何度も言っていることだが、僕はアメリカのバンドをあまり聴かない。もちろんアメリカにもいいバンドがたくさんいることは知っている。だけど例えば雑誌の記事を読んでこれはよさそうだと買いに出かけても、レコード屋の店頭の推薦文でアメリカ産だということが分かると急に買う気が失せたりするのだ。我ながら理不尽だと思うが、まあ、個人の好き嫌いに論理的な一貫性がなければならないという決まりはないので仕方がない。自分でカネを出して買うCDを自分の好き嫌いで決めて何が悪い、ということだ、結局。
例えばこないだボックスセットを買ったライド。あのかたくなで無愛想な、幅の狭い音楽を僕は愛している。少年期の終わりに特有の潔癖な世界観の青臭い結晶みたいな、あらかじめコミュニケーションを拒否した壁のような音楽。ああいう音楽はアメリカでは出てこないものだと思うし、出てきてもあんなふうには認められないんじゃないだろうか。僕にはアメリカのバンドがおしなべてたたえている熱量のようなものが時として鬱陶しく思える。そこにシャイでいることを許さないような圧力みたいなものを感じるのだ。
このウォールフラワーズ、実はアメリカのバンドと知らずに買ったしまった。確かなバックボーンの存在を感じさせる奥行きのあるソングライティングだし、オーソドックスな音作りの中にエモーショナルなグルーヴを備えたスケール感のあるバンドだと感心したんだけど、アメリカ産だと知って、なんだ、そういうことかと少しがっかりした。この音がアメリカから出てきたのかイギリスから出てきたのかでは意味合いがまったく違うということ。アルバムとしては素晴らしいし、だからこそ僕はアメリカが嫌いなのだ。
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