僕が極めて度量の小さな人間であってかたくなにイギリス系のロックしか聴こうとしない偏屈者だということは既にご存じの方も多いと思うが、そういう観点から言うとこのマンドゥ・ディアオもスウェーデン出身ということで、何が悲しゅうてスカンジナビアくんだりから出てきた田舎バンドのCDなんぞ買わねばならないのだと毛嫌いしていた。それでも一応買ってみることにしたのは、雑誌でやたら絶賛されていたのと、ジャケットの白黒写真が発散する不穏さがロックンロールの在処を示唆していたからかもしれない。
ともかく。これにはやられた。キてますとひとこと書いて終わりにしたいくらいキまくってる。リズム&ブルースを下敷きにしたクールなビート・ロック、ということはそのままモッド、例えばザ・フーとかスモール・フェイセズとかを引き合いに出したくなる路線だが、恐ろしいことに結構駄曲もありありだったザ・フーのファーストなんかと比べると完全にこっちの方が勝ってる。曲ごとの完成度が高い上にアルバムとしての緩急のつけ方も絶妙、クールかつポップで不穏な勢いに満ちた、そう、これがロックンロールだ。
スウェーデンだからどう、ということは言いたくないし言う必要もないだろう。難しい顔をする必要も、歌詞を対訳する必要もない。このアルバムに詰めこまれた曲がどれだけ真っ直ぐな訴求力を持っているか、ただ黙って聴くだけですぐに分かるだろう。際だっているのはやはり圧倒的なソングライティングの力。当たり前のロックンロールを当たり前にやるだけで何かを分からせることのできるバンドだ。例えば1時間ぽっかりヒマができて、じゃあ何かCDでも聴くかみたいなときに高い優先順位で聴きたくなるアルバム。
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