スクリッティ・ポリッティことグリーン・ガートサイドの7年ぶりの新譜である。恐ろしいことに1999年にリリースされた前作も僕はきちんと買っていて、サイトでレビューもしているのだった。その時のレビューがあまりに的確なので、オレってさすがにいいこと書いてるなあ、あの頃は冴えてたなあと自画自賛しつつ、もうそれに付け加えることもないと言いたいくらいだ。それはつまりこのアルバムが前作とほとんど変わっていないということである。このアルバムが僕に与えた印象は何も変わらなかった。
もちろん細部においてはきっとなにがしかの進歩はあったのだろう。アルバム・レビューとしては、効果的に取り入れられたアコースティック楽器がエレクトロニックなビートとともに織りなす何とかというようなことを書かなければならないのだろう。だが、ここにあるものの本質は、ある時点で自足し、その限られた世界の中での完成を追い求めた自給自足の、永久機関のような音楽である。グリーン・ガートサイドの現実の興味が何に向かっているのかは知らないが、この音楽はひたすら内向しているのだ。
もちろん音楽としてはよくできている。曲は丁寧に作られているし、何歳になったのか知らないけどラブリーな細いハイトーンを聴かせてもくれる。アレンジにも工夫があって、アコースティック・ギターが密室性の高い音楽を適度に解放してくれる。この空気抜き穴がなければ僕はきっと窒息していたのだろうと思う。1985年に名作「キューピッド&サイケ」をリリースした頃には、この密室性、自閉性にもきちんと説明があったはずだと思うんだけど、いつのまにかそれが自動化してしまったのではないかな。
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