よく言われることかもしれないが、素晴らしいデビュー・アルバムを発表したアーティストの真価は往々にしてセカンド・アルバムで決まる。例えばファースト・アルバムだけで半ば伝説化してしまったストーン・ローゼズの場合、セカンドを出すまでに5年もの歳月が経過してしまった。できあがったアルバムは重厚な正統派ブリティッシュ・ロックだったが、長すぎるブレイクは彼らをバンドとして決定的に損なってしまった。そこにあったのは奇跡のようなバンド・マジックの残滓に過ぎなかった。
まあ、それは極端な例だとしても、目の覚めるようなファースト・アルバムを出しながら、2枚目では見る影もなく凡庸なステロタイプに堕してしまうアーティストは数え切れない。そういう意味ではこのJJ72も、ファーストでの現れ方が鮮烈だっただけに、そこからどのような展開をするのか難しい位置にいるバンドだったはずだ。とにかく今いる場所から一刻も早く抜け出さなければならないと訴えていたあの性急なハイトーンのボーカルが、その切迫性を維持できるか、僕はひそかに心配していた。
結論から言えばこのアルバムは際どいところにある。音楽的にはより緻密になり柔軟になった。ボーカルも上手くなったし表現力も増したと思う。しかし何かを求めて突き抜けて行くような勢いとか力といったものはここには見出し難い。何より気になるのは曲がゴシック的に構築され過ぎて、どうしても狭い箱の中に自閉して行くような息苦しさを感じさせてしまうことだ。いくつか新しい展開を見せる曲もあるが、このバンドはこれでOKと素直に言いにくいアルバム。もう1枚つきあうしかなさそうだ。
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