今年は新人のアルバムは原則として買わないぞと心に決めていたのだが、ま、お年玉は別とか自分に言い訳して年初からいきなり買ってしまった14歳だか15歳だかの奇跡の新人のデビュー・アルバム。プレスの評判も軒並み高く、先輩アーティストも絶賛。生ギターとボーカルとブルース・ハープと若干のフィドルのみでぐいぐい押しきるスタイルは「先行者」であるジェイク・バグをもしのぐ潔さと生々しさ。試聴機での印象も強烈だった。
しかし、このアルバムを買ってみようという気になった決定的な要因は、「アラン・マッギーの新しいレーベルからの新人」だからである。お年玉というのもアラン・マッギーへのお年玉である。彼がこれと見込んでデビューさせた新人なら聴いてみようという気になったのだ。それくらい僕にとってアラン・マッギーは絶対的な名前だ。そのアラン・マッギーが359ミュージックという新しいレーベルを始め、その契約第一号がこの人らしい。
ボブ・ディランに影響を受けたということはそのスタイルからも既に知れるが、15歳とは思えない確信にみちた声で歌う様子は確かに非凡なものを感じさせる。ロックには祝福された声を持つ男というのがいて、そういうのに比べるとやや美声に過ぎる気もするが独特のザラつきも感じさせる。曲がやや一本調子に聞こえるのはスタイル上仕方のないことか。表現の深み、奥行きをこれからどこまで獲得して行くことができるかが勝負だろう。
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