昨年デビューしたバンドのセカンド。前作でもストレートなロックンロールとその奥に隠れた叙情的なソング・ライティングを評価して高い点をつけた記憶があるが、短いインターバルでリリースされた本作もファーストをさらにバージョン・アップしたような快作である。タワレコの店頭で流れているのを聴いて新譜が出ているのを知り、潔いロックンロールに改めて感銘を受けレジに直行したのだが、もちろん聴くべきはそれだけではない。
時代性とか意味性を一気に飛び越えて見せるギターという特別な楽器の特別な鳴り。僕たちの胸の中の最も柔らかいところを乱暴にかきむしるみたいなささくれだった金属製の弦の震えが電気的に増幅されて輪郭のくっきりしたメランコリックなメロディを運んでくる。それは情動の最も深いところを直接ビートするための最強のコンビネーションだ。手っ取り早くカッコつけたい中学生や高校生がいまだにギターを手に取る理由はそこにある。
シューゲイザーを初めとする80年代のインディ・ロックに憧れてその表面をなぞろうとするバンドは数多いが、パンクが終わった後で「その次に来るべきもの」を探しながら試行錯誤を続けた80年代の自由さを継承しているのはむしろヴァクシーンズのような率直なバンドの方ではないかと思う。彼らのこの後ろ盾のない身軽さは、何もかもが等価で選択できるiTunes的なるものが前提になったシーンの中でこそ貴重な属性。次作も楽しみだ。
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