくるあたり確信的か。佳作。
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