タワレコでCDを買って帰ってiTunesでリッピングしたらなぜか既にこのアルバムがiTunesに入っていてダブってしまった。そういえば「何かU2っていう知らないバンドの曲が勝手にiTunesに入ってるんですけど」的な話が若い子の間で出てるっていうのを聞いていたがこれがそれか。CD買うんじゃなかった。このリリース形態については賛否があるらしいが、頼んでもないのに勝手にiTunesに入りこんで居座ってるあたりがいかにもU2って感じ。
内容的にはオーソドックスなモダン・ロックである。プロデューサーにはベックやゴリラズを手がけたデンジャー・マウスを起用、国境を越えた情報資本主義があらゆるものを大量に流通させ消費して行く速度に拮抗できるだけの楽曲としての強靭さ、注意深くかつ大胆に構築されたグルーヴ、そして一度聴いただけで間違いなくそれと判別できる特徴的なジ・エッジのギターとボノのボーカル。グローバリズム時代をサヴァイヴするロックだ。
何より素晴らしいのはこのアルバムの暑苦しさであり押しつけがましさ。ウザがられても頓着せず勝手に他人のiTunesに入りこんで居座るその過剰な確信こそがU2の本質である。この圧倒的なシリアスさ、この一方的な正しさへの自信。産業ロックという言葉があるが、ここにあるのはそんな揶揄とは別次元の、それ自体が産業であるような、インフラストラクチャーとしてのロックと言っていい。すべてのiPhoneに遍在する現代のアイコン。
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